【産婦人科医監修】授乳中にはちみつを食べてもよいのか?母乳への影響

【産婦人科医監修】授乳中にはちみつを食べてもよいのか?母乳への影響

はちみつを食べると母乳が詰まる?

2023.11.09

Profile

杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

乳児にはちみつを与えると乳児ボツリヌス症を発症する可能性があります。授乳中のママがはちみつを食べると母乳を通して赤ちゃんに影響することはあるのでしょうか。はちみつと母乳の関係、注意点をご紹介します。また、はちみつを食べると母乳が詰まるのかについても解説します。 杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

授乳中にはちみつを食べてもよいの?

赤ちゃんにはちみつを食べさせると乳児ボツリヌス症を引き起こす可能性があることを知っている人は多いでしょう。

そのため、赤ちゃんにはちみつを与えない方がよいとされていますが、授乳を通してママの食べたはちみつが赤ちゃんに影響はしないのでしょうか。

授乳中のママがはちみつを食べたときに及ぼす赤ちゃんへの影響について詳しく見ていきます。

母乳を通して赤ちゃんへの影響

ママが食べたはちみつが母乳を通して赤ちゃんへ影響することはあるのでしょうか。


ママが食べたはちみつが母乳で赤ちゃんに行き届く?

はちみつのかかったパンケーキ
iStock.com/bhofack2

ママがはちみつを食べると、母乳を通して赤ちゃんに行き届くのではないかと心配に思う人がいるかもしれません。

大人は消化器官が発達しているので、授乳中のママがはちみつを食べても母乳を通して赤ちゃんにはちみつが行き届くことはありません。

専門家も以下のように言っています。

直接与えなければ大丈夫です。お母さんはハチミツを食べて問題ありません。

出典: AskDoctors

しかし、乳児が直接はちみつを口にすると「乳児ボツリヌス症」を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。「乳児ボツリヌス症」について詳しくみていきましょう。


乳児ボツリヌス症はどんな病気?

食事する赤ちゃん
iStock.com/Bennewitz

1歳未満の乳児にはちみつを与えると赤ちゃんがボツリヌス菌で中毒を起こすことを「乳児ボツリヌス症」といいます。

1歳未満の赤ちゃんは内臓器官の発達がまだ十分でないため、ボツリヌス菌が少量でも体内に入ると自分で上手く処理ができず、腸内でボツリヌス菌が増殖してボツリヌス症を発症します。

乳児ボツリヌス症の症状がみられて、原因と考えられる食品、便や血液を検査してボツリヌス毒素が検出された場合、乳児ボツリヌス症と診断されます。

乳児ボツリヌス症は、潜伏期間が3~30日と長いのが特徴です。

1歳以上の赤ちゃんは消化器官も発達しているので、はちみつを食べてもボツリヌス症を発症することはありません。


症状

乳児ボツリヌス症は以下のような症状がみられます。

  • 全身の筋力が低下して首や手足を支えられなくなる
  • 顔面の筋肉がマヒする
  • 呼吸ができなくなる
  • 便秘が続く
  • 哺乳力が低下してミルクを飲まなくなる
  • 泣き声が小さくなる

こちらの記事も読まれています

はちみつを食べると母乳が詰まる?

食べ物によって母乳が詰まったり、乳腺炎になると思い、はちみつが母乳を詰まらせるのではないかと気になるママがいるかもしれません。

脂質や糖質が多い高カロリーの食事が母乳を詰まらせる原因になるということを聞いたことがある人もいるかもしれませんが、母乳が詰まるのは、乳腺が細かったり、母乳を飲む姿勢がいつも同じであったり、きつい下着をつけていることが原因と思われます。

脂質や糖分が多い食べ物を過剰に摂取すると、母乳の質を悪くして乳腺を詰まらせてしまう可能性はありますが、食事によって母乳が詰まるという医学的な根拠は明確的には報告されていません。

はちみつについて正しい知識を身につけよう

はちみつ
iStock.com/Metkalova

乳児にはちみつをあげるのは注意が必要なことを知っている人は多いかもしれませんが、ママの食べたはちみつが母乳を通して赤ちゃんに届くのか不安になる人もいるでしょう。

はちみつにはボツリヌス菌が含まれているため、1歳未満の乳児がはちみつを食べると乳児ボツリヌス症を引き起こす恐れがあります。

しかし、授乳中のママがはちみつを食べても、母乳を通して赤ちゃんにはちみつが届くことはありません。

またカロリーや脂質の多い食事は、母乳が詰まる原因になると思い、はちみつを食べると母乳が詰まるのではないかと心配しているママもいるかもしれません。

母乳が詰まる原因は、母乳を飲むときにいつも同じ姿勢をしていて姿勢が偏っていることや乳腺が細かったり、ワイヤー入りやきつい下着をつけていることが考えられます。

脂質や糖分が多い食べ物ばかり摂取すると母乳の質が悪くなり、乳腺が詰まったり、母乳が出にくくなる可能性はありますが、食事によって母乳が詰まるという医学的な根拠は明らかになっていません。

はちみつについての正しい知識を身につけて上手に摂取しましょう。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

子どもの病気に関する不安や悩みは、医師の回答で今すぐ解決!

日本最大級の医師Q&Aサイト アスクドクターズ(AskDoctors)

「子どもが頭を打った」「外食して2時間後にじんましんが出た」など、子どもの病気や気になる症状について医師に相談できるのが、日本最大級の医師Q&Aサイト「アスクドクターズ」です。

最短5分で複数の医師から回答がもらえるだけでなく、200万件以上の相談事例を症状や病名から検索することもできます。

かかりつけ医とともに、子育て中のママやパパの頼もしい味方になってくれそうですね。

【産婦人科医監修】授乳中に寿司、刺身は食べても大丈夫?母乳への影響について

【産婦人科医監修】授乳中に辛いものを食べるとおっぱいの味も変わるのか

【助産師監修】授乳中にチクチク感じる胸の痛み。考えられる原因と対処法

基礎知識カテゴリの記事

教育を親の自己満足にしてはいけない。教育虐待になりうるハイパーペアレンティングの恐ろしさとは

教育熱心はどこまで?

この連載を見る
不安定な社会情勢やSNSなどを通じて得る過剰な教育情報によって、子どもの教育に奔走し、過干渉な子育てをする親が増加しています。行き過ぎた「教育熱心」が及ぼす危険性とは?そして子どもを疲弊させないために、親はどうあるべきかを専門家に聞いていきます。
てぃ先生が見守る!卒園生たちの”チャレンジダンスプロジェクト”

入園当初にコロナ禍となりリアルイベントが少なかった園児たちが、卒園を迎えるシーズンとなりました。園児たちのかけがえのない思い出を作りたいという想いから、”チャレンジダンスプロジェクト”が始動。子どもたちが「卒園ダンス」に取り組む様子から、てぃ先生に子どもの成長を促進するコミュニケーションを教えていただきます。コナミスポーツクラブの全面協力のもと、ダンス未経験の園児たちが一生懸命取り組み、イベント当日を目指す様子を密着取材しました。