都市部も農村部も「トランプ優位」…歴史的な大接戦後も確実に残る性別・人種・貧富の差による「分断と遺恨」
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日本時間の11月5日20時から各州で順次、投票が始まる米大統領選(大勢判明するのは同6日午後以降)。統計データ分析家の本川裕さんは「各種調査を見ると性別・人種・貧富などハリス、トランプ両候補の支持層によって意見が真っ二つで、米国社会の深刻な分断状況を示している」という――。
ハリスvsトランプ 歴史的な大接戦を制するのはどちらか
4年に一度、夏季オリンピック開催の年に行われる米大統領選。2024年の米国大統領選の投開票が11月5日に迫った。直前の民主党のハリス候補、共和党のトランプ候補への支持率がそれぞれ48.3%、48.4%と伝えられるなど両候補は歴史的な大接戦を演じている。
両候補が接戦である点ばかりでなく、大統領選をめぐってあらわになっている両候補の支持層の間の亀裂が米国社会の分断状況を示すものとして注目されている。
今回は、こうした点について、大統領選における民主党・保守党支持層の違いを明らかにしている調査結果を見ながら、確認してみよう。
ピューリサーチセンターは8月末から9月にかけてハリス、トランプ両候補が打ち出している政策が種々の国民層にどう評価されているかという点から両候補の支持層を明らかにする調査を実施しているので、その結果を図表1に示した。
調査対象者に対して、両候補について支持しているかどうかを直接聞くのではなく、両候補の政策によって状況が「改善すると思うのか」それとも「悪化すると思うのか」を選ばせることによって間接的に支持か不支持かを判断しているところがミソである。有権者の個人的な好悪ではなく、あくまで政策への評価を調べようとしているのである。
図をパッと見て、米国大統領選におけるハリス、トランプ両大統領候補については支持層の違いがあまりに対照的な点が注目される。男女の違いが最も大きいが、白人vs非白人、富裕層vs貧困層、退役軍人vs労働組合員なども目立っている。
図は、カマラ候補の政策をプラスに評価する階層の回答から、逆にトランプ候補の政策をプラスに評価する階層の回答へと上から下に並べている。両候補の政策による「改善」が「悪化」を上回っている階層をそれぞれの候補について矢印で示した。
この図の特徴としては、まず、目立っているのは女性が一番上に位置し、男性が下から3番目に位置するというように遠く離れている点である(9行差)。次に、黒人と白人が8行差、貧困層と富裕層が7行差で距離が離れている。一方、都市部住民と農村部住民は1行差と距離が短く、都市部のほうが農村部よりカマラ候補支持に傾いているもののその差は小さいことが分かる。
男女、人種、貧富といった国民の基本属性でカマラ候補対トランプ候補の支持率差が大きくなっていることが如実である。男女はもっとも普遍的な属性差であり、夫婦で意見が対立している場合も多く、国民の分断はそれだけ深刻だとも言える。