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子どものヨガにはどんな効果がある?キッズヨガのポイント
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一般社団法人日本キッズヨガ協会 代表理事/インド政府厚生省AYUSHI認定ヨガマスター/全米ヨガアライアンスE-RYT500/RCYT/YACEP/保育士
一般社団法人日本キッズヨガ協会 代表理事/インド政府厚生省AYUSHI認定ヨガマスター/全米ヨガアライアンスE-RYT500/RCYT/YACEP/保育士
一般社団法人日本キッズヨガ協会 代表理事。ヨガ指導歴15年。古典のヨガをベースに、子ども向けヨガ『キッズヨガ®︎』のコンテンツ開発や指導、指導者育成を続けている。インド政府厚生省AYUSHI認定ヨガマスター、全米ヨガアライアンスE-RYT500、RCYT、YACEP。保育士。早稲田大学人間科学学術院 前橋明教授監修のキッズヨガ®︎指導者養成講座を対面やオンラインで開催。
健康やメンタル面によいイメージのあるヨガ。子どもの頃からヨガをすることによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。キッズヨガは何歳から取り組めるのか、子どもとヨガをする時のポイントや注意点、体験談をご紹介します。
子どもが「ヨガ」に取り組むメリット
コロナ禍を背景に、マット一枚あれば自宅でも簡単に取り組めるヨガの人気が高まっています。運動不足解消やダイエット、リラックスなど、さまざまな効果があるとされ、ヨガ人口は今後ますます増加すると考えられています。
ヨガによりもたらされる効果は、大人だけでなく子どもも同じです。日本よりもヨガが身近にある欧米では、プログラムに「キッズヨガ」を取り入れている学校もあるそうです。
子どもの頃からヨガに取り組むと、どのようなメリットがあるのでしょうか。3つの側面から解説します。
運動機能の向上
子どもたちを楽しませるインターネット上のさまざまなコンテンツや、オンライン上で簡単にやりとりができるツールの功罪として、現代を生きる子どもたちは、自分の体を使った実体験の機会が減ってしまいました。
スポーツ庁の調査によると、スクリーンタイム増加などの生活習慣の変化のほか、コロナ禍によるマスク着用中の激しい運動の自粛などもあり、子どもたちの体力が1985 年前後をピークに低下しているという結果が出ています。
出典:令和4年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果/スポーツ庁
走る、跳ぶ、投げる、(手を)つく、転がるといった基本動作が苦手なだけでなく、周囲の情報を認識し、それに合わせて体を動かす空間認識能力が充分でない子どもたちも増えているため、指導者の動きを認識して同じ表現をするビジョントレーニングが含まれるヨガは子どもたちの基礎的な運動能力・身体能力の向上につながります。
また、スポーツとは異なり点数や勝ち負けのないヨガは、子ども一人ひとりの成長や発達に応じた体の基盤を育むことが可能です。
体の調子を整える
ダイエットや美容を目的としてヨガを行う方もいますが、本来のヨガのアーサナ(ポーズ)の目的は「快適で安定した姿勢」をとること。
運動不足や下を向くことの多いデジタルデバイスの利用により、猫背で姿勢の維持が難しい子どもが増えています。ヨガのアーサナ(ポーズ)を繰り返し行うことによって柔軟性はもちろん、基本的な筋力や体幹、正しい姿勢の維持、バランス感覚を鍛えることができます。
ヨガは、深い呼吸に意識を向けるため、交感神経と副交感神経のバランスがとれて自律神経を整える働きがあります。深い呼吸により酸素が体内に十分運ばれ、内臓の機能やリンパの流れがよくなり免疫力が向上する可能性があります。
心が安定する
ヨガは、心を安定させる効果もあります。
心と体がシンクロナイズするという考えがある為(心身相関)、快適で安定した姿勢を保つ練習であるアーサナ(ポーズ)は心を安定させる効果もあります。
ストレスは、自律神経系、内分泌系、免疫系に影響を及ぼすといわれています。不安やイライラは、頭痛や腹痛などの体の不調に現れたり、癇癪を起こしたり、朝起きれない、学校に行きたくないなどといった行動に現れることもあります。ヨガ特有の呼吸に意識を向ける時間はストレス軽減に繋がり、こういった心身の不調を穏やかにするといわれています。
ヨガが健康的な体操として知られているのは、効率の良い休息(シャバーサナ)が含まれていることも理由の一つに挙げられます。仰向けで休む姿勢を保つことで、体の急速な回復が促されます。効率的な休息のしかたを子どもの頃から身につけることで、目まぐるしく変化する時代の中でもセルフケアをしながら元気に活躍していけるでしょう。
成績が上がる
バランス感覚を鍛えるアーサナ(ポーズ)は、その姿勢を維持するための高い集中力を養うことができます。呼吸やポーズなど、一つのことに意識を向け、それを維持する練習は、マインドフルネスともいわれます。
余分な考えが浮かばない時間を保つトレーニングを重ねることで、リラックスしながら集中力を高めることができる様になります。焦らず落ち着いて物事を進めることができるので、勉強のケアレスミスが少なくなり、成績向上に繋がるという研究結果もあります。
ヨガは自分の内側と向き合う時間でもあるため、子どもが自分の感じていることを認識しやすくなります。複雑で変化の激しい時代だからこそ、身の回りの物事と調和して、自ら生きやすいマインドや環境を作っていくことが大切です。
習い事としても注目のキッズヨガは何歳から?
習い事の一つの選択肢としても注目されているキッズヨガ。多くのスクールでは、3歳以上を対象としているようです。ただし、小学校高学年の子どもと3歳の子どもを同じ内容で教えることは難しいため、年齢別にクラスを設定しているスクールもあります。
また、2歳以下の子どもも対象としているスクールもあるようですが、親子で一緒に取り組む「親子ヨガ」と表記している場合もあります。
単発のイベントやワークショップの場合は、対象年齢を確認してから申し込みましょう。
「親子ヨガ」で絆を深める
ヨガをするとさまざまな効果が期待できるため、子どもだけではなく大人も一緒にヨガに取り組んでみるとよいでしょう。自律神経のバランスが整い、日頃の疲れが解消しリフレッシュできるかもしれません。
キッズヨガは、大人に向けたアプローチの仕方とは異なり、各年齢や発達段階に合わせてプログラムが組まれています。
バッタや木、船、スーパーマンなど子どもに馴染みのあるものに例えてポーズをとったり、ストーリー仕立てのヨガを取り入れたり、ペアやグループでさまざまなポーズに挑戦したり、子どもが楽しめる工夫が施されています。
子どもと一緒にヨガをすることで、スキンシップを通したコミュニケーションができるため、親子の絆も深まりそうです。
レッスンを受講する際は、「親子ヨガ」以外に「キッズヨガ」と書いてあっても、大人も参加できる場合があるため、申し込み時に確認してみましょう。
子どもとヨガをするときのポイント
子どもにとって最も身近な存在である保護者の気持ちを、子どもは敏感に察知します。保護者がリラックスした表情でヨガをしていると、子ども自ら保護者の動きをまねすることもあるでしょう。
また、子どもは大人ほどうまく言葉を扱うことができません。親子ヨガは、言語による意思疎通が思い通りにいかない幼児期の子どもとコミュニケーションを図るためにぴったりなツールです。
子どもと一緒にヨガを行う時のコツをご紹介します。
まず、親子ヨガを行う時は、子どもが理解しやすい言葉を使い、初めのうちは短い時間で終わらせましょう。慣れてきたら少しずつ時間を延ばしていきます。
また、毎回子どもの得意なアーサナ(ポーズ)を取り入れることもポイントです。「できた!」という自信につながり、「もっとやりたい」というチャレンジ精神も養われます。
ポーズが完成したら何呼吸分その姿勢を保てばよいかを知らせて、見通しを持たせることも大切です。
子どもとヨガを行うときの注意点
子どもとヨガを行う時は、以下に注意しましょう。
食後すぐに行わない
ヨガは朝起きてすぐ、朝食をとる前に行うことが望ましいのですが、子どもとヨガを行うときはなかなか難しいかもしれません。
そういった場合でも、食後すぐにヨガをすることは気分が悪くなる可能性があるため、消化にエネルギーを使い終わった食後2~3時間過ぎてから行いましょう。
集中しやすい環境を整える
子どもが集中しやすい環境でヨガを行えるように、なるべくおもちゃなどの気が散るものは目に入らない部屋で行うことがベストです。テレビなどは消して、静かな環境を作りましょう。
楽しくチャレンジできる範囲に留める
初心者向けのキッズヨガのプログラムは簡単に取り組めるものを中心としていますが、ヨガのアーサナ(ポーズ)の中には、難易度の高いものもあります。
成長期である子どもは関節や筋肉がまだ安定していません。大人のヨガのようにひとつのポーズを長く維持するのは避けましょう。痛みを感じる可動域の限界までポーズを深めようとすることはケガにつながるため危険です。
無理なくポーズをとれるか、心地よい刺激を感じる範囲に留めるように配慮してあげましょう。子どもは「できた!」が増えるのが楽しいので、様子を見ながらどんどんチャレンジをさせてあげましょう。
また、子どもは想像以上に素直に集中し頑張るため、大人は子どもが無理をしていないかよく観察しケアをしながら進めていくことが大切です。
気分が乗らない時は無理をさせない
子どもの気持ちがヨガに向いていないときは無理強いせず、まずは保護者からヨガを始めてみましょう。保護者が取り組む姿を見て、子どもも一緒にトライしてみたい気持ちが芽生えるかもしれません。
また、子どもの気分が乗らない時は体調が優れない可能性もあります。子どもの気持ちを優先して、子どもがやりたいと思った時にまずは親子一緒に取り組みましょう。
キッズヨガの学びを深めたい場合は資格取得も
キッズヨガを行うにはスタジオに通ったり、オンラインで体験したり、単発のワークショップに参加したりと、いくつかの方法があります。
子どものさまざまな力を育むキッズヨガの学びを深めたいと思った場合は、キッズヨガインストラクターの資格を取得することも一つの方法です。全米ヨガアライアンスのRCYTという世界基準の資格もあります。
スクールにもよりますが、インストラクター養成講座では数十種類のアーサナ(ポーズ)の取り方だけでなく、ヨガの目的や呼吸法などの基本や、子どもに楽しんでもらうためのレッスンの組み方、指導のコツなど、実技と座学の両面から学ぶことができるようです。
通学やオンラインなど、ライフスタイルに合わせてスクールを選ぶとよいでしょう。また、スクールによって特色が異なるため、自分にあったスクールに出会えるとよいですね。
「子どものヨガ」に関する体験談
子どもといっしょにヨガを楽しんだり、キッズヨガに興味があったりといったヨガに関する体験談を集めました。
動画で人形がヨガをやっているシーンを見て、子どもも面白がってヨガのポーズを真似していて驚きました。保育園では、たまにキッズヨガのような体操をしているそうです。
下の子が2歳くらいの時いっしょにヨガに行っていました。子どもも真似してヨガのポーズをしたり、猫ポーズをする私の背中に乗ったりしていました。
妊婦なのでマタニティヨガに興味があります。子どもが生まれたら産後ヨガやキッズヨガもやってみたいです。
第二子が赤ちゃんの頃に、ベビーヨガに行ったことがあります。インスタ映えしそうなオシャレな空間で、赤ちゃんもオシャレをしている子が多かったです(笑)。
ヨガインストラクターの資格を取得中、6歳の息子に練習相手をお願いしました。集中力が続かず、途中で飽きてしまったようだったので、子どもが楽しく取り組めるようキッズヨガの勉強もしてみたいと思いました。
練習の感想を聞くと「楽しかった」と言ってくれて励みになりました。
子どもと一緒にヨガを楽しもう
運動機能や集中力の向上、リラックス効果など、ヨガにはさまざまな効果があるとされています。じっくりと自分の内側に耳を傾け、体や心の小さな変化に気づきを与えるヨガを続けていくうちに、自分自身への理解が深まり、自己認識の力も育まれるでしょう。
子どもの頃からヨガをすることで、身体的、精神的、内面的に安定した状態を保つ基盤を作ることができるかもしれません。
子どもといっしょにヨガを通した心と体のコミュニケーションを楽しめるとよいですね。
監修:
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ミナクシみよこ
一般社団法人日本キッズヨガ協会 代表理事。ヨガ指導歴15年。古典のヨガをベースに、子ども向けヨガ『キッズヨガ®︎』のコンテンツ開発や指導、指導者育成を続けている。インド政府厚生省AYUSHI認定ヨガマスター、全米ヨガアライアンスE-RYT500、RCYT、YACEP。保育士。早稲田大学人間科学学術院 前橋明教授監修のキッズヨガ®︎指導者養成講座を対面やオンラインで開催。
ヨガが趣味なので家でやっていたところ、4歳の娘がドアをこっそり開けて気づいたら隣でやっていました。気が向いたときしか一緒にやることはありませんが、今では逆立ちのポーズができるようになり、自信につながったようです。