【産婦人科医監修】妊娠中にはちみつは食べても大丈夫?注意点など

妊娠中のはちみつとお腹の赤ちゃんについて

【産婦人科医監修】妊娠中にはちみつは食べても大丈夫?注意点など

妊婦中にはちみつを食べてもよいのか、気になる妊婦さんもいるでしょう。妊娠中にはちみつを食べるとお腹の赤ちゃんに影響を与えることはあるのでしょうか。妊娠中にはちみつを食べるときの注意点、乳児にはちみつを与えてはいけない理由について詳しく解説します。

妊娠にはちみつは食べて大丈夫?

妊娠中は食べ物に気をつけている方も多いでしょう。赤ちゃんにはちみつを与えてはいけないと耳にし、妊娠中も控えるべきなのか疑問に思うママもいるかもしれません。

1歳未満の赤ちゃんは内臓器官の発達がまだ十分ではありません。はちみつに混入している場合があるボツリヌス菌が体内に入ると自分で上手く処理ができず、「乳児ボツリヌス症」を引き起こす可能性があります。

そのため、赤ちゃんにはちみつを与えるのはよくありませんが、妊婦さんがはちみつを食べてもお腹の赤ちゃんに影響を与えることはありません。

専門家も以下のように言っています。

1歳未満の子供にはちみつを食べさていけないのは、免疫力や腸の未発達によりボツリヌス菌中毒になる可能性があるからです。成人はその心配はありませんし、胎児に影響することもありません。

出典: AskDoctors

妊娠中は、妊娠初期から臨月まで全時期を通じてはちみつを食べることができます。

はちみつをそのまま食べることはもちろん、はちみつを使った製品を食べても赤ちゃんやママの身体に悪い影響を与えることはありません。

はちみつとは

はちみつは、ミツバチが飛び回り集めた花の蜜を巣の中で貯蔵したものです。花の種類によって味や色、香りにさまざまな違いがあります。

妊婦さんがはちみつを食べるとどのような効果があるのでしょうか。


栄養補給

はちみつ梅干し
iStock.com/Promo_Link

はちみつには、ビタミンB群など多くのビタミン類、葉酸、カルシウム、カリウム、鉄などのミネラル、アミノ酸、クエン酸、ポリフェノールなど妊娠中に摂取したい栄養素がたくさん含まれています。

妊娠中はお腹の赤ちゃんやママの健康を保つために、栄養バランスが整った食事を心掛けることが大切ですが、つわりの症状あると食事からの栄養補給が難しいこともあるでしょう。

つわりで食欲がないときは、食べ物や飲み物に少量のはちみつを加え、不足しがちな栄養素を補うのもよい方法です。

つわりで食欲がないときや口の中をさっぱりさせたいときは、はちみつ梅干しやはちみつ大根など栄養補給を兼ねて試してみてはいかがでしょうか。


疲労回復

はちみつは、疲れた体を回復してくれる効果があります。

はちみつの主成分であるブドウ糖、果糖は体内で分解する必要のない単糖類です。ブドウ糖や果糖は、短時間で腸壁から吸収されすぐにエネルギーとして活用できます。

レモンに含まれているクエン酸には、代謝を上げたり、疲れた身体を回復する役割があるので、温めたはちみつレモンジュースは妊婦さんにおすすめの飲み物です。


便秘の予防・改善

妊娠中は、ホルモンの影響や大きくなる子宮に腸が圧迫されることなどが原因で便秘になりやすいです。

便秘の予防・改善には、腸内環境を整える効果がある乳酸菌を含む、ヨーグルトや発酵食品がよいとされています。

はちみつには乳酸菌の働きよくする役割があるグルコン酸、オリゴ糖が含まれているので、ヨーグルトといっしょに摂ると便秘の予防・改善の効果が期待できます。


抗菌作用

はちみつは抗菌作用が期待できると言われています。薬ではないので必ず効果があるわけではありませんが、喉の痛みや口内炎などの症状が緩和する場合もあるでしょう。

妊娠中は自己判断で市販薬を飲むことを避けた方がよいため、風邪の引き始めなどにはちみつ大根やはちみつレモンジュース、はちみつのど飴などを試してみるのもよいかもしれません。

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妊娠中にはちみつを食べるときの注意点

妊娠中にはちみつを食べるときの注意点について解説します。


食べ過ぎない

食べすぎ注意
iStock.com/Daisy-Daisy

はちみつには、糖分が多くふくまれているため、食べすぎに注意が必要です。

妊娠中に糖分を過剰に摂取してしまうと、体重が増加し、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を引き起こす恐れがあります。


成分を確認する

市販のはちみつには、「純粋はちみつ」「精製はちみつ」「加糖はちみつ」などの種類があります。

においや色を取り除いた「精製はちみつ」やはちみつに果糖ブドウ糖液を加えられた「加糖はちみつ」は加工品されたはちみつです。

妊婦さんは香料や甘味料、酸味料が含まれていない「純粋はちみつ」を選ぶと安心でしょう。


加熱しない

はちみつに含まれているビタミンや酵素などの栄養素は熱に弱く、加熱すると含まれている成分が変性する可能性があります。

また、風味を損なう原因になる場合もあるため、はちみつを食べるときは加熱しないようにしましょう。

温かい食べ物や飲み物に合わせるときは、冷めてから最後に加えるとよいです。

妊娠中のはちみつは適度に

はちみつを食べる妊婦さん
iStock.com/Vera_Petrunina

妊婦さんがはちみつを食べても、お腹の赤ちゃんにボツリヌス菌が移行することはありません。また、はちみつが妊婦さんの身体に悪い影響を与えることもないです。

はちみつには、妊婦さんに必要な栄養素が多く含まれているため、不足しがちな栄養素を補うために、適度に取り入れるとよいでしょう。

はちみつにはビタミンCが含まれていないので、ビタミンCが豊富に含まれているレモンと組み合わせて摂取するのもよい方法です。

また、レモンや梅干しに含まれるクエン酸には、胃のむかつきを抑える効果があるので、吐きつわりや食欲がないときは、はちみつレモンジュースやはちみつ梅干しなど食べ方を工夫するとつわりの症状を軽減できるかもしれません。

はちみつのカロリーは白砂糖の4分の3程度と言われています。料理や飲み物に使用している白砂糖をはちみつに置き換えれば、摂取カロリーを抑えることもできるので、妊娠中は上手に取り入れたいですね。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。 患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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