部課長にはなれない人材をどうするか…辞められると困る中堅社員の離職を止める上司の"ねぎらいフレーズ"
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30~40代のプレイヤーや管理職の離職を防ぐにはどうすればよいのか。経営心理士の藤田耕司さんは「上司との関係が疎遠になり、関係欲求が満たされないと離職の動機が生まれてしまう。それぞれに合ったかかわり方をするのが大切」という――。 ※本稿は、藤田耕司『離職防止の教科書 いま部下が辞めたらヤバいかも…と一度でも思ったら読む 人手不足対策の決定版』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
離職の動機は年齢や仕事への意欲によって異なる
会社に対するニーズが満たされなくなったときに離職の動機が生まれます。そのため、部下のニーズを把握し、それに対応することが重要です。
そのニーズは年齢や仕事への意欲・能力の高さによって異なり、そこには一定の傾向があります。
そのため、経営心理士講座では、年代を20代の新人若手、30~40代の中間世代、50代以上の年長世代の3つに分け、それぞれの年代を意欲・能力の高さでさらに上位、中位、下位に分け、図表1の9つのカテゴリーに分類し、ネーミングしています。
今回は30~40代の中間世代の上位【エリート】と中位【現場牽引者】のニーズの傾向について説明し、それを踏まえて離職の要因と対応についてお伝えしていきます。
中間世代・上位【エリート】の離職の要因と対応
中間世代・上位の【エリート】カテゴリーの人は、十分な経験を積み、仕事に対する意欲や能力が高く、現場でトップクラスの成果を上げる30代、40代の人です。
このカテゴリーの人は自分の市場価値の高さに自信があり、今より条件が良い転職先も探せば見つかると思っている人が多く、また、独立をしやすい業界では独立の意向が強い人もいます。
このカテゴリーの人への対応としてとりわけ注意すべきなのが、「仕事の任せ方」「期待の伝達」「体調への配慮」です。
このカテゴリーの人は実績も自信もあるため、自分の思うようにやりたいという気持ちが強く、自分のやり方にいちいち口を挟まれるとモチベーションが下がります。
そのため、十分な裁量権を与えて、大事なところは手綱を引きながらも細かいことには口を挟まない関わり方が重要になります。
ただ、それが「放置」と感じられると上司との関係が疎遠になり、関係欲求が満たされなくなります。そうならないよう折を見て声をかけ、良い点は褒め、「口は挟まれないけれども見守ってくれている」と感じてもらえる状態を維持することです。
そして、優れている点をフィードバックしたうえで、会社からの期待を伝えておきます。その際、伝達する期待が本人の意向に沿わないものだと逆効果になるので、あらかじめ本人の意向を把握しておくことも必要です。
その内容に合わせてどういった成長の機会を提供できるかを伝えられると、なお良いでしょう。