野菜サラダだけではない…食事の15分前に食べておくだけで血糖値上昇を抑える「効果アリ」の意外な食品
糖尿病を防ぐためにはまず「食べる順番」を工夫する
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糖尿病の食事療法では、食事の際、最初にサラダを食べるように指導されることが多い。糖尿病内科医の山村聡さんは「いわゆるベジファーストで、それ自体、食後血糖値を上げないためには有効だが、実験したところ、他にも有効な食べ物があった」という――。 ※本稿は山村聡『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
「ベジファースト」+「カーボラスト」はたしかに効果あり
食べ順といったとき、みなさんの頭にパッと思い浮かぶのは、「ベジファースト」でしょう。
そもそも、ベジファースト流行の発端となった最初の研究は、「食事の10分前に野菜を食べた場合と、主食(ごはん)を先に食べて10分後にほかの食事を食べた場合とで比較すると、野菜を先に食べたほうが血糖値の上がり方がゆるやかになることがわかった」といったものでした。この論文がきっかけとなって、世間では、「先に野菜を食べると、何か身体にいいらしい」とか、「ダイエットもできる」とか、「糖尿病にいい」とか、いろいろなことがいわれ始めました。
ベジファーストが一般的に大流行して、広く使われるようになったおかげで、現在では、食べ順の工夫というと、もっぱらベジファースト一辺倒になってしまつています。
しかし、食べ順の工夫は、とくにベジファーストでなくともよいとお考えください。
最も肝心なのは、血糖値を上昇させてしまう炭水化物(=糖質)を摂取するのを、できるだけ食事中の後ろに回すこと。
「カーボラスト」という言葉も使われています(図表1)。
「カーボラスト」「三角食べ」、食べ方の順番で血糖値を比較
つまり、炭水化物(カーボ)を最後(ラスト)に食ベようということですね。
アメリカ・ニューヨークのウェイル・コーネル医科大学のカーボラストに関する研究を紹介しましょう。この研究では、3つの食事パターンを比べています。
・パターン1(カーボファースト):パンとオレンジジュースを食べ、10分後に鶏肉とサラダを食べる
・パターン2(カーボラスト):鶏肉とサラダを食べ、10分後にパンとオレンジジュースを食べる
・パターン3(三角食べ):鶏肉と野菜サラダ、パン、オレンジジュースをそれぞれ半分ずつ食べる。10分後に、残りの半分を食べる。
図表2のグラフのように、この3者を比較したところ、炭水化物を最後に食べるパターン2(カーボラスト)では、血糖値の変動が非常にゆるやかで、急上昇も抑制されていると報告されています。たしかに、グラフのようにカーボラストがいちばん穏やかな変動になっています。