なぜマイナンバーカードはこんなにも”使えない”のか…韓国はできたのに日本が「デジタル化」できない構造的欠陥
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なぜマイナンバーカードは不人気なのか。地方自治総合研究所特任研究員の今井照さんは「便利に見えて、かえって国民の負担が生じているからだ。デジタル化で行政の効率化が進まないのには、日本特有の原因がある」という――。(第2回) ※本稿は、今井照『自治体は何のためにあるのか』(岩波新書)の一部を再編集したものです。
“デジタル化”なのになぜか増える手間
デジタル化そのものは社会の趨勢ですし、そのことによって解決できる問題が多々あることは事実です。ただし、国の進めているデジタル化が、なんかチグハグだと感じている人は少なくないでしょう。
たとえば、マイナンバーカードは、暗証番号の更新のために、少なくとも5年に一回は老若男女を問わずに役所の窓口に出向くことが大きな負担になっています(代理人手続きもありますが、相当に煩雑です)。デジタル化によって、かえって役所に出向く回数が増えるとは、何かが間違っているとしか思えません。
当然、市町村にとっても新たな負担となり、作業量の増加はもとより、人員や財源の確保が必要になっています。しかもこの事務は導入期の一時的な増加ではなく、現在の制度が続く限り永遠に続く事務量の増加です。
したがって、市町村によっては、新しい組織を作り、別に事務所を借りて対応しているところもあります。これらを国全体で積み上げたら、相当大きな負担増になっているに違いありません。

韓国が行政のデジタル化に成功したワケ
このようになってしまう原因はさまざまに想定できますが、最大の問題点は現在の政策や制度をそのままシステム化してしまうことではないかと思います。たとえば、日本の社会政策は世帯単位になっているので、そのままではマイナンバーと齟齬が生じます。
いくらマイナンバーと個人の預金口座とを紐づけても、世帯単位で給付金を出すことになれば、個人単位でできているマイナンバーをそのままでは使えません。一手間も二手間も増えて、かえって事務は煩雑になり、時間もかかって、ミスも多くなります。
本来なら政策執行過程を徹底的に分解したうえで、システム化を進めればよいのですが、大手ITベンダー企業からの出向者が半分を占めるデジタル庁職員に、そのような役割を期待するのは酷でしょう。
たとえば、韓国は、行政のデジタル化などを目的として、戸籍制度を廃止したと伝えられています。それくらい思い切った行政改革をしないと、行政のデジタル化の意義は達成できないのです。




























