米国はもちろん中国も韓国も追随できない…日本が30年間1位独占の経済ランキングとは?
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米国はもちろん中国も韓国も追随できない…日本が1995年から1位独占の経済ランキングとは?〈「日本企業の強み」を経営学者ウリケ・シェーデ氏が解説〉(ウリケ・シェーデ/文藝春秋 2025年6月号) 米カリフォルニア大学サンディエゴ校教授で、日本企業研究を専門とするウリケ・シェーデ氏。シェーデ氏は、日本の先端企業が採ってきた戦略は、貿易摩擦が頻発しても、レジリエンス(強靭性)を発揮すると指摘する。それはなぜなのか。日本企業の“強み”はどこにあるのか。(通訳=近藤奈香) ◆◆◆
「経済複雑性」ランキング
ハーバード大学グロースラボが「経済複雑性ランキング」を公表しています。これは世界各国の「生産的知識」をランキングにしたもので、2つの指標に基づいています。
第1は、その国の輸出品の「多様性」と「複雑性」です。
第2は、どれだけ多くの国でその製品をつくれるかという製品の「偏在性」です。
たとえばシャツのように単純な製品は複雑性が低く、多くの国で生産可能です。他方、高度な機械や素材は非常に複雑で、生産できる国はごくわずかです。
「経済複雑性の高い」国は、それだけ高度で専門的な技術や人材が豊富で、非常に複雑かつ希少で他の追随を許さない製品を生産できることを示しています。
1995年から2020年のランキングの推移を見ると、米国は、9位から12位に後退しています。
他方、韓国は21位から4位に急上昇し、中国も、46位から17位に上昇。ベトナムも、107位から52位に浮上しています。
最も驚くべきなのは、日本はこの間、ずっと1位だったことです。
これはなぜか。マクロ経済的にはさまざまな問題を抱えていたなかで、ミクロ経済的な企業レベルでは、日本は長い間、特定の技術分野で中核的な強みを持ち続けているということなのです。
日本企業の強みを示すもう一つのデータがあります。
計1094品目(自動車、ロボット、医療機器、事務機器など「最終製品」812品目と、半導体、電池、先端材料など「キーテクノロジー製品」282品目)別に、「世界市場規模」と「日本企業の合計市場シェア」を調査したNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の報告です。
これによると、2020年と2021年に日本がシェア100%の製品は58品目もありました。シェア90%以上は94品目、シェア75%以上は162品目に達しています。