【助産師監修】コロナ禍のバースプラン。制限や希望リストの例

【助産師監修】コロナ禍のバースプラン。制限や希望リストの例

出産へ向けたバースプランの立て方に悩むママもいるのではないでしょうか。コロナ渦での制限が気になることもあるでしょう。そこで今回は、先輩ママの体験談やバースプラン例、考えるうえでの注意点、コロナ禍ならではのポイントなどをまとめました。ママがスムーズに安心して出産できるように、バースプランの記入方法を確認しておきましょう。

バースプランとは

※写真はイメージ(iStock.com/KatarzynaBialasiewicz)
※写真はイメージ(iStock.com/KatarzynaBialasiewicz)

バースプランとは、妊婦さんや家族にとって素敵な出産にするために、計画を立てることを言います。

陣痛から出産、産後の育児までに関する細かい希望を、妊娠後期28〜36週頃の妊婦健診時に専用の用紙に記載して助産師さんと一緒に内容を確認することが多く、どの程度受け入れられるかは病院によって異なるでしょう。

病院の設備や、赤ちゃんが生まれてくるときの状況、医学的な理由などによって実現が難しいこともあるかもしれません。

また、事前に希望を伝えておくことで、いざという時に助産師さんや先生が対応してくれて出産に集中しやすかったり、初めての出産でも心の準備ができ、落ち着いた状態でお産にのぞむことができるというメリットもあります。

パパと一緒にプランを考えれば「出産に向けて一緒に頑張る」という気持ちを共有することもできるでしょう。パパが立ち合いできる場合と、できない場合の両方の希望を伝えることもできます。

不安に感じること、質問したいこと、病院側へ伝えたいことなどは些細なことでもできるだけ具体的に書き、陣痛中、分娩時、出産後、パパからの希望の項目に分けて、明確に記載するとよさそうです。

先輩ママのバースプラン

※写真はイメージ(iStock.com/fotostorm)
※写真はイメージ(iStock.com/fotostorm)

実際にどのようなバースプランを立てたのか、ママたちの体験談や希望リストをご紹介します。

 
 

基本的には、病院の提案するバースプランで妊娠から産後まで過ごしました。夜は母子分離、日中は赤ちゃんと同室だったので、入院中の夜はぐっすり眠ることができました。

陣痛中の要望も聞かれましたが特にこだわりがなかったので、陣痛室と分娩時には夫に側にいてほしい旨を伝え、希望どおりにしてもらいました。母にも側にいてほしかったのですが、病院側で1人までという決まりがあったようで、それは叶いませんでした

 
 

バースプランとしてもともと大きな希望はなかったのですが、そもそも小さな個人医院で出産する予定が、緊急で都立病院で出産したため、とくに私の希望がどうこうということはありませんでした。

スマホやカメラを持ち込んでいいかすら分からず、生まれたての子どもの写真などがないため、それくらいは撮影させてもらえばよかったと思っています

 
 

一人目二人目の時は希望の有無にかかわらず個室での出産で、三人目の時は大部屋でノイローゼになりそうだったので、なにかひとつバースプランをあげるとするなら個室を希望したいです。

あと食事がおいしいこともかなり重要ではありますが、都立ではそれは望めないため、コンビニがある病院が良いと思いました

 
 

出産に対して壮大な夢や神秘的なことみたいなイメージはもともとないので、子どもの預かりが可能かなど、“いかに産後のナーバスな時期を快適に過ごせるか”を重視できる病院がよいなと思います

 
 

長男のときは地元に里帰り出産したので選択肢がほぼなく、バースプランに関してもベーシックな病院だったので一般的な内容でした。

出産前にエアロビをやらされたのが記憶に残っており、なんとなく促進剤は使わないでくださいとも伝えていたのですが難産になり、途中で『薬早く使ってください』と色々と変更してばかりでした

 
 

出産の際、長男がパンを食べながら笑っている中で、病院っぽくない日常の延長線上でという希望をしており、叶えてもらえたと感じています。

アロママッサージもあって食事もおいしく、出産というイベント自体を満喫できました。

ただ、人気の病院だったので入院期間が3日と短くちょっとしんどかったです

 
 

私は出産後の母子分離がちょっと苦手だと感じたので、次男のときは、都内の個人病院で母子同室をお願いしました

バースプランの例

バースプラン希望リスト
パパが書いたバースプラン。考え方のポイントや夫婦でまとめた記入例

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バースプランとは?書き方や記入例、ママたちおすすめの具体例、注意点など

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バースプランの注意点

バースプランを考えても、病院で対応していなければ希望にそえないこともあるでしょう。プランを考える際の注意点についてご紹介します。


病院のポリシー

※写真はイメージ(iStock.com/imaginima)
※写真はイメージ(iStock.com/imaginima)

立ち会いができるのは原則パパのみ、帝王切開の場合は立ち会いが不可、出産中のビデオ撮影不可などといったケースはよくあるようです。

医療機関か助産院かなどによっても対応が異なるため、出産を希望する病院がどういったポリシーをもってサポートしてくれるのか事前に確認しましょう。

病院から何も指定されていないことに関しては、とにかく希望を伝えてみるというママの声もありました。


出産方法の制限

帝王切開や吸引分娩、会陰切開、促進剤使用の処置はしないでほしいと希望することもあると思いますが、母子の安全第一で判断が決まります。母子のどちらかに危険が迫っている場合は、立ち会いを希望していてもできないことがあります。

座位分娩や水中分娩といった特殊な出産方法も、対応していない病院が多い可能性があります。

このような出産方法の制限については、妊娠後期のバースプランを書く段階ではなく、最初に病院選びをする時点で必ず確認しましょう。

また、出産に伴う浣腸、導尿、下腹部の剃毛をしないでほしいという内容も、バースプランに書いたとしても希望が通らないことの方が多いかもしれません。その場合、なぜその処置をするのか理由を確認しておくと納得できるでしょう。


部屋の空き状況や費用

※写真はイメージ(iStock.com/damircudic)
※写真はイメージ(iStock.com/damircudic)

大部屋は窓側がいい、部屋の移動は避けたいと希望することもあるでしょう。

しかし、部屋の希望については空き状況に左右されることも多く、予約が可能ということでなければバースプランとして書いても希望にそえないこともあるかもしれません。

また、費用の支払いについても平均どのくらいかかるか聞いておくと安心です。

入院・分娩予約金がかかることもあり、里帰り出産する場合に予約金は分娩代から差引されるのかなどについても必要に応じて確認するとよいかもしれません。

コロナ禍でのバースプランのポイント

コロナ禍によって、今までできていたことができなくなることは多いですよね。コロナ対策については、病院側でもいまだ手探り状態かもしれません。コロナ禍ならではのバースプランのポイントに

ついてご紹介します。


立ち会いや面会が制限される

コロナ禍では、陣痛中や出産時の立ち会い、面会を制限されることが少なくないでしょう。

赤ちゃんと面会する際はPCR検査で陰性であり、不織布マスクやフェイスシールドが必要という場合や、退院するまで赤ちゃんを抱っこさせてもらえないという場合もあるようです。

なかなか家族に会えず、入院生活がさみしくなることもあるかもしれませんが、病院側が考慮してリモートやテレビ電話で立ち会うことを提案してくれることもあるようです。直接家族に会えなくても動いている姿を見たり、声を聞くだけで、気持ちが通じることもあるでしょう。

痛む時はさすって欲しい、アドバイスや励ましをしてもらいたいなど、ママひとりで出産に挑むことへのケアを重点的にバースプランに盛り込んだママもいるようです。


衛生面が気になる際に備え準備する

※写真はイメージ(iStock.com/kokouu)
※写真はイメージ(iStock.com/kokouu)

大部屋を利用する際に、衛生面が気になる場合はあらかじめ、全員がマスクを使用してもらえるのかや、日中はできるだけ換気してくれるかなど、病院へ確認しておくとよいかもしれません。

加湿器や空気清浄機はあるのかや自分で用意してもよいのか、トイレ、取っ手、ノブなどの共用部分は消毒するのか、ゴミは密閉して捨てた方がよいのかなども気になるというママの声もありました。

また、入院中の食事の際に、衛生面を考えて食器を使い捨てのものにしたいとバースプランとして希望を出したママもいるようです。


母親学級や両親教室が十分にできない

コロナ渦では、母親学級や両親教室が行われなかったり、実演なしでの開催や縮小して少人数で開催されることで、内容がわかりにくいということもあるようです。

授乳方法、オムツの変え方、沐浴の仕方などの赤ちゃんのお世話について丁寧に教えてほしいことも、バースプランに盛り込んでおくとよいかもしれません。

自分らしい満足できる出産にしよう

※写真はイメージ(iStock.com/kazuma seki)
※写真はイメージ(iStock.com/kazuma seki)

バースプランをたてることで、出産を具体的にイメージすることができ、家族や病院側にとってもスムーズなお産に向けて冷静に考えを整理することができそうですね。

特に、コロナ禍でのバースプランは制限も多いため、家族や病院とよく相談し、なるべく後悔の少ないバースプランを立てられるとよいのかもしれません。

また、バースプランはあくまでプランであり、病院に渡したら絶対この通りにしなければならないというものではありません。妊娠後期に希望を書くことが多く、その時の気持ちや状況が変わることもあるため、すべて変更可能であることを理解しておきましょう。

これから産まれてくる赤ちゃんのことを思いながら、自分らしく思い出に残るような出産になるとよいですね。


監修:

Profile

河井恵美(エミリオット助産院)

河井恵美(エミリオット助産院)

看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等、様々な診療科を経験し、助産師歴は25年。青年海外協力隊でコートジボアールとブルキナファソに赴任した後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在は、シンガポールの産婦人科クリニックに勤務し、日本人の妊産婦さん方のサポート。世界にいる親御さんを応援するため、インターネット上でエミリオット助産院も開設している。

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