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【小児科医監修】赤ちゃんが奇声を上げるのは発達障害?年齢別の対処法と親が心がけたいこと
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医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック
医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック
日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。
赤ちゃんが突然発する奇声にはどのような理由があるのでしょうか。日々の生活の中であまりに奇声が続くと、発達障害との関係を不安に思う方もいるかもしれません。今回の記事では、小児科医の保科しほ先生監修のもと、保護者が疑問に感じる、赤ちゃんの奇声について、原因や対処法、発達障害との関連性をまとめました。
赤ちゃんが奇声を上げる原因
赤ちゃんの突然の奇声。「キー」や「ギャー」など、赤ちゃんが日常の中で発するさまざまな奇声に、保護者として不安を感じたり、どう対処すればよいか悩んだりする方もいるかもしれません。
ですが、このような赤ちゃんの奇声は特に珍しいことではなく、生後4カ月から1歳前後によくみられる現象です。多くのケースでは、正常な発達段階でみられる現象のひとつで、特に問題があるわけではありません。
では、赤ちゃんの奇声にはどのような原因があるのでしょうか。
考えられる原因のひとつに、赤ちゃんが声を出せるようになったことを楽しんでいるということが挙げられます。また、自分が発した声を聞き、さらに興奮して叫ぶこともあります。こういった場合、赤ちゃんはニコニコ笑っていたり機嫌がよかったりすることがほとんどです。
そのほかの原因として、言葉を話せない赤ちゃんが自分の感情を伝えようとしている可能性も考えられます。たとえば、眠い、疲れている、暑いなどの不快感があることを泣く以外の手段として、奇声を上げることでママやパパに伝えているケースもあります。
このときに顔を赤くして叫び続けるなど、先ほどとは逆の様子がみられたら、不快感や不調を訴えている可能性が高いため、空腹ではないかやオムツの状態、服装や家の環境などが適切かどうかも確認してみましょう。
なかには、知らない人や知らない場所に、不快感があったり、戸惑いや不安を感じて奇声を発する赤ちゃんもいます。大声を出すことが気持ちを安定させようとしていることの表れでもあるのです。
いずれにしても、奇声を発する以外に、赤ちゃんに特別変わった状態がみられない場合は、成長過程の現象のひとつとしてとらえて問題ありません。
【年齢別】奇声の対処法
では、赤ちゃんが奇声を発するとき、私たち保護者はどのように対処すればよいのでしょうか。奇声の対処法について年齢別にみていきましょう。
0~1歳
生後2~4カ月頃に、一定の時間激しく泣く場合は黄昏泣きの可能性があります。黄昏泣きとは、夕方から夜にかけて激しく泣き続ける現象をいいます。激しく泣いて奇声のような声を出す赤ちゃんもいるようです。
黄昏泣きは明確な原因がなく泣き続ける現象のため、毎日続くとストレスを感じたり、不安になるママやパパもいるでしょう。一般的に、黄昏泣きは数カ月でおさまることがほとんどであると言われています。
黄昏泣きの対処法としては、泣き続ける時間になる前に静かな環境にいるようにしたり、抱っこなどのスキンシップを取るなどの方法があるようです。
生後5~6カ月頃になると、赤ちゃんの聴力や発語力が発達し、自分の声が認識できるようになります。この頃の奇声は前述したように、声を出すことを楽しんでおり、耳がきちんと聞こえて成長している証拠でもあります。
まだ声量をコントロールするのがうまくできない時期のため、口の前で「シー」と繰り返したり、赤ちゃん自身が奇声を上げる以外に一緒に楽しめる遊びをしたりして興味をそらす方法を試してもよいでしょう。
「シー」というジェスチャーをすぐに理解することは難しいかもしれませんが、これを繰り返すことで、ここでは大声を出してはならないということを、小さい子どもでも徐々に理解していきます。あまりに奇声が続くと、不安に感じることもあるかもしれませんが、赤ちゃんの成長にはそれぞれ個性があります。この時期の赤ちゃん特有のものとして、あたたかく成長を見守ってあげることが大切です。
1~2歳
知能が発達する1~2歳頃は、さまざまな行動ができるようになり、まわりの状況を理解できるようになる子もいます。一方で、伝えたいことを言葉にできないもどかしさやストレスを感じて、奇声を上げることがあります。
この時点での対処法はまず、子どもが何を要求しているのか、何か不快感があるのかを探ることから始めましょう。さまざまな可能性を考えて、「お腹が空いたのかな」などとやさしく声かけすることで、気持ちを受け止め、子どもの要求を具体的に言葉として伝えることができます。
2歳頃になり、年齢が上がってくると、「ここは本を読む場所だから静かにしようね」などと、大声を上げてはいけない理由をしっかり伝える方法が良いようです。これから行く場所は静かにしなくてはならないことを事前に伝えて、それができたら褒めてあげることも大切でしょう。
大人の反応によっては奇声がいつまでも続く場合もあるため、このように、小さいうちからうまく言い聞かせて対応していくとよいかもしれません。
3~4歳
自我が発達し、自分のやりたいことや伝えたいことが多くなる3~4歳。行動や言葉に大きな成長がみられる一方で、まだ体や言語の発達が不十分な部分もあり、自分の気持ちをうまく表現することができなかったり、どのように対応してよいかわからなかったりすることがストレスとなって奇声につながる場合もあります。
この時点での対処法はまず、子どもがやりたがっていることをできる範囲でチャレンジさせてあげましょう。うまくできないときは、状況に応じてママやパパが補助として一緒にやってあげることも大切です。
うまく気持ちを表現できないときに奇声を上げて泣くときは、「~したかったんだね」や「うまくできなかったんだね、悔しかったね」などと気持ちを代弁して、子どものストレスが蓄積しないようにしてあげましょう。抱っこして、気持ちを落ち着かせながら安心できる環境を作ってあげる方法も重要なようです。
そして、できたところを十分に褒めた上で、できなかったところに対しては「こういうときはこのようにすればいいんだよ」と具体的な方法を言葉で子どもに伝えてあげてみてください。
これらを繰り返すことで、成長とともに少しずつ奇声の回数も減ってくるでしょう。
5歳~
今までお伝えしたように、子どもの成長には個性があり、奇声は子どもの発達段階のひとつです。生活や遊びの中で頻繁に奇声を出すからといって発達障害というわけではありません。日常生活で不安に感じているママやパパもいるかもしれませんが、3歳頃をすぎるまでは、その行動が発達障害によるものかどうかの判断はつきにくいと言われています。
5歳を超えても奇声を発する回数が減らなかったり、子どもの行動に他にも不安を感じるなど、親としてどうしても心配な場合には、小児科に相談することを考えてみてもよいでしょう。かかりつけの小児科の先生に相談しにくいなどの場合は、都道府県・指定都市に設置されている発達障害者支援センターに相談することもできます。
周囲への対応
赤ちゃんの奇声が問題ないこととわかっていても、バスや電車などの公共の場で奇声を上げられると、周りの迷惑になるのではないかと困ることもあるでしょう。
このような環境にいるときは、どのように対応するとよいのでしょうか。
赤ちゃんにとっては、単に楽しくて奇声を出していたり、自分の気持ちを伝えようとしているだけで、悪気があるわけではありません。そのため、まずは周囲へ迷惑をかけてしまっていることをお詫びし、理解を求めてみましょう。ていねいにお詫びを伝え、周りの方へ配慮することが大切です。
発達障害を疑ったら
多くの場合、珍しいことではなく心配しなくてもよいということがわかった赤ちゃんの奇声。成長にはそれぞれ個性がありますが、発達障害との関係を心配するママやパパも少なくないようです。
現状、赤ちゃんの時点では発達障害であるかどうかを判断することは難しいとされています。早いケースでも、発達障害と判断できるのは3歳頃のようです。どうしてもほかの子と違うなどと親から見て心配な場合は、奇声以外で赤ちゃんにみられる発達障害のサインを参考にしてみるとよいかもしれません。以下のケースに当てはまるか確認してみましょう。
基本的に、発達障害をもつ赤ちゃんは、ママやパパなどの親を含め、どの相手に対しても興味がないため、目が合わなかったり、あまり泣くことがなく手がかからなかったり、人見知りをしなかったりする傾向があります。
そのため、人見知りをしない、目が合わないなど、他の人に興味を示さないということがサインとして現れるようです。
特に2歳頃からあらわれるサインが、ここまでお伝えしてきた奇声や癇癪といった特徴。つまり、突然大きな声を出したり、癇癪を起こして大泣きする状態が長時間続いたりする傾向がみられるということです。
しかし、赤ちゃんそれぞれには個性があり、目が合わない、手がかからない、どの相手にも人見知りしないなど当てはまる特徴や傾向があるからといって、発達障害だと判断されるとは限りません。赤ちゃんの成長にも個人差があり、ひとりひとり違うということを頭に入れておくべきでしょう。
それでも、子どもの奇声や行動にもし不安なことがある場合は、かかりつけの小児科医や、発達障害の専門家に相談に乗ってもらうとよいかもしれません。また身近に相談できる相手として、幼稚園や保育園の先生に相談する保護者もいるようです。
奇声を上げない場合
ここまで、赤ちゃんが奇声を上げることについて説明してきましたが、一方で、奇声を上げないことが障害や病気に関係しているのではないかと悩んでいる方もいるようです。
赤ちゃんが奇声を上げない場合に、注意したい点は主に以下の2つのケースです。
- 働きかけへの反応
- 聴覚の問題
それぞれについて詳しく解説していきます。
働きかけへの反応
まずは、働きかけへの反応に密接に関係している、赤ちゃんの言葉の発達について月齢順にみていきましょう。
赤ちゃんは新生児期からすでに声のするほうに顔を向けたり、ママの動きを目で追ったり、さまざまな働きかけに反応します。
生後1~2カ月頃になるとその反応がより明確になり、ママやパパがあやすと笑ったり、泣きやんだりする傾向にあります。そして、「あー」「うー」と声を出すようになって、生後3カ月前後には「ばぶばぶ」といったような喃語を発するようになります。
その後、前述したように、発声を楽しんだり自分の気持ちを伝えようとして、奇声を上げる傾向にあるのですが、ここで注意したいのが、言葉を獲得する前段階として、ママやパパとのコミュニケーションにどう応答しているかということです。
ママやパパが歌ったり声をかけたり、あやしたりすると、何かしらの反応をするという実感があるのであれば、大きな発達の遅れはなく、心配する必要もないでしょう。
聴覚の問題
次に、反応はあるけど発声がないというときに心配なのが聴覚の問題です。
最近では、半数近くの赤ちゃんが生後すぐに新生児聴覚スクリーニング検査で、耳に異常がないかを確認していますが、地域や施設によっては受けていない赤ちゃんもいます。検査を受けていない赤ちゃんが日常生活のなかで、音のするほうに顔を向けたり、大きな音に驚くなど耳が聞こえていると思われる反応があれば、しばらく様子をみてもよいでしょう。
赤ちゃんが奇声を上げないときに心配なケースといえるのは、主に上記の2点ですが、ほかにもさまざまな可能性が考えられます。ママやパパが心配なときは、まずはかかりつけの小児科医に相談して、必要があれば専門的な医療機関を紹介してもらいましょう。
ママやパパが心がけておきたいこと
育児や家事で寝不足が続くことも多い時期に、このように赤ちゃんが奇声を上げると、思わずストレスに感じたり、ご近所や周りの迷惑にもなるのではないかと悩んだりすることもあるのではないでしょうか。
そのような状態にならないために、ママやパパ自身が普段から意識しておくとよいことがあります。
まずは、赤ちゃんが奇声を上げたときに、大人が過剰に反応してはならないということ。赤ちゃんが奇声を発して、ママやパパが大きな声を出して反応したり怒ったりすると、赤ちゃんがより興奮して大きな奇声を上げることにつながってしまいます。また、過剰に反応することで、赤ちゃんが親の反応見たさに奇声を上げることもあるでしょう。
赤ちゃんが奇声をあげたときは、何よりも落ち着いて赤ちゃんに向き合うことが大切です。抱っこをする、オムツの状態を確認する、ほかの遊びに誘って興味をそらすなどといった対処法を基本に、赤ちゃんの様子を見ながら、ママやパパ自身もリラックスすることが大切です。
ママたちの体験談
赤ちゃんの奇声について、ママたちの体験談をご紹介します。
1児のママ
1児のママ
生後1~2カ月の頃に、黄昏泣きなのか、奇声といっていいほどのレベルで夕方頃によく泣いていました。泣いている間は抱っこをしていまいしたが、疲れて寝るまで泣きやまないので大変だったように思います。逆に、機嫌がよいときの奇声はあまり記憶にないですね。
3児のママ
0~1歳頃より、2~3歳くらいの方が奇声を発するイメージがあります。遊びの中で突然奇声を上げている子どもを見かけることもありますが、奇声の原因が何なのか気になります。
3児のママ
経験上、男の子の方が奇声を発する印象です。普段は大人しいのに、テンションが上がる環境にいると奇声を発するので、男の子の方が大きい声を出してパワーを発散しているのかも。対処法として特に何もしていないですが、一緒に遊んでいるきょうだいのお姉ちゃんから「うるさいよ」と注意されていますね。
あたたかく見守る姿勢を
今回の記事では、小児科医の保科しほ先生監修のもと、赤ちゃんの奇声に関する原因や対処法、発達障害との関連性を紹介しました。
赤ちゃんが奇声を発することは発達過程においてよくある現象で、特に珍しいことではありません。子どもの成長には個性があるため、あまり不安にならないよう、子どもの成長を見守りましょう。
自分の声を聞いて楽しくなっているときは機嫌がよく、顔を赤くしながら叫び続けるときは何かしらの不快感や不調があることも考えられます。そのときどきで赤ちゃんの様子を見ながら、必要に応じて空腹やオムツの状態、体温、汗のかき具合、周囲の環境などを確認するなど、適切な対応を行いましょう。
赤ちゃんの奇声について、ママやパパに不安があるときは医療機関などに相談し、アドバイスをもらってもよいかもしれません。普段から過剰に反応しすぎないようにリラックスして、赤ちゃんとの生活を楽しむ余裕をもてるよう心がけることが大切です。
監修:保科しほ
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保科しほ
日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。
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あまり奇声だとは認識していなかったものの、眠いのに眠れないときは、ぐずるような声を発していたことがありました。どちらかというと、幼児になってから奇声を発することが多く、楽しくてテンションが上がると走り回って叫んでいます。家の中でのことがほとんどなので、子どものあるあるとして受け取っています。