普通の娘が6歳でMENSA(メンサ)会員に。子どもの探究心を刺激するチャン家の教育法【前編】

普通の娘が6歳でMENSA(メンサ)会員に。子どもの探究心を刺激するチャン家の教育法【前編】

2023.09.01

多方面で活躍する若者とその両親へ、天才のルーツを聞く連載企画『天才の育て方』。今回はスピンオフ企画として、2児のパパでもあるお笑い芸人のチャンカワイさんにインタビュー。IQは139、6歳にしてMENSA(メンサ)会員になった長女は、パズルやブロック遊びが空間認識能力を育てたのではとチャンさんは話します。前後編にわたり、チャン家流の教育法や子どもの知的好奇心をかき立てたエピソードなどを教えていただきました。

「長女は4歳になる前には300ピースのパズルをできるようになっていたけど、天才ということではなくて、特化した部分がたまたまIQだっただけ」

「習い事はやめたいときはやめてもいい。大人だってあんなに転職サイトがあるんだし」

そう話すのはお笑い芸人のチャンカワイさん。チャンさんの長女は6歳のときに、人口上位2%の知能指数を持つ人だけが参加できる国際グループ「メンサ」の会員に登録。

「娘はどこにでもいる普通の子」と話すチャンさんですが、空間認識能力を育む遊びを親子で楽しむような、知育を意識してきたようです。

子どもの探究心・知的好奇心をかき立てるロケ芸人ならではの教育法や、学びと遊びを区別せずにごちゃまぜにして楽しむチャン家のルールを、日常のエピソードを交えて教えてもらいました。

普通の子どもがある日突然メンサ会員になる

ーーチャンさんの小学一年生の娘さんがメンサ会員になったことが話題になりましたね。

チャンさん:はい。でも「この子は天才なんじゃないか!?」と思って試験を受けてもらったわけではなくて、たまたま軽い気持ちで行動観察も含む知能テストを受けてもらったら、行動観察の結果はごく普通で、IQの部分だけが高かったんですよ。それで施設の人に「メンサに登録することもできますよ」と言われて。

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チャンさん:その時はめちゃめちゃ驚いたんですけど、そういえば思い返すと小さいときからパズルとかブロックが好きで、いっぱい遊んだことがつながってるのかなと思いました。僕自身、長女が生まれたときから子育てになるべく関わりたいなと思って、おもちゃインストラクターという資格を取ったんです。

だから、遊びを通してどれだけ知育につながるかということは、けっこう考えていましたね。

パズルは3歳からハマりだして、4歳になる前には300ピースくらいできるようになりましたね。端っこではなく真ん中からポンと置くくらい記憶していたり。「なんでこれ覚えてるの!?」と驚きましたが、そういう夢中になるものに対して火を消さない努力は夫婦でしてきました。

※写真はイメージ(iStock.com/letty17)
※写真はイメージ(iStock.com/letty17)

チャンさん:ブロックも夢中になって遊び「見て!こんな形できた!」「すごいなー!!」というようにやり続けていたら、空間認識能力が伸びていたようです。小さい頃から、駐車場のどこの階のどの場所に停めたかを覚えていたり、あとから思い返すとそういうこともありました。

ーー将棋棋士の藤井聡太さんもブロックや立体的なおもちゃで遊んでいたことが話題になりましたよね。

チャンさん:そうですそうです。でも僕たち家族は、長女のIQが高いことを特別なことだとは全然思っていなくて。たまたまテレビの収録でギフテッドの話題が出たので「うちの子もたまたまメンサ会員で...」と言ったらそこだけがポンと取り上げられちゃったんです。

※写真はイメージ(iStock.com/skynesher)
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チャンさん人より賢いとか優れているということではなくて、ちょっと特化した部分があって、それがIQだっただけ。本人も「メンサの会員なったよ」と言われても「へー」と。そりゃ子どもからしたらそうですよね(笑)。

ーー飛びぬけて頭がいい子どもは学校生活がつらいと言う子も少なくありませんが、娘さんはどうですか?

チャンさん:娘はめちゃめちゃ楽しく通っています! ただ以前、林修先生がギフテッドの子どもたちに話してるのを聞いて、印象に残っていることがあります。「学校はつまらないよな。でもちょっと我慢して、頑張って乗り越えような。そのあとで君たちはどんどん羽ばたけるから。」と言ってたんです。「林先生が学校つまんないって言ってるー!」とビックリしたんですけど(笑)。

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チャンさん:そういう子もいるんだと、その時に知りました。天才と言われる子は、得意があまりに飛びぬけて学校が窮屈に見えてしまうこともあるんだなと。なんとなくで申し訳ないですが、わかるような気もしますよね。

でも、意味があるとか意味がないとかを自己判断で決めるんじゃなく、意味がないと思ったことが後に活きてくる「ヒラメキのタネ」を貯めておくためには学校は行くべきだと、林先生が説いておりました。

だからこそ、子どもたちに対しては「居心地」の部分にしっかり共感してあげることが大切なのかなと思いました。

※写真はイメージ(iStock.com/xavierarnau)
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習い事の優先順位は子どもが決める

ーー娘さんは、パズルやブロックの他にどんなことが好きだったんですか?

チャンさん:2歳か3歳頃から数字にも興味を持っていて、バス停の時刻表とか街中で数字を見かけるたびにじーっと見ていたりしましたね。だから「数字が好きなんだ、じゃあ公文やらせてみようか」と。でも公文は一度難易度が上がってきたときに、挫折してやめたんです。

※写真はイメージ(iStock.com/Tomasz Śmigla)
※写真はイメージ(iStock.com/Tomasz Śmigla)

チャンさん:次にハマったのが絵本だったんですが、そのうち絵本に書いてある文字に興味を持ち始めて、そうしたらまた数字がでてくるじゃないですか。それでまた「公文やりたい!」となって。こういう繰り返しで色々なことをやってきましたね。

ーー習い事もなにかしているんですか?

チャンさん:水泳、体操、ピアノ、アイススケートなど色々やってきましたよ。アイススケートは、一定のレベルになると自分のシューズを買うタイミングがあるんですが、そのシューズが7万円するんですよ......。サイズアップしたらまた7万円。ちょっと我が家には負担がデカいということになりまして。

※写真はイメージ(iStock.com/AngiePhotos)
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チャンさん:金銭面も娘たちに正直に話しました。そしたら「ある程度滑れるようになったらゴールにしよう」ということで納得してくれまして、今はやっていません。

今いちばんやりたいことは何か、優先順位表を奥さんが作ってくれて「これとこれは同じ曜日だから、どちらも通うことはできないね。どっちの方を優先したい?」というように、3〜4歳の頃から親子で話し合って決めています。

ーー親として一度始めたらちゃんと続けさせないといけない、という気持ちにならないですか?

チャンさん:伸びるって限界がありますからね。でもある程度続けていたら、「あの経験がこっちで生きるな」とかけっこう出てきますよ。たとえば公文の算数でつまずくところがあったけど、国語をやっていたら理解できる範囲が増えたのか、つまずいていた算数もできるようになったり。

※写真はイメージ(iStock.com/mixetto)
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ーーなるほど。タイミングではなかっただけ、ということもありますよね。

チャンさん:今じゃないってありますよね。草刈民代さんは、小さいころ無理やりバレエをやらされてたんですって。それがむちゃくちゃ嫌だけど言えないから「ピアノをやりたいからバレエやめたい」と言ったみたいで。でも、それでピアノをやってたら小学校高学年で急に「バレエがやりたい!」と思ったと。

プロのバレエダンサーになる人は、小さい頃からずっと練習していることがほとんどだけど、草刈さんはやりたいという気持ちでぶわーっと追い上げていったんですって。だから、やりたいかやりたくないかは、そのときの気持ちに任せてあげていい。大人にはあんなに転職サイトがあるんだから(笑)、ぜったい続けなきゃいけないって言える筋合いないですよね。

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ロケ芸人流「子どもの知的好奇心のくすぐり方」

ーー娘さんは知的好奇心が旺盛ですよね。

チャンさん:僕がドラえもんが大好きなので娘たちもよく見ているのですが、ドラえもんって便利な道具に対してもメリットとデメリットをちゃんと言うじゃないですか。「こんないいことあった、でもこんな最低なこともある」と。それが素晴らしいなと。

メリットとデメリットを含めて物事にはいろいろな側面があるし、なにかに興味や疑問をもったら、本物を感じてもらいたいなと思うんです。

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チャンさん:たとえば長女が3~4歳のときに「なんで今は太陽があるのに、夜になるとないの?」と言われて。なるほどこういう疑問があるんだなと思いながら日の出の説明をしつつ「朝日見てみたい?」と聞くと「見たい!」と言うので。

次の日すごい早起きしてお台場まで行って、眠い目をこすりながら太陽が上がってくるところを待ちました。いざ太陽が昇ってくると「この太陽が今上がっていって、夕方に沈むんだ!」と、目をキラッキラさせて。

※写真はイメージ(iStock.com/vvvita)
※写真はイメージ(iStock.com/vvvita)

チャンさん:僕はたまたまロケ芸人なんで、娘の知的好奇心に対して「ここに行けば、そのヒントがあるよ」と言ってあげられます。実際に現場で見て聞いてリポートしてるので、けっこう覚えてるんですよね。

ーーチャンさんならではの子育てですよね。

チャンさん:ありがたいことにそうですね。他にも、娘たちがなにかアニメを見ていたときに「パパ、海がぐるぐるするところって本当にあるの?」と気になっていたので、「それはうずしおですね。鳴門というところに行けば見られるから行ってみましょう!」ということもありました。

※写真はイメージ(iStock.com/10max)
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チャンさん:でも、奥さんもすごくて、その話をしている時にはすでに鳴門のホテル情報を調べていて、すぐに送ってくるんですよ。行動が早いですね! そうやって夫婦で連携しながら、子どもの興味が失わないうちに見せてあげられるように頑張ってますかね。

ーー子どものひとつの好奇心から次々につなげていくチャンさんご夫妻はすごいなと思います。

チャンさん:「マッサージをしてくれたから10円あげる」といったときも、10円玉をじっと見て「この建物なんなの?」と言うので「平等院鳳凰堂だよ。本当にあるんだよ」と言ったら「見たい!」と言うので、じゃあ行こうと。疑問は熱いうちに打たないと形にならないと思うので、即行動です!

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ーー子どもの知的好奇心を引き起こしたり深めるために、なにかコツはありますか?

チャンさん:僕はひとりごとのように、ハテナをあえて言葉にするようにしていたかもしれません。「これ、なにでできてるんだろう。木でできてるんだ、すごいなあ!」とか。

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家族で行った伊勢・二見興玉神社

ーー親も疑問を持ったり学び続けることを見せてあげているんですね。娘さんは現在一年生ですが、挫折や壁にぶつかったことはありますか?

チャンさん:たくさんありますよ。たとえば幼稚園のときに、逆上がりが課題だったんですが、やっぱり練習が必要でして。

練習には、奥さんが徹底して付き合ってくれました。奥さんが少しずつできてくる姿を大喜びすると、長女には「ママのために頑張る」という目的が芽生えてました。幼くても、大好きなママのために「頑張る」というエネルギーは、自分を乗り越えていく姿だったなと思います。逆上がりができた時に、とにかくママやパパに見てもらって喜ばせたいと頑張ってくれてましたから。

長女の場合は、その頑張るものさしが公文でも見れてました。解けたことを大好きなママが喜んでくれていると。だから頑張れる。その喜びを味わっていたから、逆上がりも夢中になってもらえたのかなと。

※写真はイメージ(iStock.com/Hakase_)
※写真はイメージ(iStock.com/Hakase_)

チャンさん:親として意識していることは、一緒になって夢中になることだと思います。ただ、逆上がりの場合は僕は厳しいかも。学生の頃はできていたのですが、中年太りの今は、腹の肉が邪魔で・・・・・・。「いいか、こんな体になるな!」と身を挺して伝える役割を全うしておきます。

でも、「しんどいな」「無理かもしれない」というときに上の立場から励ますのではなくて、同じくらい夢中になって、その姿を見せてあげる。そうしたら子どもも夢中返ししてくれるんですね。ライバルがいて競い合うことが大事なときもありますが、僕は夢中を切磋琢磨することをおすすめしますね。

頭が良くなる食べ物って?チャン家の食生活

ーー食生活については、なにか意識していることはありますか?

チャンさん:よく頭のいい子はサバ缶を食べていたとか言いますもんね。うちも「これ食べたら記憶力がよくなるらしいよ」「えー!ほんと!」と言って、目をキラキラさせながら食べていた時期もありましたね。

※写真はイメージ(iStock.com/byryo)
※写真はイメージ(iStock.com/byryo)

チャンさん:僕はサバ缶自体が本当に頭にいいかどうかは知らないけど、子どもがこうやってキラキラした目になれることがいいなと。うちの娘たちはごはんを食べない子だったので、食に興味を持つきっかけをたくさん作れたらいいかなと思ってましたね。

ーー以前、奥様が作ったキャラ弁をブログに投稿されていましたよね。

チャンさん:ちょっとでも食べ物に興味を持ってもらおうと奥さんが頑張ってくれてましたね・・・・・・。本当に偏食で困っていたので。

でも、公文にハマって勉強を頑張っていた時期に、いきなりめっちゃ食べるようになったんですよ。サンチュとか下に敷いてる野菜までサササっと取って食べちゃって(笑)。「ちょっと待ってや、今までの悩みなんだったの」というくらい。

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チャンさん:勉強を頑張って脳をすごく働かせて、そのまま寝ちゃうくらいの時もあったんですよ。ここまで夢中になれるのって本当にすごいけど、何も食べないで寝ちゃったのはかわいそうだったねと奥さんと話していたのですが、次の朝「おなかすいた!」で起きて。これや、「おなかすいた」で起きるんだ、と。

実際モリモリモリっとごはんを食べて。モリモリと食べること自体が自分でも楽しくなってきて、おかわりもして。「いっぱい食べやー」とごはんにおかず乗せたら「やめてー!白いごはんは白いごはんで食べたい!」と。こだわりまで持ち始めたやん、めっちゃこだわってるやん、と思って(笑)。

よく「そんなに焦ることない。むちゃくちゃ運動したときに食べるようになるかもしれないし」とか言いますけど、我が家も急にポンっとやってきましたね。だから、いつか欲するときがくるんだな、一生懸命に頑張るときに食欲もついてくるんだなと実感しましたね。

※写真はイメージ(iStock.com/kohei_hara)
※写真はイメージ(iStock.com/kohei_hara)

ーー少し希望が持てました。2歳の娘は今のところ、お菓子とマックのポテトしか食べず、偏食なので......。

チャンさん:過酷だけど、はらぺこを知ることもひとつの手ですよね。次女もイヤイヤ期が重なって全然食べない時期があったので、「じゃあ食べなくていい」と突き放したことがあったんです。その日は本当になにも食べないで寝たんですが、夜中に「おなかすいたー」と起きてきて。

「じゃあ残さないで食べてね」と出すと、「おいしかったー、ごちそうさま、ごめんなさい」と、そこからちゃんと食べるようになりましたよ。僕も、電波少年の過酷なロケでおかゆしか食べれず20キロくらい痩せたことがあって、とにかくはらぺこを知りまくったんですね。

日本に帰ってきたときに、残さず食べることしかできなくなったのでちょっと極端な例だけど、ちゃんとはらぺこを知ってもいいのかなと思います。お子さん2歳だったらちょっと早いかもしれないけど(笑)。言葉でちゃんと意思表示ができるようになってからは効果的かもしれないですね。

ーーありがとうございます! 後編では、チャンカワイ家のルールや、子どもがのびのび育つための夫婦のコミュニケーションについて教えていただきます。

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