「隠れ育休調査2023」調査結果【完全版】発表!改正育児・介護休業法の趣旨違反は55.1% 両親学級は6割の男性が未受講、受講者の4割は育休等取得率80%超 異次元少子化対策前に現行の徹底推進が不可欠
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NPO法人ファザーリング・ジャパン(東京都 千代田区、代表 安藤哲也)では、改正育児・介護休業法の施行から1年間の効果を検証する意図を含め、2022年4月以降に生まれた子どもを持つ20歳以上の男性を対象に「隠れ育休調査2023」を実施しました。これは、育児休業制度とは別に有給休暇などを利用して産後の妻のサポートや育児のための休暇(以下、「隠れ育休」)について、乳幼児を持つ父親に対し2011年、2015年、2019年と4年ごとに実施してきた調査で今回4回目となります。
2023年4月27日に発表した【速報版】に続き、この度【完全版】を発表いたします。主に、各地域別分析、両親学級受講の効果が新たに明らかになりましたので、男性育休を推進する仕事をされている北海道から九州地方までの各都道府県や自治体の職員やNPO等の方々、両親学級を推進する企業、自治体、病院、民間団体の方々はぜひご一読の上、今後の施策にご活用ください。
・「隠れ育休」調査の背景(完全版より)
令和5年3月31日に政府発表の、異次元の少子化対策といわれる「こども・子育て政策の強 化について(試案)〜次元の異なる少子化対策の実現に向けて〜」の中で、男性の育休取得率の目標は2025年30%から、2025年までに公務員85%(1週間以上の取得率)、⺠間50%に引き上げられました。
また、2022年4月から施行の改正育児・介護休業法に加え、給付面では、 いわゆる「産後パパ育休」期間内の育休給付金を8割程度(手取りで10割相当)引き上げ、中小企業に対する助成措置の大幅強化なども謳われています。
しかし、改正育児・介護休業法 の改正の効果やこれまでの少子化対策にあった男性への両親学級推進など、現状の子育てや 両立施策状況を踏まえずに、新たな施策を展開することに一定の懸念を感じています。
そこで、NPO法人ファザーリング・ジャパン(東京都 千代田区、代表 安藤哲也)では、改正育児・介護休業法の施行から1年間の効果を検証する意図を含め、2022年4月以降に生まれた子どもを持つ20歳以上の男性を対象に「隠れ育休調査2023」を実施しました。
これは、育児休業制度とは別に有給休暇などを利用して産後の妻のサポートや育児のための休暇(以下、「隠れ育休」)について、乳幼児を持つ父親に対し2011年、2015年、2019年と4年ごとに実施してきた調査で今回4回目となります。
調査結果から、育休と隠れ育休を合算した育休等取得率は、過去3回(平均50%前後)と比較して64%となり、上昇トレンドに転じたと推測され、取得期間の⻑期化も⾒られた一⽅で、80%の労働者が3か月以上前から妊娠出産の申出を会社にしても、改正育児・介護休業法の趣 旨に準拠した対応をされていない人が55.1%もいることが分かりました。
同時に、両親学級を受講していない男性が6割いる一⽅、何かしらの両親学級を受講した人の育休等取得率は平均80%であり、両親学級の受講で、育休等取得率を向上させる可能性が示唆される結果となりました。
育休取得がしやすい条件として、2015年・2019年と同様に今回も「上司からの後押し等」が圧倒的1位となりました。
このことから、上司の後押しを中心に据えた改正育児・介護休業法の徹底推進、両親学級の 受講率向上の工夫など、異次元の少子化対策よりも前に、現行制度の施策評価とその課題解 決に向けた事業推進が不可欠ではないでしょうか?