だからたくさん寝ても「朝からしんどい」…1日1時間ずつ狂っていく「体内時計」を元に戻す"毎朝の習慣"
最悪の場合、「生体リズム」のズレが心筋梗塞や脳梗塞を招く
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たくさん寝たのに「朝からしんどい」のはなぜか。自治医科大学名誉教授の藤村昭夫さんは「体内時計がズレたままの状態になっているからだ。ズレを放置すると心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高くなる。毎朝のひと工夫でズレを修正してほしい」という――。(第2回) ※本稿は、藤村昭夫『世界の最新医学が教える最高の薬の飲み方 時間治療』(講談社)の一部を再編集したものです。
体内時計は「1日25時間」
あらゆる生物は、「生体リズム」によって生き残るための最適化を図っています。
そして、その生体リズムを刻むために「体内時計」を持っています。私たち哺乳類の場合、メインの体内時計は、左右の視神経が交叉する「視交叉上核しこうさじょうかく」と呼ばれるところにあります。
このメインの体内時計は、別名「中枢時計」とも呼ばれ、時間治療に深く関わるサーカディアンリズムをつくりだしています。実は、中枢時計の周期は1日24時間ではありません。以前、健康な志願者を対象に研究が行われました。
それによると、太陽光がまったく入らず時刻の手がかりがない状況において1人で長時間過ごすと、人は約25時間周期で生活することが明らかになったのです。しかしながら、人が暮らす地球の自転はほぼ24時間周期です。そこで私たちは、生き残るために、地球の自転に合わせて自分のリズムを調節する能力を得たのです。その能力を、専門用語で「同調」と言います。
こうした中枢時計のほかに、体のさまざまな部位・臓器に存在する「末梢時計」もあります。末梢時計は、中枢時計の指令を受けているものの、中枢時計とは違う独特のリズムを刻んでいます。