【小児科医監修】もしかしたら子どもがヘルパンギーナかも。特徴的な症状と予防方法

【小児科医監修】もしかしたら子どもがヘルパンギーナかも。特徴的な症状と予防方法

ヘルパンギーナにかかるとどのような症状が出るのでしょう?発熱や咳、鼻水など普通の風邪との違いや特徴的な症状、ヘルパンギーナの予防法を紹介し、万が一かかっても症状が軽い場合、保育園や幼稚園にはいつから行けるのかなどを解説します。

ヘルパンギーナとは?

「手足口病」「プール熱」とともに子どもの三大夏風邪1つとされている「ヘルパンギーナ」。病気の主な症状、潜伏期間などについてまとめてみました。


流行時期とかかる回数について

5月頃から流行りはじめ、7月頃にピークを迎えます。

ヘルパンギーナの原因となるウイルスには種類がいくつかあるため、1度かかっても型が違うとまた新たにかかる可能性があります。


かかりやすい年齢は?

ヘルパンギーナにかかる年齢の90%以上が5歳以下の乳幼児で、そのなかでも1歳代がもっとも多いようです。

出典:ヘルパンギーナとは/NIID 国立感染症研究所

大人はかからない!?

大人の場合は、かかりにくいといわれていますが、疲れがたまっていたり、寝不足など免疫力が落ちているときなどにかかる可能性があります。

また、出産間近の妊婦さんがかかると体内の子どもに感染してしまうケースも。その場合も多くは軽い症状ですみます。ただし、まれに肝炎、心臓などの臓器にウイルスが感染しトラブルを起こすことがあります。重症化しやすいのは生まれてから2週間までの新生児なので、注意してください。

ヘルパンギーナの症状

子どもの熱を測るママ
iStock.com/maroke

感染すると、実際にどのような症状が現れ、風邪とどのような違いがあるのでしょうか。


ヘルパンギーナにかかると

感染すると以下のような症状が見られます。

・発熱
・のどに水疱・発疹
・のどの赤み、強い痛み

のどちんこの付け根など口内に水ぶくれや水疱がいくつかできることがヘルパンギーナの大きな特徴です。そのうち水ぶくれが破れると痛みが強くなります。潜伏期間ののち、急に発熱し、続いてのどの痛みや赤みが出てきます。

39℃以上の高熱が出ることもあり、「熱性けいれん」を起こす場合もあります。


症状が軽いとうつすリスクが少ない?

まれに「不顕性感染」といい、微熱程度の発熱しかせず目立った症状がみられないことがあります。

また、大人は感染しても比較的に症状が軽い場合が多いですが、軽い症状であってもウイルスには感染しているので周りにうつさないように配慮しましょう。


ヘルパンギーナから引き起こす合併症

頭痛や嘔吐、息切れを感じたら、髄膜炎や急性心筋炎を合併している可能性があります。ヘルパンギーナからこれらの合併症を起こすことはめったにありませんが、かかった場合はどれも子どもの命にかかわる病気になります。

「症状が軽いから」「吐いたけれど少量だから平気」と勝手に判断せずに、気になる症状や子どもの様子が明らかにいつもと違うなどが見られたときには、早めに病院で受診しましょう。

感染経路と潜伏期間

ヘルパンギーナの潜伏期間は、2~4日といわれています。感染経路は、くしゃみや咳などで感染する「飛沫感染」と、手が触れるなどの直接的な接触やウイルスのついた手でおもちゃを触り、他の子がそのおもちゃを触るなどの間接的な接触の「接触感染」があります。

また、便から排出されたウイルスに触れることで感染するケースも多いのでオムツ替えにも注意が必要です。

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ヘルパンギーナの予防方法

ウイルスを体内に入れないことが大切ですが、どのように予防したらよいのでしょうか。


手洗い

手を洗う男の子
iStock.com/Juergen Sack

ヘルパンギーナは夏風邪のウイルスによる病気なので、手洗いをしっかりしてウイルスの感染を防ぐことが大切です。手洗い後、酸性アルコール消毒を行い、より入念に対策を。


マスクを着用する

人ごみに出るときや流行時期には、ウイルスを体内に入れないようマスクを着用することが望ましいです。


規則正しい生活をする

免疫力が下がっていると病気にかかりやすくなります。特にヘルパンギーナが流行する夏は、イベントや旅行などで生活リズムが乱れ、気づかない間に子どもに疲れがたまったりしていることもあります。

早寝、早起き、十分な睡眠やバランスのとれた食事で規則正しい生活を心がけましょう。


オムツ交換に注意

症状が軽くなっても2~4週間は便からウイルスが排出され続けています。症状が軽い、治まってきたから大丈夫だと思わずに使用済みのオムツはビニール袋に入れて袋の口をしっかり閉じるようにし、便に直接触れないようにしましょう。

また、オムツ交換が終わった後は石けんを使ってきちんと手を洗うことが大事です。

かかってしまったときの注意点

のどの痛みが強いのでよだれが多くなったり、食事や水分が摂れなくなることが多くなるので、脱水症状に注意が必要です。こまめに水分をとるように意識しましょう。固形物を無理にとらせずヨーグルトやゼリー、アイスなど柔らかくのどごしがよいものを選んでください。薄味を心がけて辛いものや酸っぱいものは控えましょう。

熱いものは、のどを刺激する可能性があるので、冷ますなど工夫が必要です。

登園はいつからできる?

ヘルパンギーナの発熱は2~3日で下がり、口内にできた水疱やのどの痛みは1週間程度で治まるといわれています。インフルエンザや麻疹などのように出席停止期間は決められていなく、基本的に医師の診断で登園許可がおりたら登園できます。

しかし、園によって出席停止期間をもうけていたり登園届が必要な場合もあるので、ヘルパンギーナにかかったら保育園や幼稚園に確認しておくとよいでしょう。

子どもに多いヘルパンギーナの主な症状を知って適切な予防と対策を

笑顔の子ども
iStock.com/maroke

三大夏風邪の1つのヘルパンギーナは、症状としてのどに強い痛みを感じるためにご飯や水分を摂りにくくなります。普通の風邪と違い特徴的な症状が見られるので、熱はあるが、鼻水や咳が出ていない、症状は軽いが、子どもの食欲が著しく低下しているなど、いつもと様子が違ったら早めに医師の診断を受けるようにしましょう。

しっかり手洗いを行い、規則正しい生活とバランスの良い食事を心がけてください。それが病気にかかるリスクを減らし、健やかに夏を過ごす近道といえます。


監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)

Profile

眞々田容子(クローバーこどもクリニック)

眞々田容子(クローバーこどもクリニック)

台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。 症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。 お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。

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