「70年前の家にすでにこんな間取りが…」大正生まれ・日本人女性初の建築家のスゴすぎる住宅遺産
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「70年前の家にすでにこんな間取りが…」大正生まれ・日本人女性初の建築家のスゴすぎる住宅遺産(「文春オンライン」編集部)
ゆっくり不動産#4
〈開けると「本当に狭いけどアレがある…」こだわり満載の8㎡極小物件の「スゴすぎる間取り」〉から続く
日本中に眠っている個性的な物件・住宅を紹介している。チャンネル登録者数75万のYouTubeチャンネル『ゆっくり不動産』。
そんな人気チャンネルを運営している中の人に、これまで見てきた中で驚いた物件やロマンを感じた物件などを聞いた。(全5回の4回目/つづきを読む)
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大正生まれ・日本人女性初の建築家による住宅遺産
――ゆっくり不動産さんがロマンを感じた物件はありますか?
ゆっくり 浜口ミホさんという大正生まれの建築家の住宅遺産ですね。日本人女性初の建築家でダイニングキッチンという概念を作った方なんですけど、その方の建築した家を見せていただく機会があって。浜口ミホさんが手がけた作品で現存しているのってここだけなので、かなりレアなんです。
――今は誰かが住まわれている?
ゆっくり 新しいオーナーさんがリノベーションして住んでいます。
――どの辺にロマンを感じましたか?
ゆっくり まず住宅遺産がいまだにちゃんと残っていて、それがちゃんと渡るべき人の手に渡って受け継がれてるとこにロマンを一番感じますね。
それに当時のマンションって「田の字プラン」と言って、玄関から奥に向かって延びる廊下の左右に部屋が配置されて、突き当たりにリビングやダイニングがあるような形が一般的だったんですけど、70年前にダイニングとリビング、その他の部屋を回遊できる間取りをもうすでに考案してたんです。
リビングを中心に水回りやキッチン、各部屋があるっていう現代のライフスタイルにも通用する間取りをあの時代に作っていたっていうセンスがすごいなって。
――今もその家に人が住まわれていると。
ゆっくり 今のオーナーさんも間取りは基本的変えずに中だけリノベーションして住んでいます。
築60年も経過してる住宅って見方によっては、不気味だし、取り壊してほしいって思われることもあると思うんですけど、この物件は近所の方からもずっと残してほしいと思われているようです。
ニューヨーク郊外にある巨大物件
――今まで見た中で一番大きかった物件は?
ゆっくり ニューヨークの郊外にある物件ですね。6ベッドルーム、7トイレ、7バスルームという。
――住む人数によりますが、持て余しそうですね。
ゆっくり 海外は規格外ですね。1人1つのバスルームが付いている物件って結構よくあるんですよ。それにしてもここは多かったですけど。日本の物件とは全然違って面白かったですね。かなり古い物件だったんですけど、中をリノベして3億円くらいで売り出していて。
日本ではいまだにスクラップ&ビルド(老朽化・陳腐化したものを廃棄し、新しいものに置き換えること)の考え方が根強いですが、向こうでは古い物件をちゃんと有効活用していこうというのが主流なんですよね。
外観は変えずに中だけをリノベして現代の生活スタイルに合わせるっていう考え方は個人的にも好みです。築年数が経ってるものこそ歴史や価値があるという考えも素敵なんですよね。