やっぱり東京一極集中には無理がある…大災害が起きたら「避難所」には絶対に入れない巨大自治体の構造的欠陥

やっぱり東京一極集中には無理がある…大災害が起きたら「避難所」には絶対に入れない巨大自治体の構造的欠陥

東京や横浜など大都市を直撃する災害が起きたらどうなるのか。地方自治総合研究所特任研究員の今井照さんは「効率性を求めて巨大化した東京のような自治体は、市民の数に対する備えが十分とは言えない」という――。(第3回) ※本稿は、今井照『自治体は何のためにあるのか』(岩波新書)の一部を再編集したものです。

自治体は“ディフェンダー”であるべき理由

自治・分権にとって、「融合」から「分離」への再編が重要ですが、一気に転換できない以上、現在の自治体を「あるべき自治体」へ少しずつ、近づけていく実践が大切になります。このとき重要なのは、自治体のミッション(使命)を揺るがせないことです。

これまで幾度となく書いてきましたが、私は自治体のミッションを、「今日と同じように明日も暮らし続けられることを市民に保障する」、と考えています。つまり、自治体は市民生活のディフェンダーであるべきなのです。

一見すると、このミッションは、ややネガティブな印象を与えるかもしれません。得点を取るフォワードのほうが、一般的には華やかな存在です。現代サッカーでは、ディフェンダーも攻撃の一番手と言われていますし、自治体もそうであってほしいですが、まずは守備です。

一点も取られてはならないのです。一方で、自分の生活は標準以下ではないか、この状態のまま暮らし続けろと言うのか、というお叱りもあるはずです。もちろん、このミッションには、生活の最低基準(シビル・ミニマム)を自治体が市民とともに策定し、市民生活をその水準まで高めることが前提です。

つまり、シビル・ミニマム以下の生活があれば、自治体としてその水準まで引き上げる責務を負うのは当然です。

自治体は誰一人取り残してはいけない

水準を維持するとは、何もしなくてよいということではありません。むしろ、その正反対です。常に、あらゆるところに目を配り、改革を進めていかないと、水準を維持することは困難です。たとえば、驚異的なスピードで進む情報消費社会の果実を、自治体の政治行政に活かさなければなりません(現状の課題については、本書で触れています)。

特に、自治体の政治行政で重要なことは、市民一人ひとりの全員を対象にしていることです。この点が、一般の経済活動と大きく異なるところです。なぜなら、自治体は「開放的強制加入団体」だからです(太田 2015)。

市民は、今の自治体から別の自治体に移るという選択肢を持っていますが、決して自由気ままに移れるわけではありません。現実的には、何らかの事情によって、その自治体で生活することになる偶発性や必然性があるのです。

しかし、決して意思的にではなくても、選択した以上、強制的にその自治体へ属することになります。だからこそ、自治体の政治行政は、誰もが零れ落ちることのないように、市民一人ひとりの全員を対象にしなければならないのです。

一般の経済活動は違います。もちろんビジネスの発展のためには対象を拡大したほうがよいかもしれませんが、網羅的に全ての人を対象にする必要はありません。特定の人に特定のサービスを提供するだけでも、持続可能であればビジネスは成り立ちます。

参考文献:太田匡彦(2015)「居住・時間・住民―地方公共団体の基礎に措定されるべき連帯に関する一考察」嶋田暁文・阿部昌樹・木佐茂男編著『地方自治の基礎概念――住民・住所・自治体をどうとらえるか?』公人の友社

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