なぜ日本は子育て世代にダメージのある政策ばかり講じてきたのか…世界最速で高齢化が進む本当の理由

なぜ日本は子育て世代にダメージのある政策ばかり講じてきたのか…世界最速で高齢化が進む本当の理由

児童手当は全く足りない…支給したふりをしてじつは搾取している

晩婚化、非婚化は多くの先進国で見られる共通の現象だ。その中でなぜ日本では最速のスピードで少子高齢化が進むのか。元国税調査官の大村大次郎さんは「日本は子育て世代にダメージのある政策ばかりを講じてきた。教育費は上がり、消費税の負担が重くなり、非正規社員が激増している。児童手当だけでは全く足りない」という――。

※本稿は、大村大次郎『日本の絶望ランキング集』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

1
※写真はイメージです 写真=iStock.com/y-studio

日本の少子化は人災か

ご存じのように現在、日本は深刻な少子化問題を抱えている。

出生率は先進国では最悪のレベルであり、世界最悪のスピードで高齢化社会を迎えつつある。

この少子化については、「日本人のライフスタイルが変わったから」と考えている人も多い。確かに、ライフスタイルの変化によって晩婚化、非婚化が進んだという面もある。

しかし、晩婚化、非婚化は、女子教育の進んだ先進国ではどこにでも見られる現象である。日本が先進国の中で最も少子化が進んでいる理由にはならない。

よく知られているが日本が他の先進国と比して著しく少子化が進んだのは、「政治の無策」という面も大きいのである。

日本では半世紀近く前から、「このままでは少子高齢化社会になる」ということがわかっていながら、有効な対策を講じてこなかった。

子育て世代にダメージのある政策ばかり講じた

半世紀前、日本よりもはるかに深刻な少子化に陥っていたヨーロッパ諸国は、この50年間、さまざまな子育て対策を行い、現在、出生率は持ち直しつつある。

しかし、日本はむしろ子育て世代に最もダメージのある政策ばかりを講じたのである。たとえば、国立大学の授業料はこの50年間に、15倍にも高騰している。また平成元(1989)年に導入され、たびたび税率が上げられてきた消費税は、子育て世代に最もダメージが大きい税金である。国はこの50年間、子育てがしにくくなるような政策ばかりを講じてきたのである。

現在、政府は「次元の異なる少子化対策」に力を入れようとしているが、まだ全然、問題解決にはなっていないレベルである。

詳細はこちら

2023.08.30

ニュースカテゴリの記事

ショート動画

教育を親の自己満足にしてはいけない。教育虐待になりうるハイパーペアレンティングの恐ろしさとは

教育熱心はどこまで?

この連載を見る

不安定な社会情勢やSNSなどを通じて得る過剰な教育情報によって、子どもの教育に奔走し、過干渉な子育てをする親が増加しています。行き過ぎた「教育熱心」が及ぼす危険性とは?そして子どもを疲弊させないために、親がどうあるべきか、各専門家に取材しました。
夫婦2人で全部は無理?「子育て・家事・仕事」現代子育てに素敵な選択肢を

共働き家庭が増加している昨今、夫婦ともに実家が遠いと、どうしてもシッターが必要になることもあるのではないでしょうか。今回の記事では、共働き家庭のママが有資格者のみが登録できるKIDSNAシッターのサービスをはじめて利用した様子をレポートします。