「笑顔で帰宅」に安心してはいけない…「学校がしんどい」子どもが出している“SOSのサイン”
「教室では楽しそう」には要注意
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学校に行くのがつらくなってしまう子どもには、どんな傾向があるか。信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授・本田秀夫医師の著書『発達障害・「グレーゾーン」の子の不登校大全』から、親が見逃してはいけない子どもの行動を紹介する――。(第2回) ※本稿は本田秀夫『発達障害・「グレーゾーン」の子の不登校大全』(バトン社)の一部を再編集したものです。
「学校に行きたくない」は最終段階
Q1
子どもに「学校に行きたくない」と言われたら?
子どもが「学校に行きたくない」と言い出したとき、あるいはすでに休んでいるときに、どう対応すればいいのでしょう。第3章では学校での環境調整について触れましたが、この章では、主に家庭でいますぐにできる対応のポイントについてお伝えします。
不登校の対応で最初にお伝えしておきたいのが、大人と子どもとの間に視点のズレが起こりやすいということです。
大人は、子どもが「学校に行きたくない」と言い出したときに、それを問題の始まりだと考えがちです。何かきっかけがあって、休みたい気持ちがちょっと出てきたぐらいの段階だと思いやすいのです。ちょっと頑張って登校すれば、また通えるようになるんじゃないかと考えて、子どもに「そんなこと言わないで」「頑張ろう!」と声をかけたりします。
しかし子どもの側から見ると、大人に「学校に行きたくない」と伝えるのは、心のなかで葛藤していた問題が最終段階に入ったときです。いろいろと悩みながら、誰にも言わずに精いっぱい頑張ってきたけれど、もう限界だと感じて、ようやくその気持ちを言葉に出したわけです。「学校に行きたくない」という言葉は、子どもからのSOSのサインなのです。
子どもが学校を休みたがったとき、大人がそれを「問題の始まり」だと思いやすいのに対して、子どもは「問題の最終段階」だと考えている場合が多い。そこに視点のズレが起こってきます。