家の外でも性器を触る・名称を口にする3歳児。やめさせる方法は?【宋美玄】

家の外でも性器を触る・名称を口にする3歳児。やめさせる方法は?【宋美玄】

読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただくお悩み相談コーナー。今回は丸の内の森レディースクリニック院長の宋美玄先生が、「子どもへの性教育をどうすればよいか分からない」というお悩みに答えます。

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【お悩み】幼いわが子への性教育。どのように声かけすべきか分からない。

男3歳・女1歳のママ
男3歳・女1歳のママ

3歳になった息子は自分の体に興味を持ち始めたのか、家の中にいるときだけではなく、家の外でも「お股いじり」をしたり、性器の名称を楽し気に連呼したりするように。

おおらかな気持ちで見守りたいと思いつつ、外ではとにかくやめさせたい気持ちが先走り、つい「ダメ!」「やめようね!」と言ってしまいます。どのように子どもに声をかければよいのでしょうか。

また、私は3歳の息子と、夫は1歳の娘と一緒にお風呂に入ることが多いのですが、異性親との入浴はいつまでにすべきかも悩んでいます。性教育のために、今のうちから同性の親とお風呂に入るようにした方がよいでしょうか。

【宋先生の回答】人前でプライベートゾーンの名称を口にしない、触らないことは自分の身を守ることにつながります

まず、このくらいの年齢の未就学男児が性器を触ったり、性器の名前を口にしたりして喜ぶのはごく普通のことです。むしろ大人になっても言っている人は多いですよね。

そのうえで、これらの行為は「やめさせなければいけないことか」というと、そんなことはありません。

ただし、「時と場所を選ばなければいけない」ことと、その理由をしっかり教えましょう。

また、単に「恥ずかしいからやめなさい!」とだけ言う方が多いと思いますが、親自身が恥ずかしいという思いからやめさせると、性に対し、タブー感だけが残ってしまうため逆効果です。

性にまつわることに子どもが疑問に感じたときが、家庭での性教育の始め時。たとえば、

「外で家族以外人の目のがある場所では、“おちんちん”“おっぱい”といった自分や人のプライベートゾーンに関することは大きな声で言わないほうがいいよ。

プライベートゾーンは人に触らせたり見せたり、人のを触ったりする場所じゃないから、お外で言うと『見せて』『触らせて』と言ってくる人がいるかもしれないよ」

と伝えます。

そうすることで万が一性被害に遭ったら気が付くことができ、大人に伝えることができて自分の体を守ることにつながります。

子どもが性に興味を持つことや、それを言葉にすること、触ることを否定するのではなく、「自分の体を守るためにも、自分の家や自分の部屋といったプライベートな場所で、きれいな手で触ろうね」と伝えれば、3歳でも分かってくれます。

大人は恥ずかしがらず、科学的知識や絵本にのっとり、淡々と話をすることで、「性の話をすることは普通のこと」という認識を子どもにもってもらうことができます。

次に、「異性親が何歳まで子どもと一緒に入浴するか」という問題ですが、日本では異性の親と平均9歳くらいまで入浴しているというデータがあります。「9歳」という年齢を早いと思うか遅いと思うかは人それぞれですが、世界ではそもそも浴槽にお湯をはる入浴文化がないため、異性親と一緒に入ること自体が異様な光景のようです。

わが家の話をすると、5歳の息子はまだ1人では洗えないため、私も夫も一緒に入りますが、娘は7、8歳くらいからパパのほうが遠慮して一緒に入らなくなりました。

「10歳過ぎても子どものほうが親と一緒に入りたがる場合、突き放すのはちょっと…」という方もいますが、もしもアンダーヘアが生えてきてからでは、お互い気恥ずかしさもあるでしょう。

もちろん「〇歳まで」「アンダーヘアが生えてくるまで」といった明確な決まりがあるわけではないため、それぞれ家族間で話し合い、みんなの気持ちを優先して決めればよいことです。

未就学の間は一緒に入っているご家庭も多く、まだ悩む必要はそれほどないと思いますが、相談者さんはお子さんはかなり小さいのに気にしていらっしゃるので、もし違和感を感じているのであれば、同性の親と入る頻度を多くするなどして、徐々に移行してもよいのではないでしょうか。

Profile

宋美玄(ソンミヒョン)

宋美玄(ソンミヒョン)

産婦人科医、医学博士、日本周産期・新生児学会会員、日本性科学会会員。 一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事。 丸の内の森レディーズクリニック院長。 1976年1月23日兵庫県神戸市生まれ。 2001年大阪大学医学部医学科卒、同年医師免許取得、卒業後大阪大学産婦人科入局。 2007年川崎医科大学講師就任、09年にイギリス・ロンドン大学病院の胎児超音波部門に留学。10年に出版した『女医が教える本当に気持ちいいセックス』(ブックマン社)がシリーズ累計70万部突破の大ヒットとなり、各メディアから大きな注目を集める。その後も、各メディアへの出演や妊娠出産に関わる多くの著書を出版。 2012年女児、15年に男児を出産し2児の母になり子育てと産婦人科医を両立。 “診療95%、メディアへの露出5%”としながらも、“カリスマ産婦人科医”として、対応しうる限りのメディア出演、医療監修等で様々な女性のカラダの悩み、妊娠出産、セックスや女性の性などに女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

2021年10月19日

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