話題の男性保育士、てぃ先生が教える。「子どもの嘘」から学ぶことと親の取るべき行動

話題の男性保育士、てぃ先生が教える。「子どもの嘘」から学ぶことと親の取るべき行動

カリスマ保育士「てぃ先生」の人気連載コラムです。連載5回目の今回は「子どもの嘘」についての教えと親としてどのように考えて対応したらいいのかを教えてくれました。

こんにちは!てぃ先生です。

前回の「子どもへの挨拶・ありがとう・ごめんなさいの伝え方」、たくさんの方に見ていただき、また共感していただき、とても嬉しく思います。ありがとうございます。今回は、「子どもの嘘」についてお話ししたいと思います。

話題の男性保育士、てぃ先生が教える。子どもに、心のこもった「ありがとう」「ごめんなさい」を伝えるには

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子どもに学ばせる絶好のチャンス

「嘘はダメなこと」

多くの人がこのような感覚を持っていると思います。

ですが、生まれてから今まで一度も嘘をついたことがない!という人は、いるでしょうか?きっと大なり小なり、嘘をついた経験があると思います。

嘘が良いこととは言いません。

ただ、場合によっては功をそうすることもありますよね。

例えば、寝坊をしてしまい「このままでは遅刻だ…」という時、相手が会社であれ友人であれ「電車が遅れていた」などと嘘をつくと、初回であれば大抵通ることもあるでしょう。「寝坊した」と言うよりは保身につながりますから、使ったことがある人は多いのではないでしょうか。

何が言いたいか、と言うと
「嘘も、生きる力の一つである」と、僕は考えています。

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「トイレに行ってきて」
「手洗いうがいをして」

そう子どもへ伝えた時、

「もう行ってきた」
「もうやった」

と嘘をつく子どもは、意外と結構な数います。しかし、


こんな些細な時こそが、子どもに嘘を学ばせる絶好のチャンスです。


「嘘でしょ、行ってきなさい」と切り捨てるだけでは学ぶことができません。

子どもにとって、この言葉がけは「嘘がバレた」のではなく、


「決めつけられて強制させられている」


になることがほとんどです。

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まずは疑ってあげてください。

「そうなんだ、でも随分と早いね」
「手洗ったんだ、でも手が濡れてないね」

このように具体的に言うと子どもは焦り、バレているかもしれない、そう感じます。

年長さんにもなると、これらの出来事からさらに学習して、少し間をおいてから出てきたり(実際には用をたしていない)、指先をチョロチョロと濡らすだけのことをしてきたり、いろいろ細工をします。

そうなったら、さらに聞いてみます。

「そっか、でも水を流す音が聞こえなかったな。流し忘れたの?」
「手から石鹸の匂いしないね。ちゃんとつけた?」

など。ここからさらに細工を重ねてくる場合もありますが、ここまできたら、きちんとトイレに行く、きちんと手を洗う、その方がよっぽど良いやと子ども自身で気がつくことがほとんどです。


嘘はバレるもの、という感覚

こういった一連の出来事の中で学ばせたいのは、嘘を上手につく方法ではなく、「嘘はバレるものなのだ」という感覚です。

冒頭であげた電車遅延の話も、バレている・疑われているかもしれないことがほとんどですよね。うしろめたい気持ちも大きいと思います。

これを子どもが学べなければ、都合が悪いと嘘をついたり、下手な嘘を重ねたり、そんなことを繰り返すようになってしまいます。

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嘘はバレるもの。

それを分かっている人とそうでない人、この違いが「生きる力」の差です。

最後になりますが、一番大切なこと。


「なぜ嘘をついたのか」


これを考えてあげてください。

僕の経験でいうと、保育園でトイレに行っていないのに「行った」と嘘をついた男の子がいました。何故嘘をついたのだろうと考え、彼の行動を観察し、最終的に本人から聞くことができました。

「一番になりたかったから」

誰よりも早くトイレへ行って(行ったことにして)、一番にお部屋へ戻ってきたかった。こんなにも可愛い理由です。

一方的に決めつけて叱らず、


まずは何故嘘をついたのか考えて、こちらの工夫で防げるものは防いであげる


その上で今回お話したようなアプローチをしてみてください。

ご参考までに。

執筆:てぃ先生

Profile

てぃ先生

てぃ先生

関東の保育園に勤める男性保育士。 ちょっと笑えて、可愛らしい子どもの日常をつぶやいたTwitterが好評を博し、フォロワー数は46万人を超える。 Twitter原作のマンガ『てぃ先生』(KADOKAWA/メディアファクトリー)は20万部を突破、著書である『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(KKベストセラーズ)は15万部を超える大人気作に。他にも『ハンバーガグー!』『園児がくれた魔法の言葉』などを出版。 保育士として勤務する傍ら、その専門性を生かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディアなどで発信。全国での講演活動も年間50本以上。 他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」など、保育士の活躍分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。 ちなみに、名前の読み方は「T」先生。

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