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妊活の検査前にやっておきたい基礎体温記録
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田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
妊活を進めるために病院で受ける不妊検査には、いくつか種類があります。ホルモン検査や感染症検査など、どのような検査をするのかや、検査結果によって何がわかるのか気になることもあるかもしれません。今回の記事では、女性と男性それぞれの検査内容、検査費用や補助金、検査前にやっておきたいことなどを解説します。
妊活はどのような検査をする?
妊活を意識しはじめると、病院に行ってどのような検査をするのか気になることがあるのではないでしょうか。
妊活の検査内容や費用について不安を抱える女性や男性もいるかもしれません。
妊活のための不妊治療は、「一般婦人科」と「不妊治療専門病院」の2つに大きく分けられます。不妊治療専門病院は、より専門的な検査や治療を行なうための設備が整っています。
病院ではどのような検査を行なうのか詳しく見ていきましょう。
病院での検査前にやっておきたいこと
病院で検査をする前に、毎朝基礎体温を計り記録をしておきましょう。最短でも1カ月ほどの基礎体温の記録を病院に持参すると、その後の検査がスムーズな場合があります。2~3カ月ほどの記録があると、基礎体温の傾向がよりわかりやすくなります。
基礎体温表をつけることにより、体の高温期や低温期がわかり、おおまかな排卵日を予測したり、排卵が正しく行なわれているかなどを知ることができます。
起き上がると体温が上がり、正確な基礎体温が計れなくなるため、目覚めたらすぐに計ることがポイントです。なるべく毎朝決まった時間に起床して計測しましょう。
【女性】妊活の検査内容
まずは女性の病院での検査内容について解説します。
ホルモン検査(内分泌検査)
ホルモン検査は、低温期、排卵期、高温期それぞれ行ないます。血液や尿を採取してホルモンの分泌量などを調べることで、子宮や卵巣の機能の状態や排卵障害などがわかり、状態に適した治療を進めます。
低温期のホルモン検査では、血液から排卵機能や卵巣機能の状態を調べます。高温期では、着床を促すホルモンや子宮内膜を厚くするためのホルモンの値を検査します。
子宮卵管造影検査
X線で画像診断をするための造影剤を子宮内から卵管へ流し込み、子宮内の状態と卵管の通りを見る検査です。月経が終了してから排卵日までのあいだに検査を行ない、所要時間は10分弱で終わる場合がほとんどです。
造影剤を流すことにより卵管の通りや働きが良くなり、子宮卵管造影検査をすることで妊娠しやすくなる一方、痛みを感じることがあるため痛み止めを使う場合もあります。
超音波検査
子宮の大きさや形、卵巣の形をチェックする超音波検査は、子宮内膜症や子宮筋腫の有無や、子宮内膜の厚さを知ることができる不妊検査に欠かせない検査の一つです。
フーナーテスト
頚管粘液中の精子を調べ、適合性を確認する検査です。排卵期の性交当日、または翌日に行ないます。
感染症スクリーニング検査
胎児や妊婦に悪影響を及ぼす可能性がある感染症に対して、スクリーニング検査を推奨する病院もあります。女性だけでなく、パートナーの男性も検査を受けましょう。
B型肝炎やC型肝炎、梅毒、HIV、トキソプラズマ抗体、風疹ウイルス抗体、クラミジア、淋菌などを含めた感染症を調べることができます。
性器クラミジアは流産や早産の原因となる場合もありますし、産道で感染が起こると、出生後に新生児クラミジア結膜炎、咽頭炎、肺炎等のリスクが発生します。
【男性】妊活の検査内容
不妊にはさまざまな原因がありますが、男性側が要因を抱えている場合もあります。妊活をスムーズに進めるため、男性も検査を受けましょう。
精液検査
精液検査では、精子の数や、運動率、奇形率などを検査します。
精液は、1週間弱の禁欲期間後に用手法(マスターベーション)で採取します。病院での採取が望ましいとされていますが、人肌程度に温度を保つことが可能であれば、自宅で採取し病院に持ち込むことができるケースもあります。
男性の精液状態は日によって変動するため、一度数値が悪かったとしても再検査では問題ないとされることもあります。
泌尿器科的検査
精液検査の結果から、必要がある場合に泌尿器科的検査を行ないます。
診察で不妊に関連する既往歴の確認や、精巣などの外陰部の測定を行なったり、男性の不妊理由として最も多い「精索静脈瘤」の有無を調べる触診も行ないます。
血液中の男性ホルモンや性腺刺激ホルモンなどを調べ、精液異常の原因を検査する内分泌検査を行なう場合もあります。検査結果によっては、染色体・遺伝子検査を行なう場合もあります。
妊活の検査費用と補助金
妊活の費用が気になる人は多いかもしれません。病院での検査費用はどのくらいかかるのでしょうか。また、妊活を補助する制度も併せて見てみましょう。
検査費用
不妊治療のための検査費用は、保険適用になるものと自費で支払うものに分かれます。
ホルモン検査、子宮卵管造影検査、超音波検査、フーナーテストなどは保険適用で検査を受けることができます。
ホルモン検査の採血は、被保険者本人3割負担の場合、1000円程で受けられますが、検査内容によって自己負担となる場合もあります。子宮卵管造影検査はカテーテル代を含め7000円程、フーナーテストは500円程です。超音波検査は1600円程ですが、同月内の検査回数に応じて費用が若干変動します。
感染症スクリーニング検査は自費となり、15000円前後負担することになります。
精液検査は自費の場合がほとんどで、3000円~5000円程で検査をすることができます。
助成制度
東京都では、夫婦1組につき1回、不妊検査と一般不妊治療の費用を5万円を上限に補助する制度があります。
夫婦それぞれの初めての検査開始日のいずれか早い日から起算して、検査開始日から1年以内が助成対象期間となるため忘れずに申請しましょう。
平成31年4月1日以降に不妊検査を開始した夫婦を対象とし、検査開始日の妻の年齢要件が35歳未満から40歳未満に緩和されています。
体外受精や顕微授精などの自己負担治療に進んだ場合には、特定不妊治療の補助を受けることができます。
自治体により助成制度や補助金額が異なるため、お住まいの自治体の情報を確認するとよさそうです。
検査内容を確認して妊活に臨もう
妊活を考え始めると、病院で受ける検査内容が気になりますよね。検査内容を事前に知っておくことで、妊活を進めていくうえで直面する不安な気持ちが少し和らぐかもしれません。
妊活のための不妊検査には、さまざまな種類があり保険適用で受診できる場合と、自己負担となる場合があります。助成制度を受けられることもあるため、自治体の情報を確認してみましょう。
病院で受ける検査内容を確認して、妊活を進められるとよいですね。
監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
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杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。