年々増加の子どものアトピーはエビデンスベースで正しく見極める

年々増加の子どものアトピーはエビデンスベースで正しく見極める

肌に湿疹ができてかゆみを伴うアトピー性皮膚炎。「これってアトピー?」と気になっているママやパパも多いのではないでしょうか。今回は、子どものアトピーの原因や症状、予防ケアのポイントについて、小児科医でアレルギー専門医の眞々田先生に聞きました。

子どものアトピー(アトピー性皮膚炎)とは?

アトピー性皮膚炎は、アレルギーが原因で起こる皮膚疾患の一つ。主な症状はかゆみを伴った湿疹で、年々増加傾向にあるといわれています。


アトピーの初期症状

―― 赤ちゃんのアトピー性皮膚炎には、どのような症状があるのでしょうか。

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眞々田先生
眞々田先生

アトピーの初期段階では、『皮膚がカサカサする』『赤いポツポツ(湿疹)ができる』などの症状があらわれます。

赤ちゃん(乳児期)は、顔や首回り、肘や膝の内側など、お肉が重なる部分できやすいですね。幼児期になると掻ける範囲が広がることで、全身にできてしまうこともあります。

アトピーの症状や部位には個人差があり、年齢によっても少し異なるようです。


アトピーの見分け方

―― 乳児湿疹や汗疹、肌荒れとの違いはあるのでしょうか。

眞々田先生
眞々田先生

『これが肌荒れ』『これがアトピー』と明確に判断するのは、初期の段階だと難しいと思います。

ただアトピーには『症状が続く・繰り返す』特徴があるので、たとえば『薬を塗ると良くなるんだけど、止めるとぶり返してしまう…』などの症状は、アトピーを判断するひとつの目安にはなりますね。

アトピーは遺伝する?

―― 親がアトピーの場合、子どもへの遺伝が気になっている方もいるようです。アトピーは遺伝するのですか?

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眞々田先生
眞々田先生

アトピー性皮膚炎には、遺伝的要因があるといわれています。しかし、ママやパパがアトピーだからといって、必ずしも発症するわけではありません。

ダニやハウスダストなどの環境要因、食事やストレスなど、さまざまな要因が複雑に関わることで発症すると考えられています。

また、アレルギーが原因で起こるトラブル(食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎など)は全て連動しており、いずれかのアレルギーを持っていると、アトピー性皮膚炎と合併しやすいのだそう。

子どものアトピーの治療法には2種類ある

―― アトピー性皮膚炎の治療法には、どのようなものがあるのでしょうか。

眞々田先生
眞々田先生

アトピー性皮膚炎の外用療法には、症状が出たときに治療する『リアクティブ療法』と、症状の出る前から予防的に治療する『プロアクティブ療法』があります。

症状が出たときに治療する<リアクティブ療法>

眞々田先生
眞々田先生

リアクティブ療法では、ステロイド外用薬・軟膏・かゆみ止めなどで皮膚の炎症を抑え、炎症が治まったら保湿剤でケアするのが一般的な治療です。

症状の出る前から予防的に治療する<プロアクティブ療法>

眞々田先生
眞々田先生

再発の多いアトピー性皮膚炎の場合、リアクティブ治療ではうまくコントロールしにくいこともあり、現在では、徐々にプロアクティブ療法が推奨されるようになってきています。

『プロアクティブ療法』という言葉は馴染みがないかもしれませんが、保湿・スキンケアもプロアクティブ療法(=予防的に治療)に含まれているんですよ。

普段からしっかり保湿ケアをして肌のバリア機能を高めることで、アレルギー物質の侵入を防げます。

また、プロアクティブ療法には、予防的治療の他に「悪化を防ぐ・再発をできるだけ減らす」意味合いもあります。

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悪化や再発を防ぐためには、肌の状態をしっかり見極めることが大切。しかし見た目だけで判断するのは難しく、そこで紹介したいのが「TARC検査」という選択肢です。

アトピー治療で注目されている「TARC検査」

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TARC検査とは、アトピー性皮膚炎の炎症の程度が数値でわかる血液検査。

TARC値はアトピーの炎症度合いを測る値で、皮膚の炎症が強いとTARC値は高く、弱いとTARC値は低くなります。

眞々田先生のクリニックでも、アトピーで血液検査をする場合は、TARCを併用しているそう。


炎症を数値化することで治療の指標に

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眞々田先生
眞々田先生

炎症の程度が数値でわかると、納得感がありますよね。

治療をしてちゃんとTARCの数値が下がっていると、次のステップに進みやすく、治療のモチベーションにもつながると思います。

小児科はお母さんとお子さんの頑張りがベースでもあるので、その頑張りが目に見えるのも大きいですよね。

目に見えない炎症の手がかりにも

TARC検査は、目には見えない炎症を把握する手がかりにもなります。

眞々田先生
眞々田先生

アトピー性皮膚炎は、見た目では良くなっても皮膚の下では炎症が残っている場合があるんですよね。TARC検査は、そういった目に見えない炎症もわかるので、再燃を防ぐことにも役立ちます。

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「TARC検査」を活用し適切なケアを

iStock.com/FotoDuets
iStock.com/FotoDuets

TARC値は、血液検査の際に他の項目と合わせて測定でき、健康保険も適用されます。TARC検査のために、特別な採血をする必要はありません。

眞々田先生
眞々田先生

採血は痛みを伴うものなので、抵抗のある方も少なくないと思いますが、もし治療の過程で血液検査をする場合は、TARCのことをかかりつけ医の先生に聞いてみてもいいかもしれませんね。

アトピー性皮膚炎の治療においては、肌の状態を正しく把握することが大切。検査も上手く活用しながら、適切な治療やケアを進めていけるといいですね。

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Profile

眞々田容子

眞々田容子

台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。

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