引き際が美しい創業経営者は少ない…サイバー藤田晋氏が語る「42歳の叩き上げ社員」を2代目に抜擢したワケ

引き際が美しい創業経営者は少ない…サイバー藤田晋氏が語る「42歳の叩き上げ社員」を2代目に抜擢したワケ

【最初から読む】「ビジネスの鉄則」は麻雀から学んだ…サイバー藤田晋氏が語る「勝負強い人と弱い人」を分ける決定的な違い 12月12日、サイバーエージェント創業者の藤田晋氏(52)は社長職を退き、専務執行役員の山内隆裕氏(42)が社長に昇格する。創業以来27年間、社長を務めてきた藤田氏の「電撃退任」の背景には何があるのか。ノンフィクション作家の稲泉連さんが、藤田氏に聞いた――。(『勝負眼』インタビュー第2回/全2回)

藤田氏が「社長交代」決断の背景

――12月12日付で専務執行役員だった山内隆裕氏が社長に就任し、藤田さんは会長となります。なぜ、今のタイミングでトップの交代を決断したのか、その経緯を教えてください。

【藤田】2022年に私は「あと4年で社長を交代する」と公言していました。少しだけ時期が早まりましたが、ほぼ予定通りの決定です。

ただ、この「社長交代」という決断やその時期については、ずっと以前から考えてきたことがあります。それは、創業者が会社を去るタイミングは、企業にとって最大のリスクであり、最も難しい局面であるということでした。

創業社長が大きくした会社というのは、創業者の経験値や能力、あるいはパーソナリティがその会社そのものになるケースが多々あり、そうなると誰にも引き継げない会社になっていくのです。

そして、サイバーエージェントも、27年前に私がゼロからを作り、私の総合プロデュースのような形で全体の辻褄を合わせながら成長させてきた会社です。その過程で、重大な決断、経験、情報、人脈――といった会社経営における様々な要素がすべて私一人に集中する、という構造ができあがっていきました。

当然のことですが、そうした構造の中においては、社内に歴然とした「差」が生じます。社長が圧倒的な存在になっていくのです。個人の成長機会を独り占めしてるから差がついて当たり前ともいえます。

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