キッチン、お風呂でできる!子どもの好奇心を伸ばすための化学実験

キッチン、お風呂でできる!子どもの好奇心を伸ばすための化学実験

今回の記事は、6歳までの子どもとお家で楽しめる「化学実験」の提案です。キッチンやお風呂は実験のワンダーランドだという西村先生。40年以上、中学受験に関わってきたご経験から、将来花開く「気づきのもと」になる理科の実験について提案していただきました。

身近なもので実験を楽しむ

個人的な話になりますが、私は夏になると、赤しそジュースを作って飲みます。赤しそを煮出し、そこにクエン酸と砂糖を入れて作ります。ソーダなどで割ると夏にぴったりのさわやかな味でおいしいですよ。

さて、そんな赤しそジュースですが、実はとてもおもしろい性質があります。

今回は、キッチンでお子さんと楽しめる、ちょっとした「化学実験」を紹介します。

色が変わるインパクトは大!

親子でわくわくする実験

赤しそジュースは混ぜるものの性質によって、パッと色が変わります。

赤しそジュースをつくるときに、赤しその煮汁を冷やしたものにクエン酸を入れるのですが、そのとき黒っぽい紫色だった煮汁が、いきなり鮮やかなピンクに変わります。

これを見ると、子どもでなくても「他のものを混ぜるとどうなるか」という思いが頭をよぎるのではないでしょうか。その好奇心で、家にあるいろいろなものを混ぜてみましょう。

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「赤しその煮汁」(写真中央)に、卵白(右)、レモン汁(左)を混ぜたもの

ジュースやお茶、炭酸水など、飲み物だけでなく、砂糖や塩、卵白など、入れるものによってパッと色が変化したり、あまり変化しなかったりするのがわかる実験です。

実は、この色の変化は赤しそに含まれる「アントシアニン」という名前の色素が、溶液の性質の変化(酸性・中性・アルカリ性)によって色を変えているのですが、小学校の高学年でリトマス紙などを使って行う実験と全く同じことをしているんです。

小さなお子さんの場合、仕組みや理由は今理解する必要がないですが、パッと色が変わる瞬間を目撃するインパクトは大きいと思います。

ぜひ身のまわりに「色を煮出せそうな野菜」はないか探してみてください。そう、ナスや紫キャベツなんかいいかもしれませんね。

キッチンで、親子で楽しむ実験

カレー焼きそばがケチャップ色に?

酸性・中性・アルカリ性については、まだまだいろんなもので「実験」することができます。

たとえば焼きそばの麺に使われている「かんすい」は水に溶けるとアルカリ性なのですが、ここにカレー粉を加えるとケチャップのような色に変化します。

やはり赤しそジュースのときと同じように、カレー粉に含まれる「クルクミン」という色素の仕業なんですね。

ウスターソースを加えると、ウスターソースの酸性がアルカリ性と中和して、何事もなかったかのように元の色にもどるのも注目ポイント。

お子さんと一緒に「お〜っ!!」と体験して、あとでおいしく食べましょう。


体感することが大事

お子さんと料理をすることで、「性質や温度の変化によってものの様子がおもしろいように変わる」ということを体感的にわからせてあげることができます。

「タンパク質は熱を加えると固まる」ということを小学校6年生で習います。そのときに、言葉で無味乾燥に覚えるのではなく、目玉焼きが生卵と全く違う状態になっていく、視覚的なイメージと結びつくようにしてあげておくのです。

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お風呂でも遊ぼう!

お風呂でもたくさんのことを体験できます。

市販のお風呂用カードや、貼って覚える数字やひらがなの表などもありますが、小さいうちにぜひたくさん体験しておいてほしいのが、水の持つ力です。

「浮力」と聞いて何を思い出しますか?学生時代に習ったときのことでしょうか?「アルキメデスの原理」という言葉を聞いただけで、なんだか難しいことのように聞こえてしまいますよね。

でも、浴槽に洗面器を船のように浮かべ、上からぎゅーっと押さえつけたときの「押し返してくる感覚」が浮力と言われれば、ああなるほどな、と思えるものです。

幼児期に「気づきの種まき」を

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お子さんが小さいうちは、大きくなって「勉強」として習ったときに「ああ、あのことか」と結びつく「種」を、いっぱい播いてあげておいてほしいのです。

もちろん「お勉強」として難しい理屈を今理解する必要はありません。

親子で楽しく、一緒に遊んでください。そんな遊びの中に、将来花開く「気づきのもと」がたくさん詰まっています!

執筆:西村則康

Profile

西村則康

西村則康

教育研究家。家庭教師集団「名門指導会」代表。中学受験ポータルサイト『かしこい塾の使い方』主任相談員。日本初の「塾ソムリエ」として、塾の活用法や塾選びなどの受験ノウハウを世に送る。テレビ、新聞、教育雑誌などで活躍中。おもな著書に『いちばん得する中学受験』(すばる舎)、『中学受験基本のキ!』(日経BP社)、『頭のいい子の育て方』(アスコム)、「中学受験は親が9割」シリーズ(青春出版社)など、20冊を超える著書がある。

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