魚に寄生したアニサキスは目視ではわからない…管理栄養士が実践「食中毒」を避ける"必須アイテム"と調理法
アニサキスアレルギーのリスクは生涯続く
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梅雨から夏になると、細菌性食中毒に気をつけようという話がよく出る。管理栄養士の成田崇信さんは「細菌性食中毒も心配だが、アニサキス食中毒も急増しているので注意が必要。調理のポイントを押さえておいてほしい」という――。
食中毒ハイシーズンの始まり
これからの梅雨から夏の時期は、気温と湿度が上がるため細菌が繁殖しやすく、食中毒が起こりやすい時期です。生鮮食品はなるべく早く冷蔵庫へ入れ、調理後の料理も粗熱をとって冷蔵庫へ。お弁当は保冷剤などを用いて冷やしましょう。
そして、これからの時期は魚介類に寄生しているアニサキスによる「アニサキス食中毒」も増えるので、注意が必要です。アニサキスが特に多く寄生しているのは、サバやイカ、カツオなどですが、初夏になると近海での漁獲量が増え、寿司や刺し身など生で食べる機会が増えるためです。
じつは近年、この「アニサキス食中毒」が急激に増加しています。今まで比較的安全だといわれていた日本海側の魚でも、食中毒のリスクが高くなっているのです。そこで、今回はアニサキス食中毒が増えた理由、そして予防方法などをわかりやすく解説します。
「アニサキス食中毒」とは何か
そもそもアニサキスというのは、体長2〜3cm、太さが0.5〜1mm程度の寄生虫の幼虫です。糸のような形状をしていて、色は半透明の白。前述したサバやイカ、カツオ以外にも、アジやニシン、タラ、イワシ、サケ、マスなどのさまざまな種類に寄生しています。このアニサキスは、宿主である魚介類が生きているときや鮮度のいいときは内臓の表面に寄生していますが、鮮度が落ちると身(筋肉)に移行することも。
そのためアニサキスに寄生された魚を生または加熱不十分な状態で食べると、胃や腸の壁に刺入され、「アニサキス食中毒(アニサキス症)」を発症することがあるのです。生魚を食べてから数時間〜十数時間後に胃や腸に激しい痛みを感じたり、吐き気がしたりする場合は医療機関を受診しましょう。
アニサキス食中毒というと、のたうちまわるような激しい痛みが起こるというイメージですが、これは全員に生じるものではなく、無症状から軽症で済むケースもあります。ただし、その場合でもアニサキスを摂取したことでアレルギー反応が起こるリスクもあるので注意が必要です。