子どもの発熱時は食欲が落ちがちです。子どもが熱を出したときに食べやすい、おすすめの食事と、反対に避けた方がよい食事について体験談も踏まえて解説します。また、下痢や咳、口内炎などの熱以外の症状があるとき、食事での対処についても上高田ちば整形外科・小児科、副院長の千葉智子先生監修のもとご紹介します。
子どもの発熱時は早い回復を願って食事にも気を配りますが、多くの子どもが、発熱時は食欲が落ちるものです。かかりつけ医に食事は無理にしなくてもよいと言われたときは別ですが、しっかり食事をとってなるべく早く元気になってほしいですよね。
子どもが発熱したときの食事はどのようなものがよいのでしょうか。
熱を出したときは、エネルギーをたくさん使います。
発汗するため水分も失われるので、水分と、エネルギーやタンパク質の高い食品を積極的にとることが大切です。
スープは、飲みやすく消化にもよいです。水分補給もでき、ビタミンも補給できるスープやポタージュは熱があるときにオススメのメニューです。
ほうれん草やブロッコリー、かぼちゃ、にんじん、トマトはビタミンも豊富で体力や疲労を回復させる効果もあります。子どもが咀嚼もできる状態であれば、野菜を柔らかく煮込んだスープもよいでしょう。暑い季節や熱が高いときには冷製スープもよいでしょう。
「発熱時は、食欲が落ち食事をあまり食べられないのですが、冷製スープは好きで、0歳のときから飲ませていました。にんじんとかぼちゃの冷製スープが特にお気に入りでよく飲んでいました(1児男の子のママ)」
というママの声もありました。
味噌汁は、必須アミノ酸やミネラル、ビタミンを豊富に含み、栄養が豊富です。野菜などの具材をすりおろして味噌汁のなかにいれるのと子どもも食べやすくておすすめです。
ただし、味噌は塩分が多いため、特に子どもに咳などの症状がある場合、濃くなり過ぎないように注意が必要です。
子どもに熱があるときや、体調がよくないときはおかゆや雑炊をあげているというママも多いのではないでしょうか。高熱やほかの症状が強く出ているときには具なしのおかゆや、卵だけの卵雑炊が食べやすいでしょう。
体調が回復して食欲がでてきたら、野菜や白身魚など、具材を増やすとよいでしょう。かぶや大根は、免疫力をあげる効果もあるので意識して取り入れてみるのも良いかもしれません。
茶碗蒸しは、口当たりがよく食べやすいので、熱があるときにも子どもが食べやすいメニューのひとつです。
「うどんを細かく切って、茶わん蒸しに入れて食べさせています(1児女の子のママ)」
というアイデアもありました。
おかゆや雑炊、うどんなど、のどごしがよく、消化のよい食事でも、発熱時の子どもは食べられないこともありますよね。
「うどんやご飯、野菜も細かく刻んで柔らかく茹でてあげていましたが、それでも食べれないときはすりおろしたリンゴの果汁のみをあげていました(1児女の子のママ)」
といつも以上に食事の工夫をしているママもいました。
かぶや大根をすり下ろして食事に入れたり、バナナをつぶして食べやすくしてあげるのも子どもの発熱時によいでしょう。
冷たいアイスクリームは、身体の熱を冷やし、のどの痛みを和らげます。チョコチップなどのトッピングはのどごしや消化を悪くさせてしまうので、バニラアイスなどプレーンなものを選ぶようにしましょう。
ただし、アイスクリームなどの冷たいものは、下痢や咳といった症状があるときは悪化させる可能性もあるため避けましょう。
「子どもが下痢や咳をしているときは、アイスクリームはあげないようにしていますが、症状が熱だけのときには、アイスクリームをあげています。食欲がなくてもアイスクリームは食べられることが多いです(1児男の子のママ)」
というママの体験談もありました。
ゼリーものどごしがよく冷たいので、食べやすく熱のときにおすすめです。子どもが1歳以降で熱を出したときに、ゼリーをあげるというママもいました。
「ゼリーは冷たくて食べやすかったようで、熱のときにもよく食べました。薬も一緒にあげやすくてよかったです(2児男の子のママ)」
という声もありました。
子どもが発熱したときに、避けた方がよい食事や調理方法をご紹介します。
体調が回復し始めても、子どもの体調や胃腸は完全に回復していません。消化の悪い油ものは体調不良のときには控えてください。チョコレートやスナック菓子などのお菓子も油分が多いので、与えないようにしましょう。
レンコンやゴボウ、タケノコ、豆、キノコ類、イモ類などは繊維が多い食材です、食物繊維が多い食材は、消化が悪いので熱や嘔吐、下痢の症状があるときなどには注意が必要です。
みかんなどのかんきつ類は消化が悪く、身体を冷やしてしまうので、熱や吐き気の症状があるときには控えましょう。
オレンジジュースやパイナップルジュースなどかんきつ系のジュースも気管支に刺激を与え咳を助長させたり、酸味から吐き気を感じる子もいるようなので控えた方がよい食材です。
炭酸は、胃腸に刺激を与えます。吐き気や嘔吐につながることがあるので体調不良のときには与えないようにしましょう。
発熱時は、下痢や咳、口内炎などのほかの症状を伴うことも多いでしょう。症状によって食事内容も考える必要があります。
症状別のおすすめの食事や注意点をご紹介します。
子どもが下痢をしているときは、体内の水分とナトリウムや、カリウムが失われるため、脱水症状にならないように水分補給が大事です。下痢をしているときには、子ども用のイオン水やスポーツドリンク、白湯、麦茶など水分を中心にとりましょう。
乳製品や、繊維の多い食材や、消化しにくい肉類・油ものは腸を刺激するため下痢の症状があるときには控えた方がよいです。
咳をすると、エネルギーや体内の水分を失われやすくなります。
咳の症状があるときには、水分補給をしっかりしながら、消化がよく、子どもが飲み込みやすい雑炊やスープやおかゆ、茶わん蒸しなどを与えるようにしましょう。冷たすぎる飲み物や、熱すぎるスープは喉に刺激を与え、咳を出やすくするので常温やぬるま湯を心がけることが重要です。
「咳がひどいときは水分量の少ないおかずや、肉類などの油ものは減らし、スープ系や出汁で茹でる系の食事にしています(1児女の子のママ)」
というママも意見もありました。
口内炎ができているときは、痛みから食べるのを嫌がる子もいるでしょう。なめらかで舌触りがよく、飲み込みやすい玉子豆腐や豆腐がおすすめです。熱い、辛い、酸っぱいなどの食べ物は口内炎を刺激して、痛みを感じたり、染みるので避け、味付けは薄味を心がけてください。
熱があるときや、体調が悪いときに食欲がなくなる子どもは多いです。普段好きな食べ物も食べられない子どもの姿を見ると、ママもつらくなりますよね。
熱が出るときには、発熱以外にも下痢や、咳などの症状を伴う場合もあるので、子どもの症状別に、食事の内容をコントロールすることが大切です。
体調不良のときは、子どもが食べやすいもののなかから、早く体調が回復するような食事になるよう工夫しましょう。
千葉智子(上高田ちば整形外科・小児科)
上高田ちば整形外科・小児科 副院長。
小児科専門医として、その時代に合った子どもの医療の実践を心掛けている。3児の母として子育てをしながら、現役で活躍中。外来では、ホームケアの方法を分かりやすく説明し、自宅に帰ってから自信をもって看護できるように、保護者への説明を丁寧にするように心がけている。子育てに関する疑問、不安、工夫など、何でも相談しやすいクリニックを作り、「子どもの笑顔を作る」ために活動。
2018年08月29日
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