【産婦人科医監修】妊娠中は口内炎になりやすい?市販薬を使用してもよいのか

原因や予防法、治らないときの対処法

【産婦人科医監修】妊娠中は口内炎になりやすい?市販薬を使用してもよいのか

妊娠中に口内炎ができてなかなか治らないと悩んでいる妊婦さんも少なくないでしょう。妊娠初期は特に口内炎ができやすくなります。口内炎ができやすくなる原因と予防法をご紹介します。また、口内炎が治らないときには市販の口内炎薬を使用してもよいのかについても解説します。

妊娠中に口内炎になりやすい原因

妊娠中は、特に口内炎になりやすいといわれていますが、なぜ妊娠中は口内炎になりやすいのか詳しくみていきましょう。


ホルモンバランスの乱れ

妊娠中は、女性ホルモンが増えてホルモンバランスが崩れます。特に妊娠初期は女性ホルモンが急激に増える時期です。

ホルモンバランスが崩れると、自律神経が乱れて免疫機能が低下しやすくなるため、体内に細菌やウイルスが入りやすくなります。また、ホルモンバランスが崩れることによって唾液の量が減り、口の中が乾燥しやすくなるため口内炎がよりできやすくなります。

口の中をきれいにし、生活習慣にも配慮しているのに口内炎が治らないときにはホルモンバランスの乱れが原因かもしれません。


口の中の衛生状況

つわりがひどいと、歯ブラシを口の中に入れるだけで吐き気がして歯磨きができない妊婦さんもいるでしょう。

歯磨きが出来ない日が続くと、口の中に細菌が繁殖して口内炎ができやすくなります。


栄養バランスの崩れ

つわりがひどいと食べられるものを食べられるときに食べるという妊婦さんも少なくないでしょう。食事がとれなかったり、偏った食事になると栄養バランスが崩れて口内炎ができる可能性が高くなります。

口内炎は、特にビタミンBが不足すると症状が悪化します。


睡眠不足

眠れない妊婦さん
iStock.com/chameleonseye

妊娠して、つわりがひどいと気持ち悪さで熟睡できなかったり、なかには夜に眠れなくなってしまう妊婦さんもいます。睡眠不足で体調を崩すと口内炎になりやすくなります。


ストレス

妊娠中はホルモンバランスが崩れて気分が落ちやすくなったり、不安や緊張でゆっくり休めず疲れやすかったり、ストレスがたまりやすくなります。

疲れやストレスは口内炎を引き起こす原因になります。

口内炎の予防法

口内炎にならないための予防法をご紹介します。


口の中を清潔にする

口の中
iStock.com/AH86

口内炎の予防には、口の中を清潔に保つことがとても大切です。

つわりが激しく、こまめに歯磨きをするのが難しい場合はうがいだけでもよいです。妊娠中はホルモンの関係で口のなかが乾燥しやすくなっているので、食後には必ずうがいをして、口の中を乾燥させないようにすることが重要です。


栄養バランスのとれた食事

栄養バランスのとれた食事を心がけることも口内炎の予防になります。

口内炎によいといわれているビタミンBが多く含まれたバナナブロッコリーピーマン納豆などを意識してとるとよいです。

ビタミンをサプリメントで補うのも1つの方法ですが、妊娠中にサプリメントを飲んでも大丈夫かは飲む前に医師と相談するようにしましょう。


規則正しい生活

口内炎は生活リズムが乱れたり、疲労が原因でできます。

食事はなるべく決まった時間にとり、早寝早起きを心がけて、規則正しい生活をすることが大事です。


ストレスを溜めない

妊娠中は、お腹のなかの赤ちゃんを常に気遣い、妊婦さんが思っている以上に疲れが溜まりやすくなっています。

緊張状態や不安でストレスが溜まりやすくなっているため、十分な睡眠をとり、温かい飲み物で休憩をしたり、読書やお風呂など妊婦さんの好きなことをしてリラックスできる時間を作ることが大切です。

こちらの記事も読まれています

市販の薬を使用してもよい?

口内炎がひどいと食べるときに染みてご飯が食べられなかったり、口内炎が痛くて気になり、市販の口内炎薬の使用を考える人もいるかもしれません。

市販の口内炎薬には、塗るタイプや貼るタイプ、スプレータイプ、飲むタイプなどさまざまあります。なかにはステロイドが含まれている薬もあるため、自己判断で市販の口内炎薬を使うのはお腹のなかの赤ちゃんの影響を考えて控えたほうがよいです。

口内炎は通常だと、10日~2週間程度で自然治癒する場合がほとんどなのですが、痛みが強かったり、治っても再発を繰り返すなど、なかなか口内炎が治らないときには、医師に相談しましょう。妊娠中でも使える口内炎の塗り薬や飲み薬を出してもらえる場合があります。

妊娠中は口内炎予防を意識して行いましょう

笑顔の妊婦さん
iStock.com/kohei_hara

妊娠初期は、ホルモンバランスの変化やつわりの影響などで口内環境が悪くなるため、口内炎が特にできやすくなります。

ただでさえ体調が変わりやすい妊娠時期に、口内炎ができて食事をするときや飲み物を飲むときに口内炎が染みたり、痛んだりするとさらにストレスになるでしょう。なかなか口内炎が治らないと市販の口内炎薬を使って治したくなるかもしれませんが、市販の口内炎薬はさまざまな成分が含まれていてお腹の赤ちゃんに影響する場合があるため、自分の判断で使うことはおすすめできません。

口内炎は口の中を清潔に保ち、バランスのよい食事や十分な睡眠など規則正しい生活を心がけることで防ぐことができるかもしれません。妊婦さんはなるべくリラックスしてストレスを溜めないことが大切です。

痛みが強いときや再発を繰り返すときには、病院を受診するようにしましょう。

Profile

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。 患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

2018年12月15日

病気・トラブルカテゴリの記事

ショート動画

教育を親の自己満足にしてはいけない。教育虐待になりうるハイパーペアレンティングの恐ろしさとは

教育熱心はどこまで?

この連載を見る

不安定な社会情勢やSNSなどを通じて得る過剰な教育情報によって、子どもの教育に奔走し、過干渉な子育てをする親が増加しています。行き過ぎた「教育熱心」が及ぼす危険性とは?そして子どもを疲弊させないために、親がどうあるべきか、各専門家に取材しました。
【脳科学×外育】ひろぴーファミリーが体験!子どもが成長する家族旅

ファミリーYouTuberのひろぴーファミリーが、家族で素敵な自然体験ができる茨城県常陸大宮市(ひたちおおみやし)の御前山ダムに出発。農業やカヌー、BBQなどさまざまな外遊びを満喫してきました。脳科学者の瀧先生の専門的な見解を交えて御前山ダム周辺での家族旅の様子を紹介します。