妊婦さんは薬の服用に制限がありますが、妊娠中の花粉症は薬の服用をしてもよいのか、何科の病院を受診するか迷うのではないかと思います。妊婦さんのくしゃみや鼻づまり、目のかゆみなど症状別の薬の使用について解説、甜茶など妊娠中にも取り入れられる花粉症の予防対策をご紹介します。
もともと花粉症の方、妊娠中に花粉症を発症したり、例年より重い花粉症の症状が出る妊婦さんが少なくありません。これは、妊娠中はホルモンや自律神経の変化により、鼻腔内がむくみやすく、普段より鼻炎の症状が重く出る傾向があるからです。
妊娠中は服用できない薬も多く、服用できる薬の強さや量などに制限があるため、病院に行かずに我慢する妊婦さんも多いようです。しかし、花粉症の症状がつらいときには我慢せずに病院に行くことが大切です。我慢すると、症状が悪化したり、ママのストレスがたまり、赤ちゃんへ影響することもあるようです。
妊娠中の花粉症は、病院では何科を受診したらよいのか迷う人もいるでしょう。妊娠中に花粉症のような症状が出た場合は、産婦人科でもよいのですが、花粉症の特につらい症状に合った診療科の病院を受診するとつらい症状を緩和させられるでしょう。
くしゃみや鼻水、鼻づまりの場合は耳鼻咽喉科、目のかゆみが強い場合は、眼科を受診しましょう。耳鼻咽喉科でも眼科でも妊娠中ということは必ず伝えることが重要です。耳鼻咽喉科や眼科で処方された薬を妊娠中に飲んでもよいのかが心配であれば、飲む前にかかりつけの産婦人科で確認をしてから服用を始められると安心です。
妊娠4週目から妊娠12週目は、赤ちゃんの器官が作られている時期です。この時期に妊婦さんが薬を服用するとお腹のなかの赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があるといわれているので、薬の服用には十分な注意が必要です。しかし、花粉症の症状がひどいときや、妊娠中期以降であれば、妊婦さんでも服用できる薬が処方されるでしょう。
妊娠時の花粉症のときには点鼻薬が処方されることが多いです。点鼻薬は、鼻腔内の粘膜に直接作用し、お腹のなかの赤ちゃんへの影響はほぼないため、くしゃみや鼻水、鼻づまりの症状が出ているときには点鼻薬が味方となるかもしれません。
点眼薬(目薬)も点鼻薬と同様、少量でも目に直接作用するためお腹のなかの赤ちゃんへの影響の心配が少ないので安心して使えます。妊娠中の点眼薬(目薬)と点鼻薬については専門家も以下のようにアドバイスしています。
市販の点鼻薬、点眼薬(目薬)もありますが、成分などが分かりにくいため、妊娠中の市販の薬の服用は避け、病院で処方された薬を使用しましょう。漢方薬も薬の一種になるので、自己判断で使用しないことが大事です。
妊娠中にできる花粉症対策をご紹介します。
花粉症の症状を悪化させないためには花粉を室内や体内に入れないことが大切です。
外出先から帰ってきたら、洋服や髪についた花粉をはらい落としてから部屋に入るようにしましょう。上着や帽子などは家の外で脱いで、花粉をはらい落とすことをおすすめします。また、外で着ていた洋服は屋内で着替えをし、早めに洗濯するよう心がけましょう。できれば外出先から戻ったらすぐにお風呂に入ったり、シャワーを浴びて花粉を落とすと効果的です。
花粉の時期には、洗濯物を外干しから室内干しにするのもよいでしょう。
花粉をなるべく体内に入れないように、外出時はマスクや花粉用のメガネを着用しましょう。また、外出時は花粉がつきにくい、つるつるした素材の衣服を選ぶようにするとよいです。
晴れた日や雨上がりの翌日は花粉の飛散量が増えます。11時から15時のお昼前後と、夕方から日没前後の18時から20時の時間帯は特に花粉の量が多くなるので避けて外出するとよいでしょう。
花粉症対策にはこまめな掃除が大切です。換気をしたときや外から帰ってきたときなどに花粉が浮遊して、床や家具につく可能性があります。掃除機で花粉を吸いとったり、家具は水拭きをすると花粉を取り除けます。
乾燥をしていると鼻の粘膜が乾き、花粉が入り込みやすくなります。室内では加湿器を使用したり、加湿器がなければ湿った大きめのタオルを干すなどして、湿度を60%以上に保つように工夫しましょう。
花粉症の症状を緩和させるのに効果的な食べ物を積極に摂ることも花粉症対策のひとつです。
「甜茶」には、アレルギー物質のかゆみやくしゃみ、鼻水などの刺激をもたらすヒスタミンの分泌を抑える働きがあり、「納豆」には、ムチンというネバネバの成分が目や鼻などの粘膜を保護する役割があるようです。
ほかにも、「ルイボスティー」は、アレルギー反応を抑えて免疫力を上げてくれる効果があります。「ヨーグルト」や「シナモン」「山芋」「エビ」「カフェイン」なども個人差がありますが、症状が緩和される人もいるようなので意識して取り入れてみるとよいかもしれません。
花粉症の症状がひどく、耐えられない場合には、鼻粘膜のレーザー治療があります。鼻粘膜のレーザー治療は妊娠中も可能ですが、手術を受けてから1週間ほどは鼻炎が悪化するので注意が必要です。詳細は耳鼻咽喉科医やかかりつけの産婦人科医に確認しましょう。
ちなみにレーザー治療同様、近年、花粉症の治療や予防として注目されている舌下免疫療法は、妊娠中に始めることはできません。
体調の変化が表れやすい妊娠中に花粉症にかかったり、花粉症の症状が出てくるとつらくなりますよね。また、妊婦さんは女性ホルモンや自律神経が変化することで花粉症を発症したり、花粉症の症状が悪化することも珍しくありません。
妊娠中は、お腹のなかの赤ちゃんの影響を考えて薬の服用に制限があり、病院への受診を控えて我慢してしまう妊婦さんもいるかもしれません。しかし、つらい症状を我慢しすぎると、ママの体調が悪化したり、ストレスになりかねません。我慢せず、最もつらい症状にあう診療科を受診するようにしましょう。
耳鼻咽喉科や眼科では、点鼻薬や点眼薬(目薬)などが処方されることがあります。点鼻薬や点眼薬(目薬)は少量で炎症部分のみに効果があるので、お腹の赤ちゃんに影響はほぼありません。部分的に症状が和らぐだけでも妊婦さんのストレスはだいぶ軽減されるでしょう。
外出時にできる花粉対策や、こまめな掃除、甜茶など花粉症の症状を和らげる効果のある食材を取り入れるなどの花粉対策をして、花粉症と上手に付き合いながら妊婦生活を送りましょう。
三塚沙希(エムズクリニック白金)
エムズクリニック白金 院長。
わかりやすく、丁寧な診察を心がけ、お子様からお年寄りまで安心してかかれるクリニックを目指している。
「子どもが頭を打った」「外食して2時間後にじんましんが出た」など、子どもの病気や気になる症状について医師に相談できるのが、日本最大級の医師Q&Aサイト「アスクドクターズ」です。
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かかりつけ医とともに、子育て中のママやパパの頼もしい味方になってくれそうですね。
※記事内で使用している参照内容は、2018年10月2日時点で作成した記事になります。
2018年11月22日
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