【おうち英語のススメ!】おうち英語はリスニングが9割!
現役子育て翻訳者鹿田昌美さんに、英語が苦手な保護者さんは子どもにおうちでどうやって英語を学ばせるべきかアドバイスいただきました!
子どもに英語を覚えさせたくても、「保護者自身が英語が苦手だから無理」「忙しくて時間がないから無理」と諦めている人は多いかもしれません。
『おうち英語のすすめ』によると、おうち英語は家にいる時間に英語の音声を流すだけでOK。保護者は英語を正しく発音したり、教えることができなくてもよいのです。
おうち英語で必要なことは、とにかくリスニングをさせること。保護者がやるのは「英語の音声を流す」、ただそれだけ。
子どもが英語を聞くのを好きになってくれたら、それだけでおうち英語の9割が完了です。
なぜリスニングが重要なのか。それは英語を聞こえた順に理解することが、すべての英語力の基礎になるから。もしリスニング力が不安定だと、英文を読んだときに日本語の語順に頭の中で置き換えたり、先回りしようとして意味を取り違えやすくなってしまいます。
英語の鉄則は「聞こえた順、書かれた順」に理解すること。翻訳家である著書も原書を読むときには、まずは語順のままに理解しています。それが最も正確に、正しく理解する読み方だからです。
リスニング力の基礎がしっかりとあり、英語をそのままの順番で理解できれば、長文になっても正確に読み取ることができます。小さいうちから短い文章を使って「聞こえた順に理解する」癖をつけておくことがおすすめです。
保護者は英語が得意でなくても大丈夫、教える必要はありません。
このふたつだけが保護者の役割です。
ただ、子どもが英語に興味を示しているか、楽しそうにしているか、見守ることは大切です。家事をしながらでも構わないので、様子を見ながら時々声をかけてあげましょう。
子どもが日本語を習得する前に英語教育を始めると、子どもが混乱してしまうのではないかと気にする声もありますが、あまり心配はありません。保護者の日常会話が日本語だったり、生活のベースが日本語なのであれば、圧倒的に日本語に触れる時間が多いですから。
また、子どもは保護者が話す英語とネイティブスピーカーの英語を自然と区別しています。ママの発音が日本語っぽいからといって必ずしも子どもに影響を及ぼすことはありません。
幼稚園の年齢ではお友だちと言葉を使い、コミュニケーション能力を育てることが大切だし、小学校に入ると他教科の勉強も大切。英語に触れさせられる時間はどうしても少なくなってしまいますが、それは仕方のないこと。
家庭で過ごす時間が長い幼少の時期におうち英語をスタートをして、英語教育の土壌を作っておきましょう。土壌さえできていれば、後に英語に触れる時間量が減ったとしても、工夫してコツコツと持続することができます。
英語教育のスタートが遅くなってしまっても、手遅れではありません。ただ、大きくなると下記のような英語教育の罠が増えていきます。
このような罠があるということさえ理解していれば、学校教育に合わせてのスタートでも習得に問題はありません。英語を学習しようという意欲があれば、積極的に単語を覚えたり、英語の文化に興味を持ったり、意欲的に学習ができます。
リスニング能力は中学以降でも、大人になってからでも十分身につけられます。
むしろ年齢が上がってからのほうが、論理的に英語の構造を理解し、自分が興味のあることに合わせてボキャブラリーを増やすなど、工夫をしながら英語を習得していけるでしょう。
子どもが日本語を覚えるプロセスを思い返してみると、「聞く」「話す」「読む」「書く」の順に習得していることが分かります。
英語習得もそれと同様で、下記の3つの理由から、まずは聞くことに力を注ぐのがベストです。
「聞く」ことは前倒しに英語貯金を積み上げやすい分野です。おうちでリラックスしながら、どんどん英語の音を聞かせてあげましょう。
また、アルファベットや単語の綴りは間違えて覚えると後から直すことがむずかしいため、「書く」ことは先取りせずに、小学校に上がってからの学習がおすすめです。
英検でもライティング試験が始まるのは中学校卒業レベルの3級からです。ライティングでは英語力だけではなく、自分の考えをまとめるための考える力や一般常識も必要。そのため、幼少のうちは無理をせず、他の3技能とくに「聞く」ことに注力するとよいです。
おうち英語では、子どもを英語嫌いにしないことが、とても大切。遊んでいるときや車の中など日常の生活の中で、英語をBGMとしてさりげなく子どもの耳に入れることがおすすめです。下記の理由から、子ども向けの英語の歌を聞かせるとよいでしょう。
特に、「ハンプティダンプティ」「ロンドン橋落ちた」など古くから伝承されている英米の動揺「マザーグース」をかけるのがよいです。マザーグースの歌詞は日常の会話でもことわざのように使われたり、ニュースの見出しなどでなぞらえたりと、英米ではとても身近な存在です。教養として持っておく、将来なにかの際に役に立つことがあるでしょう。
BGMとしてかける曲は、日常の中で何度も繰り返して聞かせること。子どもが英語のフレーズをかたまりとして記憶し、のちに発語につながります。
できればスマホなどではなく、余計な機能がついていないCDプレイヤーでかけるのがよいです。保護者がすることは再生ボタンを押すだけ、あとはほったらかしでOKです。
著者も自身のお子さんに聞かせていたのは、長くても1日90分ほど。英語タイムというよりは、音楽鑑賞タイムという感覚。もちろん保護者が好きな洋楽をいっしょに聞くのもよいですが、激しすぎないテンポで、歌詞がハッキリと聞こえる曲がよいですね。
英語教育というと、ついつい構えてしまいがちですが、おうちでリラックスしながら始めるのがよさそうだと思いませんか?難しく考えずに、子どもに英語を与えてあげる気持ちで、まずはたくさん聞かせてあげるとよいですね。