産後は医師の許可がおりるまで湯船につかることは控えるようにいわれています。産後すぐに入浴できない理由といつから入浴ができるのかについて解説します。また、許可がおりた直後の入浴時に気をつけることと1カ月経つ前に入浴してしまった場合の対処法についてご紹介します。
[関連記事]
医師から産後の入浴許可が出てもママの身体はまだ完全に元に戻ってはいないので、以下のことに配慮しましょう。
入浴の許可がおりたら完全に細菌の感染のリスクがなくなるわけではありません。
浴槽をしっかり掃除し、お湯は毎日入れ替えて清潔な状態を保つことが重要です。
入浴時は、きれいなお湯に入れるようになるべく一番風呂に入るようにしましょう。
熱いお湯に浸かるとのぼせる原因になります。
産後に身体を温めすぎると、身体の血行が促進されて悪路の出血量が増えて貧血になる場合があります。
産後のママの身体は体力が低下気味です。
お風呂でゆっくり温まりたいと思う人は多いかもしれませんが、長時間のお風呂は身体が温まりすぎて血行がよくなり、止まりかけていた悪露が増える可能性があります。
入浴の許可がおりてもママの身体はまだ充分に元に戻ってはいないので、悪露が完全になくなるまでは長風呂は控えましょう。
悪露は1カ月程度で治まる人が多いですが、悪露が続く期間には個人差があり、なかには1カ月以上続く人もいます。
悪露が治まらなかったり、入浴して悪化する場合は子宮復古がまだ終わっていない可能性が考えられます。
医師から入浴の許可がおりていても、湯船につかると悪露が悪化したり、悪露が治まらずに続くときには入浴を控えた方がよいでしょう。
出産すると、骨盤や腟口が緩んでいる状態なので、お風呂のお湯が腟内に流れ込み、お風呂あがりに腟内からお湯が漏れることを「お湯漏れ」といいます。産後に起こる特有の現象です。
お湯漏れは、尿漏れの感覚に似ているため、尿漏れと間違える人もいますが、お風呂あがりにのみ起こる場合は尿漏れではなく、「お湯漏れ」の可能性が高いです。
湯船からあがったあとにお風呂場でスクワットを数回すると腟からお湯がでてきやすく、お風呂場でお湯を出し切ると、パジャマや下着を濡らさなくて済みます。
産後は、医師から入浴の許可が出るまでお風呂に入れませんが、湯船につかりたいママたちはどのように対応しているのでしょうか。
産後の入浴は1カ月程度入れない場合がほとんどですが、シャワーは産後2~3日から浴びられることが多く、早い人だと出産した次の日にシャワーの許可がおりる人もいます。シャワーの許可がおりたら洗髪もいっしょに行えます。
しかし、ママの体調や出産後の回復状態、病院の方針などによって指導が変わってくるので医師の判断に従うようにしましょう。
シャワーを浴びるときには、入浴と同じでママの体力を考え、貧血症状を起こさないためにシャワーのみでもぬるめのお湯に設定して、短時間で済ませるようにしましょう。
身体を冷やさないように浴室や脱衣所を先に温めてから入ることがポイントです。
出産後、シャワーの許可が出ないときは、蒸しタオルなどで身体を拭いて対応する場合もあります。
早く湯船につかりたいと思うかもしれませんが、医師の許可がおりるまでは我慢することが大切です。
産後、医師の許可が出る前に湯船に入ってしまったママやどうしても湯船につかりたいと入浴してしまったママもいるかもしれません。
感染症を防ぐためにも、気づいたときから入浴を控えることが大事です。入浴後に悪露や体調に変化が出ていない場合は、そのまま様子をみてもよいですが、1カ月健診で湯船につかったことを医師に伝えるようにしましょう。
入浴後に身体に変化がある場合は、1カ月健診を待たずに病院を受診してください。
産後のママの身体は、免疫力が落ちています。子宮口が開き、完全には回復していないので細菌の感染を防ぐために、産後は1カ月程度入浴を控えるように病院で指導をされます。
一般的には1カ月程度で入浴を許可されることがほとんどですが、ママの体調や悪露の状態などで長引くこともあるので、自己判断せずに医師の判断に従うことが大事です。
出産後、翌日にシャワーが許可された場合は、シャワーで身体を清潔に保ち、入浴を許可されたらなるべく一番風呂に入り、貧血や悪露を悪化させないためにも、ぬるま湯で短時間で入浴を済ませることがポイントです。
入浴の許可がおりている場合でも、湯船につかると悪露が悪化したり、悪露が長引く場合には入浴をいったんやめましょう。
ママの身体が十分に回復することを優先して、入浴の仕方を工夫しましょう。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。
患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
2019年09月09日
赤ちゃんへの授乳中に胸がチクチク痛む。そんな経験をしたことがある方も少なくないのではないでしょうか。なかには病気かもしれないと不安に感じる方もいるかもしれません。授乳の時間が快適なものになるよう、胸が痛む原因と対処法を正しく知っておきましょう。
河井恵美(エミリオット助産院)
男性の育児休業取得を促進する「育児・介護休業法」が改正、順次施行。性別を問わず、育児と仕事を両立させる社会の実現が今、望まれています。そこで、試行錯誤をしながら早くから育休制度の設計や運用を実施。6年連続で1ヶ月間の男性育休取得率100%を実現するピジョン株式会社の取り組みとその軌跡を紹介します。
授乳中の飲み物として「お茶」は飲んでも問題ないのか迷うママもいるのではないでしょうか。ノンカフェインのお茶についても、どのような種類があるか気になりますよね。そこで今回は、授乳中にお茶は飲んでよいか、カフェインを避けるべき理由、おすすめのお茶、母乳の分泌が良くなるお茶はあるのか、お茶を飲む時のポイントについて調べてみました。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
出産後に夫婦関係が悪化してしまう「産後クライシス」。具体的にどういった状態をさし、なぜ起きてしまうのでしょうか。今回は、産後クライシスとは何か、原因や判断のためのチェックリスト、解決策、パパの産後クライシス、ママたちの体験談についてご紹介します。
河井恵美(エミリオット助産院)
不妊治療の助成拡充に続き、2022年4月から、保険適用が決定。子を持つための選択肢が広がった今、長きにわたる不妊治療の末に双子のお子さんを授かった大山加奈さんに、ご自身の多胎児育児についてお話いただきました。
仕事の都合や急な用事、保護者のリフレッシュなど、家庭での保育が難しいときに子どもをどこに預けようか悩んだ経験がある方も少なくないかもしれません。今回は、一時保育やベビーシッターなど、保護者が安心して利用するための流れやポイントをまとめてご紹介します。
読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただくお悩み相談コーナー。今回は丸の内の森レディースクリニック院長の宋美玄先生が、産後のセックスレスのお悩みに答えます。
宋美玄(ソンミヒョン)
赤ちゃんへの授乳中にココアを飲んでいいのか、気になるママもいるようです。そこで今回の記事では、ココアの成分、特にカフェイン量や、乳腺炎との関係などについて調べてみました。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
新生児のよだれはいつから出るのでしょうか。また、どうして数ヶ月経つとよだれが増えるのでしょうか。よだれの量や形状、その中で注意すべき症状にはどのようなものがあるのか、よだれによる「かぶれ」やスタイの活用方法、服やおもちゃによだれがついた時の対処法も合わせてお伝えします。
保科しほ(医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック)
赤ちゃんが突然発する奇声にはどのような理由があるのでしょうか。日々の生活の中であまりに奇声が続くと、発達障害との関係を不安に思う方もいるかもしれません。保護者が疑問に感じる、赤ちゃんの奇声について、原因や対処法をまとめました。
保科しほ(医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック)
育休は、働くパパ・ママを助けてくれる嬉しい制度。しかし実際に妊娠をするまで、いつからいつまで育休を取得できるのかはよく知らないという方が多いかもしれません。育休と合わせて、産休の場合はいつからいつまで取得できるのか制度の違いや、男性における育休取得などについても合わせて紹介します。
育児のなかでママたちを悩ませる、断乳のタイミング。さまざまな事情から断乳せざるを得ない場合もあるでしょう。今回は、ママたちの体験談をもとに、断乳の進め方やコツ、断乳を行うときの注意点などをご紹介します。