「サラリーマンの聖地」からの脱却…居酒屋不況の時代に「串カツ田中」を支える"意外すぎる太客"の正体

「サラリーマンの聖地」からの脱却…居酒屋不況の時代に「串カツ田中」を支える"意外すぎる太客"の正体

串カツ田中が好調だ。2025年1月~9月の売上高が前年同月比で平均112%のプラスとなっている。流通アナリストの中井彰人さんは「串カツ田中の特徴は、客単価を上げずに客数を1割以上増やすことに成功していることだ。背景には、ファミリーや男女客グループの取り込みに成功したことがある」という――。

節約のために減らされやすい「外食費」

食品を中心とした物価上昇はとどまるところを知らず、消費者の懐具合はかなり厳しくなってきている。賃金上昇から物価上昇を引いた実質賃金は、依然としてマイナスが続いていて、2025年9月で連続9カ月マイナスと報じられているが、ボーナス月に一時的にプラスになったことがあるだけで、実態的には3年くらいほぼ前年比マイナスが続いている、ということなのだ。

つまり、3年くらいずっと収入が下がり続けており、消費者は節約に走るしかない状況なのである。それでも、毎日の家で食べる量を減らしたり、水道光熱費を大きく減らしたりするのは難しいため、我慢できる支出や、先送りできる支出(選択的支出)を減らすことになる。

こういう時、まず削減対象となるのは、お父さんのお小遣い、となることはやむを得ないとして、多くの家庭で検討されるのが、外食の見直しであるらしい。家で作って食べれば相当安く済むのだから、仕方ないのであり、実際、これまでも不況になると外食支出は減る、という実績が確認されている。

今年に入って明らかに外食が減っている

ということで、最近はどうなのかを状況確認してみたのが図表1、2である。これは大手主要外食チェーンの既存店売上高の増減動向を示したものだ。表が細かいので個別銘柄の動きはちょっとスルーしていただいて、黄色に着色したマイナスの月の増減を見ていただきたくて載せている。図表1が売上増減だ。ここでは黄色のコマの数はそんなに目立たないと思う。それは売上高=客数×客単価であるからで、物価上昇による価格改定で単価が上昇しているために、売上だけ見ても動きがよくわからない。だが、図表2の客数の増減をみると、様相は一変する。

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主要30社の客数は2025年初めにはマイナス(黄色のマス)は10社ほどであったが、最近では倍増していることがすぐに見てとれるだろう。消費者は、今年に入って明らかに外食に行く機会を減らしている兆候が見える。そんな中、この期間ずっとプラスを維持した企業は、ファストフードの雄、マクドナルド、モスバーガー、M&A後体制を一新した大戸屋、コスパファミレスのサイゼリヤとジョイフル、といった数少ない企業である。

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