出産を理由に退職したり、退職を考えている女性も多いかもしれません。退職を選ぶときに、手当金や失業保険などのお金がどうなるか不安を感じている人もいるでしょう。厚生労働省や全国健康保険協会、国税庁の資料をもとに、出産と退職の関係について調査しました。
出産を機に会社の退職を考えているママや、出産後に退職したママの中には、各種手当や失業保険がどうなるか気になっている方も多いのではないでしょうか。扶養など、必要な手続きを知りたい場合もありますよね。今回は出産と退職に関するお金事情について調査しました。厚生労働省や国税庁などの資料を参考に押さえておきたいポイントをご紹介します。
日本の社会保障では出産をするとさまざまな手当金が支払われます。会社を退職した場合でもお金を受け取ることはできるのでしょうか。厚生労働省や全国健康保険協会などの資料を参考に、手当金の変化についてご紹介します。
出産育児一時金とは、生まれた子ども一人に対し42万円(在胎週数が22週未満の場合などは40万4千円)が支払われる制度です。
基本的には加入している健康保険から支給されるので、在職中に出産をすれば会社の健康保険から手当金が受けられえます。退職し国民健康保険に加入するなら国民健康保険から支給され、パパの扶養に入る場合は、家族出産育児一時金などの名目で42万円を受け取ることが可能です。
全国健康保険協会では、妊娠4カ月以上の出産で退職日までに在職期間が1年以上あるママに対し、退職後6カ月以内の出産であれば出産育児一時金を健保から支給しているようです。出産育児一時金と家族出産育児一時金の併用はできません。
出産育児一時金の額はどの健康保険を利用しても変わりませんが、在職中の出産か退職後の出産かで、手当金を受け取る先が異なります。
退職後も在職中に加入していた健康保険から受け取れるのかは、健康保険組合により条件が違う場合もあるでしょう。退職前に確認できるとよさそうですね。
出産手当金とは、出産を理由に会社を休み、給与を受け取っていない場合に支給される手当金です。対象期間は出産の日(出産が遅れた場合は出産予定日)以前の42日から出産の翌日以後56日目までとなっています。
出産手当金も加入している健康保険から支給されるので、在職中に出産をした場合は支払われます。
全国健康保険協会では、退職日までに1年以上在職経験があるママの中で、出産手当金を受けている最中や受ける条件を満たす場合は、退職後も出産手当金を支払っているようです。退職日に働き給与を受け取ると、以降の出産手当金は受け取れ受け取れません。うっかり就労しないよう気をつけましょう。
自分の健康保険は退職するとどうなるか、条件などをよく確認しておくとよいでしょう。
育児休業給付金は、育児を理由に会社を休んでいる場合に支払われる手当金です。保育園に入れない等の理由があれば最長2年まで育休を延長でき、延長している間も育児休業給付金を受け取れます。自営業など国民健康保険に加入しているママは対象ではありません。
育児休業給付金は出産後に復職するのが前提となっている給付金です。出産後に退職せず働く意思があれば、育休期間中に手当金を受け取れます。ただ出産後に退職する意思が明確にある場合は、手当金を受給できません。
ママの中には復職する予定で育休をとっても、家庭の事情などで退職を選ぶ場合もあるでしょう。育休中に退職した場合は、退職日を含む支給期間の一つ前の支給期間までは支給されるようです。ただし、支給単位期間の末日で退職するならその期間も支給対象に含まれます。
育児休業給付金は退職した後に出産したママには支払われない手当金です。出産時に在職中でも、退職の意思の有無により支給されるかどうかが変化します。お金に関することなので、パパや家族と相談しながら退職について考えてみてはいかがでしょうか。
出産後に退職を選ぶママはどのような手続きをしておくとよいのでしょう。お金に関するポイントをご紹介します。
雇用保険に加入している人が1つの会社や事業所で1年以上働いたあとに退職した場合、条件を満たせば失業給付金(失業保険)を原則1年間受給できます。失業給付金を受ける条件の一つに「健康面や家庭環境の面でもいつでも就職できる状態であること」が含まれていますが、子どもの預け先がない場合は就職先を探したり、実際に働きに出るのは難しいですよね。
失業給付金は就職先を探している間の生活を保障するための給付金です。出産退職後、しばらくの間は自宅で子どものお世話をするなら、失業保険の受給延長手続きを行いましょう。手続きを行うことで、失業保険を受給できる期間を、退職日の翌日から最長4年以内まで延長できます。
ただし失業給付金を受給できるのは原則通り1年間です。退職日の翌日から最長4年間失業給付金が受け取れるわけではないので注意しましょう。
会社を退職すると、在職中に加入していた健康保険からも出ることになります。出産後しばらくは子育てに専念する場合、パパが会社員や公務員ならパパの扶養に入る手続きや、国民健康保険に加入する手続きが必要です。
会社員のパパの扶養に入るならパパの勤め先に伝えて手続きし、国民健康保険に入るなら住んでいる自治体窓口で手続きができます。自治体ホームページなどで必要書類などを予め確認し、スムーズに手続きできるとよいですね。
会社員として働いている間は会社が年末調整を行うことで払いすぎた税金を還付していました。出産後退職し、その年の12月31日時点で再就職していない場合、自分で確定申告をして税金の調整を行わなければなりません。
妊娠や出産を機に、医療費控除の対象となる場合も多いでしょう。医療費控除とは1月1日から12月31日までに実費で払った医療費が一定額を超えた場合、所得控除が受けられる制度です。申請する人の総所得金額が200万円以上なら実費で支払った医療費が10万円を超えたとき、200万円未満なら総所得金額の5%分を差し引いた金額が医療費控除の対象額です。
確定申告書の提出期限は毎年3月中旬になる場合が多いようです。出産後は何かとバタバタしてしまいがちなので、必要書類等を確認し、早めに準備しておくとよさそうですね。
出産を理由に退職する場合、退職するタイミングなどによって支給の有無が変わる手当金もあるようです。退職がどのように影響するか、どのような手続きが必要かがわかれば、不安なく出産や育児に取り組めるのではないでしょうか。お金に関する動きを把握し自分に合った選択や手続きができるとよいですね。
※記事内で使用している参照内容は、2020年1月30日時点で作成した記事になります。
2020年02月16日
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