【産婦人科医監修】妊娠初期の咳。風邪や他の原因、胎児への影響

咳が止まらないときの対処方法や薬について

【産婦人科医監修】妊娠初期の咳。風邪や他の原因、胎児への影響

妊娠初期に風邪をひいて咳が止まらないと、流産したりお腹の赤ちゃんに影響がないか心配になる妊婦さんもいるでしょう。妊娠時の咳の原因と咳が止まらないときの対処法をご紹介します。咳が胎児に影響するのか市販の薬の使用についても解説します。

妊娠中の咳の原因

妊娠すると、咳がひどくなる妊婦さんがいます。妊娠中の咳はどのようなことが原因で起こるのかについて詳しく見ていきましょう。


風邪

妊娠するとホルモンバランスが変化したり、自律神経が乱れることが原因で体調を崩しやすくなります。

妊娠中は、普段より免疫力が下がるため風邪などの感染症にかかりやすくなります。風邪にかかって咳の症状が強く出る人もいます。


水分不足

妊娠するとお腹の赤ちゃんや羊水、胎盤などに大量の水分が必要になります。妊娠前と同じ水分量だと体内の水分量が足りず、気管支やのど、口のなかが乾燥して咳が出やすくなります。


アレルギー

妊娠すると、においや音など今まで気にならなかったことにも身体が敏感に反応するようになります。

妊娠する前には花粉症やアレルギー反応がなかったけれど、妊娠したら花粉やハウスダストなどにアレルギー反応を起こすようになったという人もいるようです。


そのほか

咳が2週間以上止まらない場合は風邪ではなく、咳喘息や気管支炎、副鼻腔炎、マイコプラズマ肺炎などほかの病気にかかっている可能性があります。

咳が止まらないときの対処法

妊娠中に咳が止まらないときにはどのような対策ができるでしょうか。


加湿をする

加湿器
iStock.com/yocamon

部屋や身体のなかが乾燥すると、咳が出やすくなります。

特に、冬場は外の空気も乾燥しやすかったり、室内でもエアコンを使うため部屋の空気がより乾燥します。

加湿器を使ったり、濡れたタオルを干すなどして乾燥対策をするとよいでしょう。


体内の乾燥対策をする

身体のなかの乾燥は、咳が止まらない原因になることがあります。体内の乾燥を防ぐためにもこまめな水分補給を心がけましょう。

外出するときはマスクを着用することもおすすめです。

今は、濡れマスクなど乾燥対策にもさまざまなグッズが出ているので試してみてもよいかもしれません。


首周りを冷やさない

首回りや肩回りが冷えると、咳が悪化する場合があります。

外出時はマフラーやネックウォーマー、スカーフなどで特に首や肩回りをあたたかくする工夫が必要です。


アメを食べる

咳が止まらないとのどはより乾燥して、ママもつらいでしょう。アメを食べると唾液の分泌が増えて、のどの乾燥やウイルスの侵入を防いで、咳が治まることも多いです。

外出時には、アメを準備しておくとよいかもしれません。


十分な休息をとる

特に妊娠初期は、ホルモンバランスが乱れやすく、体力や免疫力が落ちやすくなります。風邪や感染症にかからないように無理せず、ゆっくり休むことが大切です。

また、妊娠中はつわりの影響で寝不足になることもあるので昼寝をしたり、十分な睡眠をとることも大事です。

妊娠初期で咳が止まらないと流産の可能性がある?

妊娠中のお腹
iStock.com/Satoshi-K

妊娠初期に咳が止まらないと、お腹に負担がかかってお腹のなかの赤ちゃんに影響がないか心配になりますよね。

専門家は以下のように言っています。

咳が胎児に影響をおよぼすことは、まず無いと思いますよ。元々の肺機能に高度の異常がなければ咳き込みで低酸素になることはありませんので、心配はいらないと思いますよ。

出典: AskDoctors

妊娠初期に咳の腹圧が原因で流産することはほぼないようですが、咳でお腹の張りや痛みを感じる場合は早めに受診しましょう。

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咳止めの薬を飲んでもよい?

妊娠中はつわりや体調の変化が多くみられるため、病院に行くのも大変に感じるときもあるでしょう。

そんなときに咳が止まらないと市販の咳止め薬で対応したくなることもがあるかもしれませんが、市販の薬はお腹の赤ちゃんに影響しないか心配に思うママもいるでしょう。

市販の薬にはさまざまな成分が入っていて、妊娠時には控えた方がよい成分が入っている可能性があるため、自己判断で飲まない方がよいです。

咳が止まらない、薬で咳を止めたいときには医師に相談すると、妊婦さんでも飲める薬を処方してくれるでしょう。

妊娠時期にかかわらず、咳対策を行おう

部屋で暖かくくつろぐ妊婦さん
iStock.com/maroke

妊娠すると、ホルモンバランスの変化などから身体の反応が敏感になり、妊娠前には感じなかったアレルギー反応で咳が止まらなくなることもあります。

特に妊娠初期は、お腹の赤ちゃんは成長途中のため激しい咳が続くと、腹圧で赤ちゃんに影響が出ないか心配になるかもしれませんが、咳が原因で流産になる可能性はほとんどありません。

しかし妊娠中は、免疫力が下がって病気にかかりやすいため、風邪や感染症にかからないために加湿や身体を冷やさないこと、十分な休息など咳で悩まないように対策することが大切です。

また、妊娠初期や中期、後期と妊娠時期にかかわらず市販の咳止め薬の使用は避け、咳が止まらない症状がみられるときには受診して医師の指示に従うことが重要です。


監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。 患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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2019.01.19

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