「ホームレスは1日をどう過ごすか」筑波大卒ライターが路上生活で見つけた"金のかからない時間の潰し方"
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定職についていないホームレスは一日をどう過ごしているのか。自身も路上生活を体験したルポライターの國友公司さんは「空き缶拾いなどのタスクがなければ、もちろん時間を持て余す。時間つぶしにうってつけなのが『炊き出し巡り』だ」という――。 ※本稿は、國友公司『ルポ路上メシ』(双葉社)の一部を再編集したものです。
段ボールの上に寝袋を広げて寝る
路上生活2日目。朝8時半に、蔵前駅近くにあるキリスト教会でパック入りの炊き込みご飯をもらった。そのへんに腰かけながら平らげると、一気に眠くなってきた。昨晩は上野公園にある東京文化会館の軒下でぐっすり眠ることができたとはいえ、5時起きである。
今すぐにでも上野公園に戻り、寝袋を広げてまた寝てしまいたい。「空腹は最高の調味料」とよく言うが、基本的に寝心地の悪い路上において「睡魔は安眠にとって最高の調味料」である。
路上生活中の寝床は、繁華街で拾ったダンボールの上に寝袋を広げている。その際、大切なことがひとつある。それは、貴重品を盗まれないようにすることだ。
ホームレスであっても、財布はもちろん、中にはスマホを持っている人もいる。ポケットに入れたまま眠ってしまったり、枕元に置いたリュックサックの中に入れたままにしたりして、ほかのホームレスに盗まれてしまうこともしばしばある。
ホームレスが交番に駆け込んだところで、警察はおざなりの対応でおしまい……という話も聞く。
路上生活における「防犯対策」の流儀
盗難に遭わないため、私が路上生活中に編み出した対策がある。
財布やスマホといった貴重品を寝袋の中に入れてしまうのだ。寝返りを打ったときに体に当たるのが気になったら、蹴って足元まで押し込んでしまえばいい。そうすれば、より盗まれる可能性は低くなるだろう。

もう少し上級者になると、傘でバリケードをつくる人も多い。傘を5〜6本広げた状態で寝床を囲めば、中にテントのような空間が生まれる。盗人の手はもちろん、通行人の視界や紫外線まで防ぐことができるし、折りたたみも簡単なので、ホームレスたちに広く浸透している防犯対策だ。





























