【特集記事】絵本の読み聞かせにいいのは「日本の昔話」。子どもの表現力を磨くためには親子の〇〇が必要

【特集記事】絵本の読み聞かせにいいのは「日本の昔話」。子どもの表現力を磨くためには親子の〇〇が必要

2017.04.09

Amazon国語カテゴリランキング1位の著者インタビュー第2弾。前回の記事では「絵などの視覚的情報を言葉で説明することが子どもの表現力や考える力を伸ばす」ということについてお話を伺いました。今回は、より効果的な絵本の読み聞かせについて、一緒に考えてもらいました。

前回記事:同じ会話をしても差がつく「子どもの表現力」Amazon国語カテゴリランキング1位の著者インタビュー

絵本の読み聞かせについて

「幼児期の絵本の読み聞かせは、考える力の基礎をつくる大事なこと」という坂本先生。


「絵本は無理して10冊読むより、1冊をじっくり読めばいい」


とアドバイスしてくれました。これは一体どのようなことなのでしょうか。

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『国語が得意科目になる「お絵かき」トレーニング』著者の坂本聰(さとし)先生


がんばって10冊読むママもいる

教育熱心なママ友から「毎晩10冊の絵本を子どもに読み聞かせをしている」という話をきいてびっくりしたことがあります。たしかに絵本の読み聞かせは子どもの教育にいい、といわれているし、それができたら理想的だなと思うのですが、


夜は大人も疲れていて、10冊どころか1冊も読めない日もあります…。


「もちろん、10冊読んであげられるのはいいことだと思います。でも、1冊をじっくり読む、ということはもっと大切かもしれません」

という坂本先生の言葉に、少しほっとしました。では「じっくり読む」というのはどういう読み方なのでしょうか。

表現力を伸ばす、読み聞かせのコツ

あえて「脱線」してみる

「1冊の絵本を読み終えることを目的にするのではなく、一緒に考えながら絵本を読んであげてください。

たとえば、読んでいて子どもが口をはさんできたら、そのまま話が脱線してもいいんです。むしろ、とことん脱線してみてください。それで話が止まって読み終えられなくてもいいぐらいです」

とのこと。それは


「子どもが想像を膨らませることを阻害しない方がいい」


という考え方からだそうです。


読むのが目的ではなく「余白」が大事

「子どもの想像力は、時には驚くほど自由なことがあります。


でも、子どもの想像力は年齢が大きくなればなるほど、制限されていきます。


現実的なことが理解できてくるというのもあるので、それは成長ともいえますが。だからこそ幼児期の絵本の読み聞かせには余白が必要。子どもの想像力をそのままどんどん広げてあげてください」

ゲームやテレビなど比較的想像力が必要じゃないものが多くなった今だからこそ、親子で絵本を読む時間は大事なのかもしれませんね。


読み聞かせの半分は親子の「対話」に

「幼児期の絵本の読み聞かせは、半分は親子のコミュニケーションといってもいいぐらい。1ページ読んだら、一緒に絵を見ながらおしゃべりする、というペースでかまいません。


いかに、子どもの頭の中でその世界が広げられるかを意識してみてください」


それは、子どもが「自分の言葉」でさらに世界を広げることにつながるそうです。絵本を読みながら親子で楽しくおしゃべりするだけなので、さっそく今夜の絵本の読み聞かせで実践できそうです。

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どんな絵本を選べばいい?

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子どもの表現力を育む絵本とは

本屋さんや図書館にはたくさんの絵本があります。その中で特に"子どもの表現力を磨くならこれ!"という絵本はありますか?


「日本の昔話!これにつきます」


と坂本先生は即答。それはなぜなのでしょうか?ふたつの理由を教えてもらいました。


1. 今とは異なるけれど、どこかに想像できる"におい"というか、雰囲気がある


2. がんばったら報われるとか親孝行とか、大切にしたい価値観がわかりやすく出ている


たしかに日本の昔話には、不思議な話の中に大切な教訓のようなものが含まれていたりしますね。


結論はひとつじゃない

さらに坂本先生は続けます。

「海外の昔話は、ハッピーな結末を迎えたり、最後に教訓がばしっと出てくるものが多いですよね。それに比べて日本の昔話は、情景の中で物語が進んでその中になんとなく教訓めいたものが入っていて、最後もなんとなく終わるものも多い。


ある意味、答えがないというか、結論がひとつじゃない。


そこから物事の多面性というか、答えはひとつじゃないということをなんとなく学べると思います」

そういう観点から考えると、日本の昔話はもしかしたらこれからの教育にぴったりの絵本なのかもしれませんね。

答えを与えなくてもいい

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最後に坂本先生が教えてくれました。

「親だから、大人だからって、子どもの問いにぜんぶ答えようとしなくてもいいんです。


大人にも"わからない"があっていい。


だからこそ"一緒に調べてみよう"になるし、幼児期のうちは、調べるところまでいかなくても一緒に"なんでだろうね"という子どもの疑問につきあうだけでもいいですね。


なによりも大切なのは、親子の対話です。


時間が短くてもいいから、同じ目線で語り合ってください。それがきっと、子どもの表現力や考える力を育み、その先の国語力につながると思います」


取材:KIDSNA編集部

参考文献:『国語が得意科目になる「お絵かき」トレーニング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

坂本聰(さとし)

1972年東京生まれ、一橋大学商学部卒業。考える力を養える独自の国語カリキュラムを構築し、1999年東京渋谷で「考学舎」を設立。「自ら考え、決断して行動できる人材を育てる」をコンセプトに学習塾ともフリースクールとも一線を画す学習の場を提供している。

2017.04.09

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