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お医者さんにきく、花粉症の市販薬と病院の処方薬の違い。どちらが割高?
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内科医
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内科医として約10年間地方の病院・診療所に勤務した後、現在は総合診療医として非常勤勤務しながら、二人の子どもの育児中。
また今年もスギ花粉の飛散が始まってしまいます。「花粉症は、早めの治療を」といわれており、花粉の飛散開始、あるいは症状が出てすぐの、早めのタイミングで治療をすることが有効です。でも、市販薬で済ませるか病院に行くか、迷いますよね。市販薬と病院でもらえる薬や、セルフメディケーション税制について、お医者さんが解説します。
著者:箕島みな
内科医として約10年間地方の病院・診療所に勤務した後、現在は総合診療医として非常勤勤務しながら、二人の子どもの育児中
「薬局で市販薬」は、ちょっと割高です
花粉症の治療の基本となるアレルギーの薬は、「抗ヒスタミン剤」です。その中でも、副作用の比較的弱い「第二世代」と呼ばれるものがよく使われています。これらは、病院で医師が処方する際にも、治療の中心とすることが多い薬です。
医師の処方箋なしに買える「第二世代の抗ヒスタミン剤」の市販薬には、「アレグラFX」「ストナリニZ・コンタック鼻炎Z」「アレジオン20・10」「エバステルAL」などがあり、効果の強さ、用法、眠気などがそれぞれ異なりますので、薬局で薬剤師さんと相談しながらの購入をお勧めします。
病院に行く時間がない人は、「薬局で市販薬」でも大丈夫ですが、ちょっと割高になります。
「市販薬は割高」ってどういうこと?
■病院で処方してもらう
→健康保険が使え、薬代が3割負担(1,000円の薬なら、自己負担300円で買える)
■薬局で市販薬を買う
→健康保険が使えないので、薬代は全額自己負担(1,000円の薬は1,000円で買う)
病院を受診すれば診察の代金(自己負担600円〜1,500円程度、医療機関や診察の内容によって異なります)が必要ですが、それを加味しても、概ね30日以上薬を使うならば、病院で処方してもらった方が「同じ効き目の薬が安く手に入る」ことになるでしょう。
「セルフメディケーション税制」が始まっています
しかし、「なかなか病院に行く時間がない」という方の中には、全部市販薬で乗り切る方もおられるでしょう。これらの薬は、今年から始まった「セルフメディケーション税制」の対象になっています。
家族で1年間の購入金額が1万2千円以上になった場合には、所得税・個人住民税が安くなるとのことなので、レシートを保管しておくと良いようです。(詳しくは、ページ最後のリンクをどうぞ)
病院でしかもらえない薬もある
病院でも、治療の主役は薬局の市販薬と同じ成分の「第2世代抗ヒスタミン剤」を使用することが多いですが、その他に、市販薬としては買えない薬を処方することがあります。
例えば、主に鼻づまり(鼻閉)の症状が強い方に処方する「抗ロイコトリエン薬」や、最重症の方に短期間の投与を考慮する「経口ステロイド薬」などは、医師の処方箋が必要です。
重症の方は医療機関を受診して、医師と相談してみることをおすすめします。
病院を受診するまでの「つなぎ」としての市販薬
最初にも書きましたが、「花粉症は、早めの治療を」と言われており、花粉の飛散開始、あるいは症状が出てすぐの、「早めの」タイミングで治療をすることが有効です。症状がひどくなってしまってから薬を使うより、初期から薬を使った方が効果が得られやすいといわれています。
ですから、「本当は病院で(安く)薬をもらいたいけど、今すぐには時間が取れない」というような場合に、病院に行くまでの1〜2週間を市販薬で乗り切った上で病院を受診する、という使い方は、スマートな使い方だと思います。
市販薬で症状が改善しない場合には、病院へ
花粉症(アレルギー)に対する市販薬として、病院でも治療によく使用している同じ成分の薬が販売されています。少し割高ですが、時間のない方や、病院を受診するまでの「つなぎ」として使用される場合にはおすすめです。
市販薬で症状が改善しない場合には、病院を受診してみてください。
著者:箕島みな
内科医として約10年間地方の病院・診療所に勤務した後、現在は総合診療医として非常勤勤務しながら、二人の子どもの育児中