「RIZAPセカンド」はイケてるから却下…ダサい「チョコザップ」が2年弱で1500店の異常成長を遂げたワケ
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構造改革中にコロナでRIZAP入会者激減
おかげざまでchocoZAP(以下、チョコザップ)は会員数127万人に達しました。国内フィットネスジム会員数日本一になったのはブランド開始から約1年後。短期間で成長できたのは、これまでのフィットネス業界が気づかなかった新しい需要を掘り起こせたからでしょう。
きっかけはコロナ禍でした。当時、RIZAPグループは構造改革の最中でした。M&Aで成長を目指したものの、買収した事業はお客様に価値を届ける仕組みや手順が確立されていて、それを時代に合わせて変えていくのは簡単ではなかった。2019年3月期に大きな赤字を計上。構造改革が進み、20年3月期第1四半期で黒字に転換したところでコロナ禍に襲われました。
とくに痛手を被ったのは主力のRIZAPです。RIZAPは本気でダイエットしたい人に加え、健康面での訴求を強めて高齢者の会員を増やしていました。そうしたタイミングにフィットネスクラブで集団感染が発生。ご高齢の方ほど接触を避けるため、入会者数が激減しました。
ただ、危機とチャンスは表裏一体です。ある需要がなくなっても、それはお金の使う先が変わっただけであり、一方では新たに生まれる需要もある。そう考えて新サービスや新事業を模索し始めました。
注目したのはデジタルです。RIZAPは一人ひとりに寄り添って成果を出すノウハウが確立しています。デジタルを使えば、そのノウハウを時間や場所の制約なく提供できる。そこでハイパフォーマートレーナーの指導をオンデマンドやライブで配信しました。
ただ、利用は限定的でした。デジタルはあくまでもツールで、使うことが目的化するとダメ。業界でもオンラインのフィットネスサービスが続々と出てきましたが、大きな売り上げになったサービスはありませんでした。
デジタルを活用するなら、その特徴を長所に変える仕組みをつくる必要があります。デジタルは時間や場所の制約がなくなるほかにも、人を介さなくていい、安価でできる、再現性が高いといった特徴があります。これらの特徴を長所に変えるにはどうすればいいのか。そこで浮かび上がってきたのが無人型の24時間ジムでした。