だからあなたの「フィードバック」は嫌われる…「人間関係を壊す」上司が悪気なく使っている"上司失格"構文
Profile
優秀なプレーヤーが、マネジメントも上手いとは限らない。これまで約2万人ものビジネスパーソンを指導してきた橋本拓也さんは「マネジャーがメンバーの成長を支援するのには、適切な“フィードバック”がかかせない。適切なフィードバックを行うには、常に3つのポイントを意識することが重要だ」という――。 ※本稿は、橋本拓也『部下をもったらいちばん最初に読む本』(アチーブメント出版)の一部を再編集したものです。
フィードバックは「ちょっとサポートしていい?」という声かけ
今では当たり前のように使われるようになったフィードバックという言葉ですが、そもそもは軍事用語で「このままいくと目標地点からどれくらいズレて砲弾が着弾しそうかを射手しゃしゅに情報を戻すこと」を指しました。
要するに「このまま進めて予定通りにいくかどうかの情報提供」という意味です。ビジネスに置き換えるならば、このままいくと目標(=たどり着きたいところ)にたどり着けるかどうかの情報提供になります。
マネジャーがメンバーに対して行うフィードバックがこれです。メンバー本人が目指す成長に対して現状の情報提供を行います。
「このままいくと目標達成しなさそうだから、ちょっとサポートしていい?」と関わります。例えば、遅刻が多いメンバーがいたら「いつも遅刻しているね。今後も繰り返されると、あなたが目標にしている『周りから信頼されるマネジャーになる』を達成できないと思うので、改善のためにフィードバックしますね」と伝えるイメージです。
また、時には耳の痛いことを伝える必要もあります。
例えば「期日までに仕事を終わらせてプライベートを楽しむことをしたい」と言っているメンバーがいるとします。
そんな彼が時間の使い方がうまくない場合には「いつも忙しそうにして、仕事が終わらずにバタバタと帰っているけど、その進め方だと仕事のことを思い出してプライベートを楽しめないから、ちょっと時間の使い方に改善が必要だと思いますよ」と指南することもあります。
何でもかんでも承認は「NG」
そもそもフィードバックには2種類があります。
1つは、良かったことを伝える「ポジティブ・フィードバック」です。相手のどういうところが良かったのか、マネジャーには真似できないすごいところ、今回すごく助けてもらったところなど、相手への感謝を言葉にして伝えるのがポジティブ・フィードバックです。
特に大切なのが、具体性です。何でもかんでも承認するのではなく「このような行動が」「このような良い影響が周囲にもたらされた」「私はこのように感じた」など具体的に伝えることがポイントです。
もう1つは、先述の耳の痛いことを伝える「ギャップ・フィードバック」です。ギャップ・フィードバックによってメンバーは成長を促されます。