憧れはできすぎ君。MENSA(メンサ)会員の娘がのびのび育った夫婦の秘訣【チャンカワイ後編】

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多方面で活躍する若者とその両親へ、天才のルーツを聞く連載企画『天才の育て方』。今回はスピンオフ企画として、6歳の時にMENSA(メンサ)に登録された娘を持つ芸人のチャンカワイさんにインタビュー。前編では娘さんの空間認識能力を育てた幼少時の遊びや、知的好奇心をくすぐる教育法、食生活などをテーマに家族のエピソードを話してもらいました。後編の今回は、チャン家のルールや子どもをのびのびと育てるための夫婦のコミュニケーションについて教えてもらいます。

チャンカワイさんの長女は6歳のときに、人口上位2%の知能指数を持つ人だけが参加できる国際グループ「メンサ」の会員に登録。

前編では、IQ139の頭脳を育てた幼少期の遊びや、探究心や知的好奇心をくすぐるロケ芸人ならではの教育法を教えてもらいました。

普通の娘が6歳でMENSA(メンサ)会員に。子どもの探究心を刺激するチャン家の教育法【前編】

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今回の後編では、YouTubeなどの娯楽を悪いものと捉えずに、勉強と遊びをごちゃまぜにして楽しむチャン家の日常や、同じ方向を向いて子育てをするための夫婦コミュニケーションについて、くすっと笑えるエピソードとともに話していただきました。

算数ドリルは勉強、YouTubeは娯楽と決めつけない

ーー前回は、娘さんの知的好奇心をどんどん引き出すチャンさん夫妻の子育てに学ぶことがとても多かったです。そんなチャン家では家族でのルールはなにかありますか?

チャンさん:前回の話でもありましたが、生活の中でも「のめりこんだことを優先」することをなによりも大切にしていますね。

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ーー前回聞いた色々なエピソードでもよく伝わりました! ルールというと、YouTubeやテレビなどデジタルデバイスとの付き合い方が家庭それぞれにありそうですが、チャンさんの家庭ではどうですか?

チャンさん:うちは「今日一日こんなに頑張ったもんね、ちょっと見ようか」と、ご褒美のような使い方ですかね。でも、知りたいことがあったときに事典みたいな感じでYouTubeを使うケースも多いですね。宇宙とか壮大なテーマだったり親が説明することが難しいことも、動画で見たらすごくわかりやすかったりしますよね。

テレビも一概に否定できないなと思います。僕だってテレビを見て社会の仕組みを学んできたから。娘に「火山ってなんであるの?」と聞かれたときに、「マグマが吹き出したのが火山でさ・・・・・・。パパ、ロケで行ったことあるから後で見る?」とか言うこともありますし(笑)。

※写真はイメージ(iStock.com/skynesher)
※写真はイメージ(iStock.com/skynesher)

チャンさん:もちろん親が仕事で行ったことがあるのは特殊なケースですけど、テレビや動画すなわち悪、ということではないですよね。長女にとっては算数のドリルをとくのも楽しいし、動画を見るのも楽しい。「勉強=つらいこと」「動画=楽しいもの」みたいに分けて捉えてはいないと思いますね。

ーーなるほど。そうは言ってもYouTubeは次から次へと面白そうなものが見れるので、もっと見たいってなりませんか?

チャンさん:そういう時期もありましたけど「何時まで」と決めて見ることによって、時間の概念も学んだんですよね。「長い針が9のところまでいったら終わりだよ」とか「あと15分だね」と言ってたら、どこまでわかってるのかは知らんけど、4歳の次女もなんとなくは読めるみたい。

※写真はイメージ(iStock.com/RapidEye)
※写真はイメージ(iStock.com/RapidEye)

チャンさん:時計を勉強として教えるのはけっこう大変だけど、生活している中で楽しいこととごちゃまぜにして同時進行で教えちゃう。お小遣いに関することは足し算を教えられるチャンスやし。それで次女も自然と足し算がわかるようになっていましたね。

娯楽と勉強を区別しないで、生活している中でくっつけちゃう。動画を見ることを制限するだけで終わらせないで、時計を同時に学べるよと。そうすることで、「制限ばっかりしているなぁ」という親の罪悪感やモヤモヤもとっぱらえるんじゃないかな

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ーーなるほど、共感するママ・パパが多いと思います。他に家庭内で大切にしていることはありますか?

チャンさん:家族でも「ありがとう」「ごめんなさい」はしっかりと言うようにしています。単なる挨拶とか定型文としてではなく、なんでその言葉を言うのか、向こう側が見える人になってほしいです。

前に自転車に乗っているときに長女が突拍子もなく、「涼しい!風、ありがとう!」と言ったときは、ちょっと想像を超えてきたなと思いましたけど(笑)。でも、そういう些細な感謝を敏感に感じ取れる子に育っていることは嬉しいですね。

※写真はイメージ(iStock.com/simonkr)
※写真はイメージ(iStock.com/simonkr)

ーーかわいい! 素敵な感性ですね!

チャンさん:大人だと「あざっすー」みたいに言う人いるじゃないですか。なにやねんそれと(笑)。でも「あざっすー」の中にも「めちゃめちゃ気持ちのこもったあざっすーやな」ということもあるかもしれないから、ちゃんと意味合いを込めれるようになってくれたらいいなと。

逆に「ごめんなさい」と娘に謝っても、「やだ」と言われることもありますよ。「え、まだこれ許してもらってないんだ」みたいな(笑)。でも、「なんで?」「こうだから」と、埋まってない部分をちゃんと言葉にする練習にもなると思うんですよね。だからここは大切にしたいと、長女が生まれてくるときから夫婦で決めていた部分でもありますね。

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※写真はイメージ(iStock.com/AntonioGuillem)
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ーー奥さんとは子育てに関して同じ方向を向いているように感じますが、最初からそうだったんですか?

チャンさん:子育てに関して言えばそうですね。お互い子どもに対しての理想像を持ってるわけではなく、のびのび育つためにはどうしたらいいか、それだけにこだわっていますね。「こういう人になってほしい」というのがあれば、このやり方が違うとか、道筋でぶつかるのかもしれないけど。

お互いが晩婚だったからなのかもしれないですね。やりたいことはもうやり尽くしたから、自分の人生より子どものことを考えるほうが楽しい。

ただ、夫婦という関係ではぶつかることもありましたよ。たとえば、奥さんが焼きそばを作ってフライパンの上に置いたまま待っててくれたことがあって、僕は帰ってきて「ありがとう」より先に「このやり方したらテフロンはがれるやん」って言っちゃったんですね。

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チャンさん:奥さんはしんどいなかで準備してくれていたようで、僕の一言にカチーンときて、それでぶつかったりとかはありますけど。奥さんは僕のことを想ってくれていたのに、なんで僕はフライパン想いのところを見せたんだと(笑)。

夫婦は相手に対して「気を使う」というとちょっと固いけど、「気にかける」ということが必要だし、お互いが気にかけていることが心地いいモードになっていたらいいなと。「あ、お布団はだけてるな」と気にかけても「お布団かけといたで」とか言う必要もないし(笑)。

ーーお互い気を使うのではなく、気にかける。チャンさん夫妻を表しているような気がしました。

チャンさん:そうは言っても、「え?」と思うこともたまにはありますよ。最近、長女が4日間の水泳の短期教室に参加したんです。それがなかなか大変で、3日目の夜に「このままじゃ明日合格できない」となって、区民プールで特訓することが決まっていて。

※写真はイメージ(iStock.com/Stefano Oppo)
※写真はイメージ(iStock.com/Stefano Oppo)

チャンさん:その日僕は仕事が終わってクタクタで腰も痛くて、「やっと家に帰れる。娘たちとごはんいっしょに食べれるかな」と思いながら家に帰ったんですけど。帰ったら僕が区民プールに連れて行くことになってて「嘘やん!」と思って(笑)。

なかなかしんどかったんですけど、娘が頑張って練習する姿を見るとこっちも熱くなりますよね。僕も夢中になって教えました。親が夢中になっていることが伝われば、子どもも夢中返しをしてくれるんですよ。その日のうちに75メートルも泳いでくれて、実際に次の日試験に合格できて。

正直、最初は「え、腰痛いって言ってるのにプールに行かそうとしてくるやん・・・・・・」とか思いましたけど、泳げるようになってそれを奥さんに報告して「やったー!」と喜び合ったときに、向いてる方向はいっしょだったなと感じました。

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チャンさん:次の日が試験やのに、自分の腰をかばおうとする必要もなかったかなと。奥さんはちゃんと湿布を用意してくれていたし、今考えるとそういうところだなと思いますね。

ーーなるほど。忙しいチャンさんが娘さんのことをちゃんと理解しているのも、奥様とのコミュニケーションが密なんだろうなと想像します。

チャンさん:本当にそうで、奥さんが四六時中子どもたちといっしょにいて些細なことでも全部報告してくれるのがめちゃめちゃありがたいですね。泊まりのロケのときも、奥さんとはほぼ必ず電話しています。

※写真はイメージ(iStock.com/AzmanL)
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チャンさん:「こんな喜びがあったよ」とか、「こんなことをママに言ってきた」とか。それを聞いて「じゃあ帰ったときにこれ言うわ」と。そう考えると作戦タイムみたいになってますけど、それをふたりとも楽しんでるのかもしれませんね。

あとは夫婦の役割分担がうまくできていると思っていて、僕の役割はリサーチャー兼投資家かなと。それぞれの立場で話し合うことは多いですよ。

「スケートのシューズに7万円かかります」「すみません、無理です」みたいな。場合によっては「でも、ここまでできるようになったんですよ。どうですか?」「わかりました、払います」みたいなこともありますし。役割がはっきりしているので、あまりぶつかることはないですね。

メンサ会員の娘に聞く将来の夢

ーーいま現在、娘さんの夢はなんですか?

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チャンさん:長女はドラえもんの影響で、宇宙に興味があります。「ロケットを作る専門の人もいるし、乗る専門の人もいるし、チームで宇宙に行くんだよ」と言ったら、「作る人と乗る人になりたい!」と言って。やりたいことは色々あるけど、今いちばん目標にしてるのはロケットを作る博士ですね。

そして、「宇宙に行くためには体力をつけないといけないよ」と。その時期にちょうど東京オリンピックがやっていたので「体力に特化しているのはオリンピック選手たちだね」と言ったら、「体力つける。水泳選手になりたい」とも言い始めて。

そこから水泳を習うようになったり、博士になるために公文の勉強を頑張ったり。「チームで仕事をするから、いろんな国の人と話せないといけないね」ということで、今は英語もやっています。本もたくさん読み始めましたね。半年くらい前に簡単な絵本から始めて、今300冊も読んだんですって。

※写真はイメージ(iStock.com/Hakase_)
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チャンさん:一方で次女はまだ4歳なのでかわいらしいのですが、将来の夢は「モスバーガー」と言っていました(笑)。どうやら、長女の習い事を待ってる間に、奥さんとモスバーガーで待機してる事が多かったみたいで。

何がそんなに好きなのか聞いたら「ポテトがおいしいの。あんなおいしいポテトを私も出したい!」と大絶賛でした。今のところ、モスバーガーを本気で目指してポテトを楽しんでおります!

ーーほほえましいですね。最後に、娘さんにとって「天才とは誰か」という質問を事前に聞いていただいたのですが、なんと言っていましたか?

チャンさん:えー、長女に聞きましたが、「できすぎ君」って言ってました・・・・・・。なんでもできるから、と。期待したような答えじゃなくて、なんかすみません(笑)。メンサ会員と言っても、天才というような子じゃないんですよ、本当に普通の子なんです。

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2023.09.01

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