「うちの商品はすごいですよ」では何も伝わらない…Nikeが1988年から"Just Do It"と言い続けるワケ

「うちの商品はすごいですよ」では何も伝わらない…Nikeが1988年から"Just Do It"と言い続けるワケ

企業のキャッチフレーズにはどのような意味があるのか。ニューロマーケティング(脳科学マーケティング)トレーナーの遠藤貴則さんは「ブランドを印象付けるためには、ストーリー仕立てで情報を消費者に与えることが有効だ。Nikeの“Just Do It”はまさにその成功例だ」という――。 ※本稿は、遠藤貴則『ザ・ニューロマーケティング』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

単なる事実よりも「物語」のほうが記憶に残る

現代の消費者は、製品やサービスの機能や価格だけでなく、その背景にある物語や価値観に大きな関心を寄せています。

雑多な情報が溢れる環境の中で、記憶に残る強い印象を与えるためには、ブランドの世界観を明確に示し、「共感」「感動」「憧れ」といった感情を呼び起こすことが重要です。

そのための有効な手段がストーリーテリングであり、近年のブランディングやPRにおいて不可欠の要素となっています。

ブランドストーリーを適切に構築すると、次の3つの効果が期待できます。

●顧客の記憶に強く残る
ストーリーを伴う情報は、「単なる事実」よりも記憶に定着しやすい。

●感情的価値を高める
物語に共感した顧客はブランドを「自分ごと」として捉え、ロイヤリティが向上する。

●差別化とアイデンティティ確立
競合が多い市場でも、独自のストーリーがあれば強い存在感を放てる。

詳しく見ていきましょう。

ストーリーテリングは人類の進化で得た情報伝達方法

なぜ、ストーリーを伴う情報は「単なる事実」よりも記憶に定着しやすいのでしょうか。その鍵は、人類が進化してきた過程にあります。

人類は、複雑な言語によってコミュニケーションする能力を得たことで、ものすごい速さで進化してきました。

「自然界で生き抜くためには、このようなことが大事だ」「より楽しく生きるためには、このようなことが大事だ」。そのような情報は口伝として、次の世代へと継承していけるようになりました。

その継承の手法として効果的だったのが、ストーリーテリングです。

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