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入浴する際の注意点
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田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
産後は医師の許可がおりるまで湯船につかることは控えるようにいわれています。産後すぐに入浴できない理由といつから入浴ができるのかについて解説します。また、許可がおりた直後の入浴時に気をつけることと1カ月経つ前に入浴してしまった場合の対処法についてご紹介します。
産後すぐには入浴ができない理由
出産後のママの身体は、子宮口がしばらく開いており、元の状態に戻るまで悪露が出続け、元に戻るまでは約1カ月半くらいかかるといわれています。
子宮口が開いた状態のときに湯船につかると、子宮口から細菌が入り込んで子宮内で感染症を引き起こす可能性があります。帝王切開で出産したママは、切開した部分から細菌が感染する場合があります。
産後は免疫力が落ちているので、細菌が感染すると熱がでる場合もあるので注意が必要です。
産後はいつから入浴が可能か
産後の入浴は、赤色っぽい悪露が黄色に変わってきたころが目安と言われています。一般的に、産後3~4週間後くらいの子宮口が閉じるくらいの時期に入浴できるようになる人が多いようです。
しかし、会陰切開の経過やママの身体の回復の状態によって変わってきます。
1カ月健診のときに入浴について医師に確認するようにしましょう。
許可がおりたあとの入浴時の注意点
医師から産後の入浴許可が出てもママの身体はまだ完全に元に戻ってはいないので、以下のことに配慮しましょう。
きれいなお風呂で入浴する
入浴の許可がおりたら完全に細菌の感染のリスクがなくなるわけではありません。
浴槽をしっかり掃除し、お湯は毎日入れ替えて清潔な状態を保つことが重要です。
入浴時は、きれいなお湯に入れるようになるべく一番風呂に入るようにしましょう。
ぬるま湯
熱いお湯に浸かるとのぼせる原因になります。
産後に身体を温めすぎると、身体の血行が促進されて悪路の出血量が増えて貧血になる場合があります。
短時間で入浴する
産後のママの身体は体力が低下気味です。
お風呂でゆっくり温まりたいと思う人は多いかもしれませんが、長時間のお風呂は身体が温まりすぎて血行がよくなり、止まりかけていた悪露が増える可能性があります。
入浴の許可がおりてもママの身体はまだ充分に元に戻ってはいないので、悪露が完全になくなるまでは長風呂は控えましょう。
悪露の様子で入浴を控える
悪露は1カ月程度で治まる人が多いですが、悪露が続く期間には個人差があり、なかには1カ月以上続く人もいます。
悪露が治まらなかったり、入浴して悪化する場合は子宮復古がまだ終わっていない可能性が考えられます。
医師から入浴の許可がおりていても、湯船につかると悪露が悪化したり、悪露が治まらずに続くときには入浴を控えた方がよいでしょう。
お湯漏れについて知っておく
出産すると、骨盤や腟口が緩んでいる状態なので、お風呂のお湯が腟内に流れ込み、お風呂あがりに腟内からお湯が漏れることを「お湯漏れ」といいます。産後に起こる特有の現象です。
お湯漏れは、尿漏れの感覚に似ているため、尿漏れと間違える人もいますが、お風呂あがりにのみ起こる場合は尿漏れではなく、「お湯漏れ」の可能性が高いです。
湯船からあがったあとにお風呂場でスクワットを数回すると腟からお湯がでてきやすく、お風呂場でお湯を出し切ると、パジャマや下着を濡らさなくて済みます。
お風呂に入れない期間の対応
産後は、医師から入浴の許可が出るまでお風呂に入れませんが、湯船につかりたいママたちはどのように対応しているのでしょうか。
シャワー
産後の入浴は1カ月程度入れない場合がほとんどですが、シャワーは産後2~3日から浴びられることが多く、早い人だと出産した次の日にシャワーの許可がおりる人もいます。シャワーの許可がおりたら洗髪もいっしょに行えます。
しかし、ママの体調や出産後の回復状態、病院の方針などによって指導が変わってくるので医師の判断に従うようにしましょう。
シャワーを浴びるときには、入浴と同じでママの体力を考え、貧血症状を起こさないためにシャワーのみでもぬるめのお湯に設定して、短時間で済ませるようにしましょう。
身体を冷やさないように浴室や脱衣所を先に温めてから入ることがポイントです。
タオルで身体を拭く
出産後、シャワーの許可が出ないときは、蒸しタオルなどで身体を拭いて対応する場合もあります。
早く湯船につかりたいと思うかもしれませんが、医師の許可がおりるまでは我慢することが大切です。
産後、湯船に入ってしまった場合の対処法
産後、医師の許可が出る前に湯船に入ってしまったママやどうしても湯船につかりたいと入浴してしまったママもいるかもしれません。
感染症を防ぐためにも、気づいたときから入浴を控えることが大事です。入浴後に悪露や体調に変化が出ていない場合は、そのまま様子をみてもよいですが、1カ月健診で湯船につかったことを医師に伝えるようにしましょう。
入浴後に身体に変化がある場合は、1カ月健診を待たずに病院を受診してください。
身体の状態に合わせて入浴の仕方を工夫しよう
産後のママの身体は、免疫力が落ちています。子宮口が開き、完全には回復していないので細菌の感染を防ぐために、産後は1カ月程度入浴を控えるように病院で指導をされます。
一般的には1カ月程度で入浴を許可されることがほとんどですが、ママの体調や悪露の状態などで長引くこともあるので、自己判断せずに医師の判断に従うことが大事です。
出産後、翌日にシャワーが許可された場合は、シャワーで身体を清潔に保ち、入浴を許可されたらなるべく一番風呂に入り、貧血や悪露を悪化させないためにも、ぬるま湯で短時間で入浴を済ませることがポイントです。
入浴の許可がおりている場合でも、湯船につかると悪露が悪化したり、悪露が長引く場合には入浴をいったんやめましょう。
ママの身体が十分に回復することを優先して、入浴の仕方を工夫しましょう。
監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
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杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。