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【産婦人科医監修】出産にかかる平均時間。何時間から難産と言うか
陣痛から出産までの流れや初産婦、経産婦の場合
Profile
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
これから出産を迎えるママは、赤ちゃんはどのようにして産まれてくるのか考えたり、出産には時間がかかるというイメージがあるかもしれません。出産の流れや、出産にかかる平均的な時間を初産婦と経産婦それぞれご紹介します。また、難産になる原因と出産時間が何時間以上だと難産といわれるのかについても説明します。
出産の流れ
陣痛が起こってから出産までは分娩第1期、分娩第2期、分娩第3期と流れがあります。
赤ちゃんが誕生するまでの流れと出産にかかる時間について詳しくご紹介します。
分娩第1期
陣痛が10分間隔または1時間に6回起こるようになったらお産が始まったと考えます。陣痛の間隔は段々短くなり、赤ちゃんが下がって子宮口が開いてきます。
子宮口が全開になるまでの時間は、初産婦の場合は10~12時間程度、経産婦の場合は4~6時間程度かかります。
しかし、この時間は個人差があり、初産婦でも10時間かからなかったという人や、12時間以上かかったという人がいます。
分娩第2期
分娩第2期に入ると、陣痛の間隔がさらに短く激しくなります。
破水は子宮口が全開になってから起こるのが一般的ですが、子宮口が全開になる前に破水が起こる人もいます。
陣痛とママのいきみが赤ちゃんを外に押し出すことになり、赤ちゃんは身体を回しながら産道を通り抜けます。
子宮口が全開になって赤ちゃんが産まれるまでは初産婦で2~3時間程度、経産婦では1~1時間半程度が平均のようです。
分娩第3期
分娩第3期は赤ちゃんが生まれたあとのことです。
赤ちゃんが産まれたあとにも陣痛はあり、胎盤が剥がれて外に出されます。
分娩第3期にかかる時間は平均的に、初産婦で15~30分程度、経産婦だと10~20分程度です。
出産にかかる平均時間
分娩第1期から分娩第3期を経て、出産にかかる時間は初産婦で平均11~15時間程度といわれています。経産婦の場合は、6~8時間が平均的な時間です。
出産時間が何時間だと難産になるのか?
規則的な陣痛が始まってから赤ちゃんが産まれて胎盤が出てくるまでの出産時間が初産婦で30時間以上、経産婦で15時間以上かかると難産といわれています。
なぜ難産になるの?
難産とは、陣痛が始まってから赤ちゃんを出産して胎盤が出てくるまでの時間が平均時間よりも大幅に長くかかることです。
難産になると、ママも赤ちゃんも体力を使って大変なので、できれば平均的な時間で産みたいと思うでしょう。
難産はどのようなことが原因でなるのでしょうか。
微弱陣痛
微弱陣痛は、陣痛の間隔が縮まらずに子宮口が全開になるまでに時間がかかります。
ママも体力を消耗しやすく、酸素が上手く赤ちゃんに行き渡らず心拍数が落ちてしまうことがあります。
微弱陣痛のときは、陣痛促進剤を使って陣痛を強くしたり、子宮口が開いた後はお腹を圧迫して赤ちゃんを押し出す「子宮底圧迫法・クリステレル胎児圧出法」や、吸引器につながれた丸いカップを赤ちゃんの頭に密着させて吸引して赤ちゃんを外に出す「吸引分娩」、産科鉗子という金属製の器具で赤ちゃんの頭を挟んでママのいきみに合わせて赤ちゃんを引き出す「鉗子分娩」で出産することになります。
太りすぎ
妊娠中に太りすぎると、産道にも脂肪がついて産道がより狭くなります。赤ちゃんは産道を通って産まれるので、産道が狭くなると通りづらくなり、出産に時間がかかります。
妊娠中の体重増加は8~12㎏を目安にしましょう。
身体が小さい・痩せすぎ
太りすぎは産道が狭まるので難産になりやすいといいましたが、痩せすぎている場合にも出産する体力がなく、出産時に多量出血で貧血になる可能性があります。
ママの身体が小さかったり、痩せすぎていると子宮や産道も小さく、赤ちゃんが途中で引っかかってしまい、外に出てくるのに時間がかかります。
場合によっては、緊急で帝王切開や吸引分娩や鉗子分娩になる可能性もあり、出産時間がより長くなるかもしれません。
予定日を1週間以上すぎる
予定日を1週間以上すぎても赤ちゃんが産まれてくる兆候が見られない場合は、赤ちゃんを人工的に外に出す方法をとることになります。
この場合、促進剤を使って陣痛を起こし、バルーンを挿入して子宮口を広げたり、場合によっては帝王切開に切り替えて出産を行うこともあります。
産道に異常がある
子宮から腟にかけて産道に何かしらの異常があると、赤ちゃんが出てくるのが難しい状態になります。
産道が上手く伸びずに赤ちゃんがなかなか出てこれなかったり、赤ちゃんの頭の大きさに対してママの骨盤の間が狭くて通り抜けられないときには、帝王切開での出産になることがほとんどです。
逆子
赤ちゃんが逆子の場合、通常の自然分娩のように赤ちゃんが頭から出てくることが難しく、身体が先に出てくることになります。
身体から先に出てくると頭がひっかかってしまい、なかなか外に出てこられずに出産に時間がかかることになります。
最近では逆子の場合は、最初から帝王切開になることが多いようです。
高齢での出産
出産する年齢が上がるにつれて産道がだんだんと固くなってきます。骨盤も開きにくくなるため、難産になりやすい傾向があります。
流れを知って出産に備えよう
もうすぐ出産を控えている人や初めて出産するママは、赤ちゃんが産まれるまで平均的にどれくらいの時間がかかるのか気になるでしょう。
赤ちゃんが実際に産まれてくるまで分娩第1期から分娩第3期まで一連の流れがあります。分娩第1期から分娩第3期までにかかる平均的な時間は、初産婦で11~15時間程度、経産婦の場合は6~8時間程度といわています。
しかし、ママの身体の状態やお腹のなかの赤ちゃん状態などによって難産になる場合もあり、出産時間には個人差があります。
出産には長い時間がかかることを知ると不安に思う妊婦さんもいるかもしれませんが、出産の流れを知っておくことが大切です。
赤ちゃんに会えることを楽しみに出産に備えましょう。
Profile
杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。