【調査】電車内での突発的な火災や殺傷事件、保護者が望む対策は?
電車や新幹線などの公共交通機関内で、放火や無差別殺傷事件などが相次いで発生している。子どもを持つ保護者は、このような事件に対してどのようにリスクを管理し、そしてどのような対策を求めているのか。KIDSNAでは、主に未就学児の子どもを持つ保護者を対象に、公共交通機関内の事件に対する防犯についてアンケートを行った。
走行中の電車や新幹線の中で発生する、放火や無差別殺傷事件。このような事態に巻き込まれた場合、どのように行動するのが正解なのだろう。そもそも、状況が変れば正解も変わるため、事前に対策しきれないのがこの問題のむずかしさだ。
突然起こるこのような事態を想像すると、大人であっても当然不安だが、子ども連れで移動する機会のある保護者にとっては一層心配ごとが多いだろう。
そこで、主に未就学児の子どもを持つ保護者を対象に、電車など公共交通機関内での防犯対策について考えを聞いた。
防犯対策している保護者はごく少数。学校で防犯教育望む声も
まず、子どもを連れて移動する際、電車など交通機関内での事件に備えた防犯対策をしているかどうか尋ねたところ、1人を除き全員が「いいえ」と回答。
唯一対策していると答えた方は、具体的には「子どもは抱っこもしくは手つなぎ。電車内・バス内や駅のホーム・停留所では立つ位置に気を付けています」と対策しているということだった。
一連の事件をきっかけにベビーカーをやめて抱っこひもを使い始めた、という声はSNS上でも見受けられた。
個々人での防犯対策が取りにくい中で、交通機関内での突発的な事件に対する防犯として、どのような対策を求めるか聞いた。
私服警察・車掌の巡回、全車両への防犯カメラの設置を希望します。
上記のように鉄道会社や警察の対策を求める声が多く集まった。中には、空港の搭乗ゲートのように手荷物検査を求める意見も。
犯人は走行時間が10分と長いことをあらかじめ知ったうえで犯行車両を選んでいたそうなので、たとえ駅でなくても緊急停車ボタンを押せば停車&ドアが開くようにしてほしいです。
このようにドアの開閉に融通を利かせてほしいという意見もあったが、本来乗客が乗り降りすべきでない場所で車両から脱出した際に、別の線路を走る車両に巻き込まれる事故を指摘する報道も見受けられ、この場合も正解が一つではないことにむずかしさがある。
「無知なだけかもしれませんが、防犯ブザーなどももっと分かりやすく、たくさんあれば安心なのかなと思いました」という回答も。
電車や新幹線に危険を知らせる装置があるのか、あるとしたらどこに設置されているのか。一般の乗客に基本的な知識が周知されていない現状も明らかとなった。
また、「学校教育の場で非常時に取るべき適切な行動を教えてほしい」という声も上がった。
非常時に備え、日ごろから知っておきたいことは
最後に、交通機関内で起こる突発的な事件への防犯対策に関してどんな情報がほしいか聞いた。
最も多かったのが、「事件に遭遇した時に具体的にできる行動としてはいけない行動」。
先日の京王線の事件の際には、本来乗務員自身、あるいは乗務員の指示に従って操作する非常ドアコックを乗客が操作したことで、車内からの脱出がかえって困難になったという報道もある。とはいえ、適切な行動が周知されていない中で、自己判断で操作した乗客を一概に責めることもできない。
鉄道会社ごとに回答が異なる可能性もあるが、基本的に備えておきたい知識を求める声が多かった。
次点には、「1人で移動することのある子どもに教えておきたい知識」。
未就学児であれば1人で移動する機会はそうないだろうが、今後子どもが通学などで公共交通機関を1人で利用するとすれば、必要な知識を与えるのに早すぎるということはない。
緊急時の混乱した状況を利用して、子どもをだます大人の存在を心配し、信頼していい大人の見極め方を教えておきたいという声もあった。
そのほか、「子どもを連れて逃げるときに気を付けたいこと」「命を守るための行動、護身術など」。
2018年に、東海道新幹線の車内で殺傷事件が起きた際は、座席を取り外して盾として使えることが話題になったが、電車やバスでも、いざという時に使えるものを知りたいという意見が上がった。
いつ巻き込まれるかわからない公共交通機関内での事件。事前に予測することはほぼ不可能だが、必要な知識を事前に得ておきたい。
KIDSNAでは今回のアンケートを踏まえ、各鉄道会社や専門家に保護者が知っておきたい知識を伺っていく予定だ。
【調査概要】
・対象:保護者に向けてアンケート調査を実施
・調査期間:2021年11月4日~2021年11月8日
・回答数:17人
<執筆>KIDSNA編集部
警察の巡回、全車両に緊急事態発生を知らせるボタンを設置してほしい。