【産婦人科医監修】妊娠中の尿もれしやすい場面と対策法

増える原因や破水の見分け方も解説

【産婦人科医監修】妊娠中の尿もれしやすい場面と対策法

妊娠してから尿もれをすることが増えたけれども、「自分だけかも…」と心配に感じている妊婦さんはいませんか。なぜ妊娠中に尿もれが増えるのかその原因と尿もれをしやすい場面を説明します。また、尿もれの上手な対策法、さらには尿もれと破水の見分け方も、専門家のアドバイスをふまえてご紹介します。

妊娠中の尿もれが増える原因

妊娠中に尿漏れが増える原因は、果たして体重が増えるからなのでしょうか。考えられる原因についてまとめてみました。


子宮の成長で膀胱が圧迫される

お腹の赤ちゃんの成長に伴い、子宮が大きくなると膀胱が圧迫されます。膀胱が圧迫されると、以前に比べて尿をためられる量が減少します。そのため、妊婦さんは尿もれしやすくなります。


骨盤底筋がゆるむ

妊娠すると女性ホルモンの分泌が増えます。このホルモンは出産準備のために骨盤を広げ、骨盤底筋をゆるめる働きがあります。

骨盤の中に子宮があるので、骨盤がゆるむと子宮が膀胱を圧迫するため尿もれしやすくなります。

特に尿もれしやすいシーン

妊婦さんは今まで経験がない思わぬ場面で尿もれを起こすことがあるようです。妊婦さんが尿もれしやすいシーンをご紹介します。


せき、くしゃみをしたとき

くしゃみをする妊婦
iStock.com/JackBuu

「せきやくしゃみをしたときに尿もれした」という妊婦さんも多いのではないでしょうか。妊娠前には経験のないことで、初めはショックだったという人もいるようです


笑ったとき

友だちや家族と話していて思いっきり笑ったとき、テレビでおもしろいシーンを見たときなどに尿もれを経験している妊婦さんもいます。


重い荷物を持ち上げたとき

重い荷物を持ち上げた瞬間に尿もれをして焦ったという妊婦さんもいます。お腹が大きくなってきたら重い荷物はパパに持ってもらったり、荷物はなるべくコンパクトにまとめるなどの工夫をするとよいかもしれません。


つわりで吐くとき

つわりで吐いた拍子に尿もれをするケースもあるようです。

いずれのシーンも無意識におなかに力が入ってしまい、それが原因で膀胱を圧迫して尿漏れしてしまうようです。

妊娠初期よりも中期、後期と進むにつれて回数も頻回に

尿もれの傾向として妊娠初期よりも中期、中期よりも後期の方が回数が多くなります。理由として妊娠週が進んで子宮が大きくなるにつれて、膀胱の圧迫が強くなるのでちょっとした動きでも尿もれしやすくなり、尿もれの回数が増えます。

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尿もれと破水の見分け方

妊娠後期になると、尿もれなのか破水なのか分からない妊婦さんもいるようです。尿もれと破水の見分け方について説明します。


尿もれ

色はほとんどの場合、薄い黄色や黄色でアンモニアのニオイがするのが特徴です。


破水

色は黄色っぽい場合もありますが、透明や黄緑、薄いピンク色で、ニオイはしないことが多いですが、人によっては生臭いニオイがする場合もあるようです。

破水の場合は尿もれと違って自分で止めようと思っても止まらないことが見極めポイントです。

専門家も尿もれと破水の見極め方が難しい場合があるといっています。

はっきりしないこともあります。まずはお電話し指示があれば受診しましょう。

出典: AskDoctors

と促しているので、尿もれなのか破水なのか分からないときには、焦らず病院に電話をするようにしてください。

尿もれ対策

思わぬところで尿もれを起こしやすい妊婦さんは尿もれ対策をしておくと安心です。


尿もれシートを使用する

尿もれが気になるときには、尿もれシートなどのグッズを使うのも1つの方法です。生理用ナプキンで代用する人もいるようですが、生理用のナプキンは血液を吸収するように作られているため、尿の吸収には優れておらず、かぶれてしまう場合があります。

初めて尿もれシートを購入するときは恥ずかしいという妊婦さんもいるようですが、妊婦さん専用の尿もれシートも売られているので、活用してみるとよいでしょう。


骨盤ベルト

骨盤ベルト
staras/Shutterstock.com

骨盤ベルトで固定すると、子宮による膀胱の圧迫を少し抑えることができます。

ベルトタイプやガードルタイプなど形にも種類があり、通気性のよさや着け心地のよさなど使う季節なども考えて選ぶとよいでしょう。
妊婦さんのための骨盤ベルトを使用すると、腰痛も和らげられるかもしれません。


骨盤底筋を鍛える

妊娠中は、骨盤底筋がゆるんで尿もれが起こるので、骨盤底筋のトレーニングを行うと尿もれを減らせるかもしれません。


<骨盤底筋のトレーニング方法>

・肛門をぎゅっとしめる
・5秒程度そのままキープ
・力を抜く
・2~3回程度繰り返す


簡単に実践できますが、妊娠中や産後すぐに行うときには医師に相談してからにし、お腹が張っているときには控えるようにしましょう。


正しい姿勢を心がける

両足は肩幅程度に開き、肩の力を抜いて顎を引き、猫背にならないように胸を張り、姿勢に気をつけるのも効果的です。正しい姿勢は骨盤の歪みを防いで、骨盤や膀胱に負担をかけにくくなります。


体を冷やさない

体温が下がると血管が収縮し、膀胱の血の巡りも悪くなり、尿漏れにつながるケースもあります。

スカートの丈は長めのものを選び、ひざ掛けを使うなど工夫して下半身を冷やさないようにしましょう。家のなかでも靴下を履いて足元を温めるなど妊婦さんは冷え対策が大事です。

多くの妊婦さんが経験する尿もれは対策が必要

笑顔の妊婦さん
iStock.com/kohei_hara

妊娠してお腹が大きくなると膀胱が圧迫されたり、ホルモン分泌の関係で骨盤底筋がゆるむため妊婦さんは尿もれを起こしやすくなります。

妊娠する前には経験したことのない尿もれに戸惑ったり、ショックを受ける妊婦さんもいるようですが、妊娠中の尿もれは多くの妊婦さんが経験しているので心配しすぎないようにしましょう。

尿もれシートや骨盤ベルトなどのグッズを使ったり、骨盤底筋トレーニングなどの尿もれ対策をしたり、正しい姿勢を心がけたり、冷え対策をするだけでも尿もれが防げるかもしれません。

妊娠週数が進み、尿もれと破水の違いが分からないときには自分の意思で止められるかどうかで見極め、はっきり分からないときには病院に電話をして指示に従うようにしましょう。


監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。 患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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2018.11.21

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