ママやパパのお友だちや祖父母などを交えた食事会のときに、赤ちゃんや子どもが大人の飲み物を誤飲してしまった、という経験はありませんか。お酒やビールなど、赤ちゃんや子どもがアルコール類を誤飲したときの反応や影響を年齢別に解説します。あわせて炭酸やコーヒーなどの嗜好品を誤飲したときの対処も紹介します。
お盆やハロウィーンなど、大人も子どもも集まって食事会をするような機会には、乳幼児が誤ってアルコール類など大人の飲み物を飲んでしまう「誤飲」の危険性が潜んでいます。子どもが誤って口にしてしまいがちな、飲み物にはどういったものがあるか、順番にみていきましょう。
子どものころに麦茶と勘違いし、ビールを誤飲して独特の苦みと炭酸の刺激に驚愕した、という人は少なくありません。口当たりの優しい麦茶と思い込み、ビールを誤飲するとショックは倍増ともいえるでしょう。
国内産のビールのアルコール度数は、4%~5.5%程度のものがほとんどです。第3のビールや海外産のビールのなかにはアルコール度数の高いものもあります。またノンアルコールビールでも、アルコールが1%未満含まれていたり、ビールに似た苦みがあるため、乳幼児には強い刺激になります。
透明な日本酒をお水と間違えて飲んでしまったり、乳幼児に与えてしまったという事例もあります。日本酒や焼酎はアルコール度数が高く、乳幼児のいる場所で飲酒をする場合には注意を払って扱いましょう。
ジュースと間違えて乳幼児が、誤飲しがちなのが甘い味や香りのついた、缶酎ハイやサワーなどのアルコール飲料です。見た目や味のわりに、その多くがビールと同等やそれ以上のアルコール度数です。
子ども自身が飲んでも「変な味のジュース」程度の違いしか感じられないことがあるため、保護者はアルコール飲料の誤飲に気づいてあげられないかもしれません。乳幼児の前でこういった種類のお酒を飲むときは、ジュースに見えるがお酒であると言葉にして伝え、簡単に子どもの手に触れない場所に置くよう配慮しましょう。
ワインやサングリアも、ジュースと間違えて飲んでしまう事件が起こるようです。ほかにも、瓶やグラスが素敵だから、と手を伸ばす子どもがいるようです。ワインは、アルコール度数が高く、大人でもあわない体質の人が多い酒類です。血行を良くする、ポリフェノールが高いなどの健康効果で、年代や性別を超えて、幅広く支持されるワインですが、乳幼児には危険な飲み物です。
上記で紹介したアルコール飲料以外にも、ハイボールやカクテルなどもお茶やジュースに似
ているため誤飲に注意が必要です。
ほかにも下記の2種類の飲み物は、アルコール類ではないですが、子どもの年齢や保護者の考え方によって与えない家庭もあるでしょう。これらの飲み物は、乳幼児に与えすぎるとどういった影響があるのでしょうか。
子どもの年齢にもよりますが、子どもに炭酸飲料は与えたくないというママや、炭酸は苦手という子どももいますよね。またカフェインや糖分が多く入っている清涼飲料水もあります。
少し飲んでしまったからといって、過度に心配したり、受診をしたりする必要はないですが、小さな子供には不向きな飲み物といえますね。
コーヒーは苦みが強く、色も子どもが飲みたがるようには見えません。しかし、乳幼児は好奇心が強く、ママやパパが飲んでいると真似したがったり、たっぷりのミルクやお砂糖入りコーヒーだと、味が好きな子どももいるでしょう。
カフェインは、大人にとっては眠気覚ましや、リラックスにちょうど良い程度でも、子どもからすると不眠の原因にもなりえます。また嘔吐などの中毒症状を起こす場合もあります。
子どもの手の届く場所に置かないようにしたり、子どもが飲みたがる場合には、ノンカフェインコーヒーの購入を検討するなどして対応しましょう。
年齢が2歳~6歳くらいの子どもとなると、知っている味と異なると感じれば、吐き出したり、異変を言葉で伝えるかもしれません。しかし、乳幼児も好きな甘い味がついているアルコール飲料だと少し変わってる、くらいにしか感じないかもしれません。
肌の紅潮、興奮やふらつき、嘔吐や意識の消失、動悸などがあればアルコール中毒の可能性があります。
0歳~1歳程度の年齢の子どもがアルコール成分のある飲み物を飲んだ場合、吐き出したり、泣いたりということがあるようです。同席する大人が赤ちゃんの様子に気づける程度の酒量に調節するのが大切でしょう。
幼児と同じように乳児にも、肌の紅潮や興奮、動悸、呼吸困難や嘔吐、下痢といった症状が出た例があるようです。過去に、大人が子どもに水と間違えて、お酒を飲ませてしまった事例もあり、1口飲んで不機嫌になり、それ以上飲みたがらなかったという反応だったようです。
ほかにもジュースが好きな乳児などの場合、お酒が入っていると気づかず、アルコール飲料をたくさん飲んでしまった事例もあります。
乳幼児がアルコールを誤飲した場合には気を失っていないか、動悸の様子など落ち着いて観察しましょう。またアルコール誤飲の有無、誤飲の量を確認したいときに、専門家が勧めているのは、呼気の香りを確認することのようです。
呼気に問題がなければ、水を多めに飲ませることで回復が期待できるようですね。
一方、乳幼児は肝臓などのアルコールを分解する機能が不十分なため、少量のアルコールでも急性アルコール中毒になりかねません。もしアルコールを誤飲後に呼吸困難や嘔吐、意識の混濁などがあった場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
救急車を呼ぶことや受診に迷いがある状態であれば、下記機関に電話して指示を仰ぎましょう。
つくば中毒110番(9時~21時対応)
029-852-9999
大人数が集まる食事のときは子どもの誤飲も起こりやすいものです。
中でもビールやお酒はお茶と水に見た目が似ているので、誤飲がおこらないよう注意が必要です。酎ハイやサワーは、ジュースに似た見た目で味や香りもよいため、乳幼児の誤飲の事例報告が少なくありません。アルコールの入っていない飲み物にも、注意が必要なものがあります。
誤飲の可能性があるときには、まず子どもの呼気を確認し水を飲ませましょう。子どもの身体はアルコール分解機能が不完全なので、意識不明、嘔吐といった症状が見られたら救急車を呼びましょう。受診に迷いがあるときは、#8000などに相談してください。
何より子どもが大人の飲みものに手を出さないよう、しっかり管理することが大切です。
金髙太一(おひさまクリニック)
おひさまクリニック院長。小児科専門医、地域総合小児医療認定医。小児の感染症、アレルギー、免疫・膠原病を中心に東京、横浜の病院で研修・診療の経験を積み、2015年に東京の十条にておひさまクリニック(小児科、耳鼻咽喉科)を開院。
子どもたちが健やかに成長していくためのサポートをしたいと思っております。また、3児の父でもあるので、子どもに関することでしたら、お気軽にご相談ください。
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2019年08月22日
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