親は「司令官」でも「メイド」でもない…勉強好きな子どもを育てる「戦略的ほったらかし教育」の極意
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子どもに勉強させようと、つい口を出してしまう親は多い。家庭教育コンサルタントの岩田かおりさんは「親が事細かに管理したり、お世話をしすぎたりすると、子どもは勉強から心が離れていく。私自身、3人の子育てをする中で、あえて放任することが効果的だと気が付いた」という――。(第1回/全2回) ※本稿は、岩田かおり『自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
7000人以上の母親が漏らした「不安」
「宿題しなさい!」「なんで、何回言ってもわかんないの?」、そんな言葉を子どもに繰り返していないでしょうか。
私がお話を聞いてきた7000人以上のお母さんたちは、「もう注意することに疲れた」「こんな子育てでいいのか不安」と口々におっしゃっていました。
でも、子どもを叱ったり心配したりすることは愛情の裏返し。
親が本当に求めていることは、子どもが自分の力で幸せに生きていけるようになることではないでしょうか。
そして、本来であれば、勉強だってその幸せに生きるための道具の一つにすぎないのです。
それなのに、いつの間にか「他の子と比べてできていないのではないか」「勉強に遅れてしまったら大変」という思いが強くなり、「ちゃんとやりなさい」「正しく書きなさい」といった注意を連発するようになります。
子どもを「勉強嫌い」にする親の特徴
このようなあせりや不安を抱えたまま子どもの勉強に関わっていくと、次のような2つのスタイルに陥ってしまいます。
①司令官スタイル……子どもを監視して、事細かに管理するタイプです。自分の想定する範囲内のみで行動させようと統制します。何から何まで指示を出すことが多く、もし子どもが失敗しようものなら、「言われた通りにやらないからダメなのよ」といった注意をします。
②メイドスタイル……献身的に子どものお世話をしすぎてしまうタイプです。子どもの言動や顔色を見て、機嫌が悪くなったり不都合が生じたりしないように、先回りしてあらゆることを整えようとします。
そして、この2つの合わせ技タイプとして、指示をして、機嫌をとって、なんとかして机にかじりつかせて勉強をさせようとする親も存在します。
残念ながらこうした傾向があると、子どもは知識を詰め込む勉強だけでなく、自身の興味関心から自発的に探究する学びからも心が離れていきます。
戦略的ほったらかし教育は、一歩引いて、一人の人間として子どもを見守るスタイルです。その結果、子ども自身で決めたり考えたり行動したりする力が育まれます。
子どもが変容していく様子に、たくましさを感じるでしょう。
きっと、親が本当に求めていた子どもの姿が、そこにあるはずです。