【産婦人科医監修】妊娠34週目(妊娠9ヶ月)を迎えた妊婦さんと赤ちゃんの様子。

【産婦人科医監修】妊娠34週目(妊娠9ヶ月)を迎えた妊婦さんと赤ちゃんの様子。

胎動は痛い?臨月目前の妊婦さんと赤ちゃん

2019.09.08

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杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

妊娠9ヶ月は、胎動が落ち着いてくる人と、痛いくらいに激しい胎動を感じる人がいます。子宮が大きくなり、膀胱が圧迫されて頻尿などのマイナートラブルも増える妊娠34週の妊婦さんの体調の変化や、赤ちゃんの様子を医学博士で産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生監修のもと解説します。

妊娠週数34週目とはどんな時期?

妊娠34週は週数でいうと、妊娠9ヶ月の3週目です。もうすぐ臨月ですね。

妊娠34週目の妊婦さんの特徴

妊娠後期の妊娠34週目の妊婦さんについて詳しく見ていきましょう。


体調

妊娠9ヶ月になると胎動が落ち着いてくる人もいれば、まだ痛いくらいに激しい胎動を感じている人がいます。お腹が急激に大きくなり、ママになる自覚をもちはじめ、赤ちゃんの誕生が楽しみになる一方で、出産への不安を感じたり、気持ちが不安定になりやすい時期です。

子宮がさらに大きくなり、胃が押し上げられて再びつわりが始まったかのように吐き気や嘔吐、胸やけなどの症状が出たり、食後に気持ちが悪くなる人もいるようです。これを一般的にあとつわりとよびます。

妊娠中は、体内の血液量が増加しますが、赤ちゃんに優先的に血液が送られるためママは貧血になりやすい傾向にあります。めまいや倦怠期、頭痛などの症状は貧血かもしれません。


お腹の大きさ

子宮底はみぞおちの近くまで上がってきます。離れたところから見ても妊婦さんらしいお腹の膨らみが見られます。お腹が大きくなり、身体が重くなるので少し歩いたり、動くだけで疲れを感じやすくなります。


妊娠34週目の妊婦さんの身体

妊婦
iStock.com/violet-blue

妊娠34週は、胎動が落ち着いてくる人もいれば、痛いくらいに激しい胎動を感じる人もいて胎動には個人差があります。

お腹が大きくなると、身体を支えるために足に負担がかかり、むくみを感じる人も多く、妊娠中にこむら返りを起こす人も多いようです。膀胱が圧迫されて頻尿の症状も表れます。

内臓も圧迫されるため、肋骨や背骨が痛くなり、痛みから歩くことが困難になることもあります。

出産準備としておりものが増えたり、恥骨付近が緩むので、恥骨が痛んだり、生理痛のようなお腹の痛みを感じる人もいます。早い人だと、妊娠34週に前駆陣痛が起こる妊婦さんもいます。また妊娠中は、血圧が上がるので、お腹が張る回数が増えます。

女性ホルモンの影響で胸が大きくなり、母乳の準備のために乳首から黄色や透明の分泌液がでることがあるのもこの時期です。

妊娠34週目の赤ちゃん

赤ちゃんの身体

妊娠34週の赤ちゃんの身長は、45~50㎝程度です。体重は1800gない場合もあれば、2500g近い赤ちゃんもいて個人差があります。

この時期の赤ちゃんは、内臓機能がほぼ完成してきて、超音波(エコー)検査では臓器の配置がしっかりと確認できるでしょう。

皮膚にも脂肪がついて赤ちゃんらしくふっくらしてきます。骨がしっかりしてきて、爪も形成されて伸びてきます。目や鼻、口、唇などのパーツの輪郭もはっきりしてくるので、3Dエコー検査でみると赤ちゃんの顔や形の凹凸、表情まで見ることができるでしょう。


胎内での様子

消化機能や体温調節機能などの自律神経が発達し、感情が出てきます。呼吸様運動ができるようになり心拍数も調節できるようになります。昼と夜の区別はついていませんが、30分おきくらいに寝たり起きたりを繰り返し、羊水を飲んで、排泄の練習を繰り返しています。

またこの時期は、脳や感情が発達しているので赤ちゃんが外の声に反応して動くこともあるようです。胎動が落ち着くことが多いようですが、ママが痛いと感じるくらい激しい動きをする場合もあり、胎動には個人差があります。

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妊娠34週目のうちにやっておきたいこと

妊娠線対策

クリーム
iStock.com/pixgrapher

前駆陣痛やあとつわりなどの症状が表れて、妊娠線のことまで意識をするのは難しいかもしれません。しかし妊娠34週ころは、お腹が一気に大きくなり、妊娠線ができやすい時期です。

お風呂上がりや乾燥を感じるときは、妊娠線用のクリームやローションのケアが必要です。
お腹を中心に胸や太ももなど脂肪が集まりやすいところは特にしっかりと保湿をすることが大切です。


適度な運動

お腹が大きくなる妊娠9ヶ月は少し動くだけで疲れを感じやすくなります。少し動いただけで疲労がたまると、動くことが億劫になり、座ったり、横になったりすることが多くなるでしょう。

妊娠中は子宮が大きくなり、体重が一気に増えることでマイナートラブルも増えます。適度な運動は体重調節ができるだけでなく、腰痛や便秘などを解消できるかもしれません。

妊婦さんには、ウォーキングやマタニティヨガ、マタニティスイミングなどの運動がおすすめです。身体をひねる動作や転倒する恐れのある運動は控え、医師から安静の指示がなければ、出産時の体力や筋力作りにもなるので、適度な運動を積極的に取り入れてみましょう。


産休の過ごし方

仕事をしているママは、妊娠34週から産休に入る人も多いでしょう。

労働基準法では、出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)を産前休業としています。産後は、8週間経過後か本人の希望で医師の許可がおりれば、産後6週間経過後から働くことができると定められています。

産後の仕事復帰をいつからにするかは、ママの体調やそれぞれの家庭状況、保育園問題などで復帰時期は変わってくるでしょう。いつごろ、仕事復帰をするかの時期を上司にしっかり連絡をしておくと、産後の職場復帰もスムーズに行くでしょう。

妊娠34週目の妊婦さんが注意すること

持ち物に意識を

妊娠9ヶ月は臨月目前です。いつ陣痛や破水が起こるかわからない時期なので入院、出産に備えて必要なものを揃えておくことが大切です。外出時は母子手帳、健康保険証を必ず携帯し、破水したときのためにバスタオルを持ち歩きましょう。


こまめな休息

出産準備で骨盤が開いてくる時期です。歩行に痛みが出る人もいるようです。骨盤付近に違和感を感じたときは横になって休みましょう。無理をしないでこまめに休息をとることが大事です。


里帰りを済ませる

臨月に入ると体調が変化しやすく、安定しないことも増えます。安心して分娩に臨めるように産院とのコミュニケーションを取ることも出産には大切なことです。赤ちゃんが予定日より早めに生まれる可能性も考慮して、妊娠34週くらいまでに里帰りできるとよいですね。

しかし、仕事の都合でまだ帰省ができないママもいるでしょう。お腹が大きくなるほど移動時の身体の負担はかかりやすくなるため、ママの安全のためにも移動中の電車や飛行機はスペースが広めの席を事前に予約しておくなど下調べと準備をしっかりしましょう。

マイナートラブルの分、赤ちゃんが成長している時期

空を見上げる妊婦
iStock.com/kyonntra

妊娠9ヶ月である妊娠34週は、胎動が落ち着いてくる人もいれば、まだ痛いくらいの激しい胎動を感じている人もいる時期です。

お腹が一気に大きくなるので、なかには膀胱が圧迫されて頻尿や尿漏れをがおきたり、胃が圧迫されることで再びつわりのような症状などマイナートラブルを感じる妊婦さんも増えます。

出産が目前になり不安になるときもあるかもしれませんが、超音波(エコー)検査では、赤ちゃんの顔の輪郭や表情が見られたり、肌がふっくらした赤ちゃんらしい姿に喜びも増す時期でしょう。

妊娠9ヶ月頃は、里帰り出産の人は帰省を済ませたり、出産の準備をして対応できるようにしておくことが大事です。この時期、産休に入る人も多いと思いますが、仕事の引継ぎをしっかりしておけるとよいですね。お腹の赤ちゃんと残り少ない妊娠期間を楽しみましょう。


監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
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