こちらの記事も読まれています
【小児科医監修】0歳の誤飲と誤食。症状や対処法と救急車を呼ぶ目安
病院では何科を受診したらよいの?
Profile
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
0歳の赤ちゃんは、手にしたものや目についたものを口に入れて確認する習性があります。ハイハイやつかまり立ちができるようになると、誤飲や誤食の事故が起こることも。具体的に0歳児の誤飲につながりやすい場面、誤飲後の症状、対処法などを解説します。誤飲チェッカーの使い方や、受診や救急車を呼ぶ目安も説明します。
0歳の赤ちゃんの誤飲
0歳の赤ちゃんは手にしたものや目についたものを口に入れて確認する習性があり、何でも口に入れてしまいます。ハイハイやタッチができるようになると、行動範囲が広がり異物を誤飲する危険性が高まるため、周囲の大人は注意と誤飲に対する知識が必要です。
万が一、0歳の赤ちゃんが誤飲してしまったとき、どのような症状や対処法があるのか解説します。また、今回の記事では0歳の赤ちゃんが誤飲、誤食しやすいものなどもピックアップしました。
0歳の赤ちゃんが誤飲したかどうかわからないとき
0歳の赤ちゃんは言葉で訴えられないので、誤飲したときはママやパパが異変にいち早く気づくことが大切です。0歳の赤ちゃんが以下のような様子の場合は誤飲の可能性があります。
- 咳や呼吸がおかしい
- 食事を嫌がる、嘔吐する
- よだれが多く出ている
赤ちゃんが激しくむせて苦しんでいたり、普段と違った咳をするときは誤飲した異物が気道に詰まっていることが原因かもしれません。また、赤ちゃんが食事を嫌がったり、突然嘔吐するなどの異変がある場合、食道付近に異物がある可能性があります。
よだれが普段よりも多く出ているときも、口の中に異物があるかもしれません。ママやパパは赤ちゃんの口の中をよく確認してみましょう。
0歳の赤ちゃんが誤飲しやすいものとそれぞれの対処法
0歳の赤ちゃんが誤飲、誤食しやすいものは、どのようなものなのでしょうか。
タバコ
灰皿に溜まったタバコの吸い殻などが、赤ちゃんの手の届くところにあると、好奇心から誤食することがあります。
タバコを誤食した場合、タバコに含まれるニコチンが原因で、ニコチン中毒になるおそれがあります。
【対処法】
タバコや灰皿を、赤ちゃんの手の届く床やテーブルの上に置かないことが大事です。また、タバコを誤飲したときは、すぐに病院の診察を受けましょう。
ボタン電池
赤ちゃんがリモコンや電動のおもちゃで遊んでいるうちに、電池部分のフタが開いてしまいボタン電池が取り出され、口に入れてしまったというケースがあります。
ボタン電池を誤飲すると、電池の通電が原因で消化器官が傷ついたり、穴があいたりすることもあるので、非常に危険です。
【対処法】
赤ちゃんが簡単に電池を取り外すことができないように、フタ部分をテープで固定するなどの工夫や、電池の出し入れ口のフタが壊れていないか確認することが必要です。
万が一、ボタン電池を誤飲した場合は、誤飲した電池の種類(アルカリ、マンガン、リチウムなど)を確認し、すぐに病院の診察を受けましょう。
ヘアピンなどの小物
床に落ちているヘアピンなどの小物を、赤ちゃんが拾って誤飲することがあります。基本的にハイハイで移動する赤ちゃんは、床に落ちているものを見つけて拾い、口に入れてしまうことがあります。
テーブルなどに置いた小物を、ママやパパが目を離した隙に口に入れてしまうこともあるようです。細く尖った小物などは誤飲すると胃や腸を傷つけることがあります。
【対処法】
赤ちゃんが誤飲するような小物は、ママやパパがしっかり管理し使い終わったら片付けることを心がけましょう。
ヘアピンや針などを赤ちゃんが誤飲したときは、吐かせようとしたり、水などを飲ませたりせず、すぐに病院の診察を受けましょう。
洗剤や洗浄剤
ほ乳瓶の洗浄剤や、洗濯用の洗剤をこぼしてしまい、誤飲することがあります。いい匂いのする洗剤などにも興味を示し、舐めてしまうこともあるようです。
洗剤や洗浄剤を誤飲すると、中毒症状を引き起こすおそれがあります。
【対処法】
赤ちゃんの手の届く場所に、洗剤類は置かないようにしましょう。万が一、誤飲したときは、無理に吐かせようとせずに、誤飲した洗剤の種類を調べ、すぐに病院の診察を受けましょう。
誤飲であらわれる症状
以下で紹介する症状がみられたとき、子どもが異物を誤飲、誤食した可能性があります。
- 吐き気や嘔吐
- 胸の痛み
- 咳
- 不機嫌だったり、表情や様子に違和感がある
誤飲したものが気道に入ると息苦しくなったり、咳やゼーゼー、ヒューヒューとした喘鳴や声のかすれなどもあらわれます。食道などに誤飲したものがとどまっている場合、吐き気や嘔吐をもよおすこともあります。
赤ちゃんに誤飲事故が起こったら
ママやパパから見て赤ちゃんが誤飲、誤食したかどうかわからないときは、「小児救急相談#8000」や「中毒110番」に相談するのもよいでしょう。
中毒110番とは
中毒110番はたばこや家庭用品、医薬品、動植物の毒などによって起こる急性的な中毒について、情報を提供している機関です。
子どもが誤飲したものによって毒性が異なり、対処の方法も変わります。子供の誤飲で困ったときは以下で紹介する中毒110番に相談するとよいでしょう。
- 大阪中毒110番(24時間対応)072-727-2499
- つくば中毒110番(9時~21時対応)029-852-9999
- タバコ専用電話(365日テープでの対応)072-726-9922
緊急性のある場合は救急車を呼ぶ
下記のような症状がでている場合には緊急性があります。迷わず救急車を呼びましょう。
- 子どもが苦しそうに呼吸をしている
- ぐったりして顔が青白くなっている
- けいれんを起こしている
また、ヘアピンや画びょうなどの尖ったものを飲み込んだとき、喉や粘膜を傷つけるおそれがあります。このような場合もすぐに病院を受診しましょう。
赤ちゃんが誤飲したときの応急処置
子どもが誤飲や誤食をしたときに、ものを吐き出させるのも大事な場合があります。異物を誤飲したときの応急処置法を紹介します。
背部叩打法
背部叩打法は背中を強くたたく方法で、1歳未満の乳児にも行うことができます。以下のように行います。掲載写真も参考にしてください。
- 子どもをうつぶせにする
- 子どもの下あごを支えて、上半身が低くなるような姿勢にする。
- 肩甲骨の間を手の付け根で4~5回叩く。
胸部突き上げ法
胸部突き上げ法は、赤ちゃんの心肺蘇生と同じく、指2本を使って胸の真ん中を圧迫する方法です。以下のように行います。
- 手のひら全体で、赤ちゃんの後頭部をしっかり持ち、頭側が下がるように仰向けにします。
- もう一方の手の指2本で胸骨の下半分を力強く数回連続して圧迫します。
意識や反応がないときや、異物がとれず意識がなくなったときは、すぐに救急車を呼び、上記の方法を中止し、心肺蘇生を行いましょう。
やってはいけない対処法
誤飲によって異物をのどに詰まらせたときなどは、口の中に指を入れて異物をとりだそうとしてはいけません。無理に取ろうとすればするほど異物をのどの奥に押し込むおそれがあります。
また、子どもが口に入れてはいけないものを口にしてしまったとき、ママやパパが急に声をかけたり、怒ったりしないようにしましょう。口の中の異物を隠そうとしたり、驚いた拍子で誤飲することがあります。
誤飲したときに受診するべき科は何科?
子どもが誤飲したときは基本的に小児科を受診します。普段、子どもが通っている病院を受診するとよいでしょう。ただし、場合によっては呼吸器科や消化器内科に行くことも考えられます。
誤飲予防のための道具
子どもが誤飲しないように、ママやパパが事前に、どのようなものを子どもが誤飲しがちなのかを調べておくのも、誤飲予防を意識するために大事です。誤飲予防に使えるグッズを紹介します。
誤飲チェッカー
誤飲チェッカーは子どもの誤飲や誤食、窒息を予防するために開発され、消費者庁で推奨もされているグッズです。子どもの、のどの大きさに近いサイズで、子どもが飲み込めるものの大きさを調べることができます。
誤飲チェッカーのなかに入るものや全体が隠れるものは、子どもが飲み込んでしまう可能性があります。保管場所などに注意しましょう。
誤飲ルーラー
誤飲ルーラーも目的は誤飲チェッカーと同じで、2つの穴を使用して誤飲のおそれがあるものの大きさを計ります。
0歳の赤ちゃんの様子は大人が常にチェックしておこう
0歳の赤ちゃんは、生後半年くらいから日々できることが増え、行動範囲も広がります。ただし、なにかあっても言葉で表現することができないので、ママやパパは赤ちゃんの様子を普段からよく確認することが異変に気づける第一歩かもしれません。
0歳児の誤飲を防ぐためにも、赤ちゃんが過ごす室内や手の届く場所には、危険なもの、口にはいる大きさのものなどを置かない、誤飲チェッカーなども活用し、普段から誤飲を予防することも大切です。
万が一、赤ちゃんの誤飲が起きたとき、けいれんや呼吸困難などの症状が出た場合はすぐに救急車を呼びましょう。到着までの間や子どもの意識がある場合は、背部叩打法や胸部突き上げ法などの応急処置をすることも重要です。
ママやパパが赤ちゃんの誤飲事故の知識を深めることが、赤ちゃんの安全にもつながるのかもしれません。
監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)
Profile
眞々田容子
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。