〈森友問題〉文書廃棄はなぜ起きたか…岩田健太郎が霞が関の席を埋める「ずる賢い大人」に言いたいこと

〈森友問題〉文書廃棄はなぜ起きたか…岩田健太郎が霞が関の席を埋める「ずる賢い大人」に言いたいこと

森友学園問題をめぐる関連文書の開示が始まっている。なぜ、いまだ解決されないのか。感染症医の岩田健太郎さんは「立身出世のためなら、どんな非道なことでもバレなければやっていいという日本の官僚体質が根底にある」という――。

ファクト認識すらまともにできない輩たち

政治家が保守的であろうと、リベラルであろうとそれは構わない。自分が信じる「正義」に忠実であることは、左右のイデオロギーとは関係なく政治家にとって重要な資質である。

しかし、そのイデオロギーのために事実、ファクトをひん曲げるような不実な態度は政治家にはふさわしくない。いや、人間一般にもふさわしくない。たった数十年前の戦争のファクト認識すらまともにできず、情報、データを正確に解釈できず、自分の信念に寄せることでファクトを捻じ曲げるような輩に政治家である資格はない。まっとうな大人とすら、呼べない。

森友学園問題はまだほんの数年前の出来事である。よって「もう過ぎたことだ、これ以上、あの話を蒸し返すな」というのは大きな間違いだ。我々は何十年、何百年、いや何千・何万年前の事実についても常に高い関心を持ちつづける。それが知性というものだ。

出来事が数年前のことだから、もう考えなくてもよいというのは悪い意味での流行追随者に過ぎず、そこには真の意味での知性はない。知性は大事である。昨今は「知性などどうでもよい」というふざけた態度が蔓延しているから、こんなアタリマエのことも繰り返し明言しなくてはならない。

学校法人「森友学園」への国有地売却に関する関連文書が開示されたが、一部の文書が欠落していた。「廃棄されたと考えられる」と財務省は回答した。

官僚が仕える先は、所属省庁でも内閣でも大臣でもない。国民である。国民が税金を払い、それが官僚の給与の原資である。その出資者に対して情報開示を怠り、上司(?)の命令で非道な情報隠し、文書改ざん、さらには破棄までやらかす。「恥を知れ」と言いたい。

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2025年4月4日、森友学園の関連文書開示を巡る日程

恩師が遺した「プロフェッショナルとは何か」

官僚は二言目には「省益」というが、嘘である。本当に大事なのは「省」ではなくて、「自分」なのだ。省益を最優先させ、あるいは内閣のやんごとなき人々におもねって国民をだまくらかさないと立身出世はおぼつかない。どんな非道なことでも、バレなければいいわけで。

私がニューヨーク市で内科研修医をしているとき、恩師であるマイケル・レッシュ医師(故人)に教わったのは、「プロフェッショナリズムとは、誰も見ていないところであっても、やはり同じ行動が取れることだ」と述べた。誰かが見ている時と、そうでない時で行動原理が変わってしまう輩はプロとは言えないのだ。

そういう意味で、日本の官僚はプロと言えない。この傾向は近年拍車がかかっており、正義感があって優秀な官僚は辞めたり、自殺を強いられたりしている。若くて優秀で正義感あふれる若者も、日本の官僚にはなりたがらない。これこそ大きな国益上の損失ではないか。

そうして、小汚くて、ずる賢くて、上司にへいこら、目下においこらして、出世のためなら事実を平気で隠したり捻じ曲げたりするようなつまらない連中が霞が関の席を埋めていくのである。

そういう連中のために、以下の文章を記す。「ハードボイルド」について、である。

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2025.05.19

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