【小児科医監修】子どものいびきは病気?潜んでいるトラブルや受診の目安

【小児科医監修】子どものいびきは病気?潜んでいるトラブルや受診の目安

子どもがいびきをかく原因や治療法

2020.02.25

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千葉智子

千葉智子

上高田ちば整形外科・小児科 副院長/日本小児科学会 小児科専門医/日本小児科医会 こどもの心相談医

上高田ちば整形外科・小児科 副院長。小児科専門医として、その時代に合った子どもの医療の実践を心掛けている。3児の母として子育てをしながら、現役で活躍中。外来では、ホームケアの方法を分かりやすく説明し、自宅に帰ってから自信をもって看護できるように、保護者への説明を丁寧にするように心がけている。子育てに関する疑問、不安、工夫など、何でも相談しやすいクリニックを作り、「子どもの笑顔を作る」ために活動。

子どものいびきを心配しているママもいるかもしれません。毎日いびきをかくわけではないけれど、週に数回かくいびきを放っておいてよいのでしょうか。子どもがいびきをかく原因や治療法、いびきで病院を受診する目安について詳しく解説します。

子どもはいびきをかく?

赤ちゃん 
leungchopan/Shutterstock.com

大人も疲れた日にいびきをかくことがありますよね。子どもでもいびきをかく場合もあり、たくさん運動した日の子どものいびきは、疲れが原因となっているので心配する必要はないでしょう。

しかし、激しいいびきをかいたり、毎日いびきをかくときや眠っている間の呼吸が苦しそうなときは、鼻やのどにトラブルを抱えている可能性があるので注意が必要です。

いびきがひどくて十分な睡眠がとれない場合、昼間の活動低下、不機嫌、おねしょ、成長障害、注意欠陥多動性障害、学習障害などの症状が現れることがあります。

子どものいびきの原因

いびきとは、睡眠中に何らかの原因によって気道が狭くなり、呼吸するときに粘膜が振動して、異音や大きな音がでることです。

子どもがいびきをかくときは、以下の原因が考えられます。


寝ているときの姿勢

寝ているときの姿勢によって、気道が圧迫されていびきをかくことがあります。


鼻が詰まっている

鼻が詰まってると、口呼吸になります。口を開けて寝ると、舌がのどに落ち込み、気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。

子どもの鼻づまりの原因として多いのは、風邪、アレルギー性鼻炎(花粉症やハウスダストアレルギー)、副鼻腔炎(ちくのう症)などです。


扁桃肥大・アデノイド肥大

のどには扁桃と呼ばれるリンパ組織があります。扁桃肥大は舌の奥、のどちんこの両側にある口蓋扁桃が肥大する病気、アデノイド肥大はのどからは見えない部分にある咽頭扁桃(アデノイド)が肥大する病気です。

口蓋扁桃、アデノイドが大きくなりすぎると、鼻の奥や気道が塞がれてしまいいびきの原因になることがあります。肥大の程度によっていびきの症状が強くでることもあり、扁桃肥大、アデノイド肥大は子どものいびきの原因になりやすい病気です。

専門家も以下のように言っています。

扁桃肥大やアデノイド肥大がイビキの原因の可能性があります。この場合は手術の適応があると思います。耳鼻科で診察を受けると良いと思います。

出典: AskDoctors

いびきで病院を受診する目安

いびきで以下のような症状がみられたら病院を受診しましょう。


  • いびきが週3回以上ある
  • 周囲が気になるくらい、いびきの音が大きく苦しそう
  • 寝ているときに呼吸が不規則、または数秒止まることがある
  • いびきとともに胸がへこむ

呼吸が止まるほどの激しいいびきや大きないびきは、扁桃肥大やアデノイド肥大が原因かもしれません。睡眠時無呼吸症候群を発症している可能性があります。

いびきに伴い胸のへこみなどの様子がみられるとき速やかに病院を受診しましょう。

また、「いつも口が開いていたり、普段から口で呼吸している」「鼻水、咳の症状が続いている」ときも受診が必要です。

子どもはのどや鼻の構造がもともと狭く、鼻水の症状があるときにいびきをかくことがよくあります。鼻づまりや鼻炎が原因となっているいびきは、一過性のものなので、あまり心配はいりませんが、原因を取り除くために受診し正しい治療をしましょう。

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子どものいびきは何科を受診する?

子どものいびきで医療機関を受診する際、何科に行けばよいのか迷うママも多いかもしれません。

小児科、耳鼻科どちらでもよいですが、まずはかかりつけの小児科を受診しましょう。かかりつけの小児科で診てもらった結果、症状によって耳鼻科を紹介される場合もあります。

受診する際、睡眠時の状態やいびきの程度を確認できるように、寝ているときの様子を撮影した動画を持参すると、症状を伝えやすいです。

いびきの治療

赤ちゃん 治療
szefei/Shutterstock.com

子どものいびきの治療は原因によって異なりますが、薬物治療、手術治療の2種類です。


薬物治療

鼻水や鼻づまりが原因のいびきの場合、鼻の治療が必要です。抗アレルギー薬の内服、点鼻薬での薬物治療を行います。


手術治療

扁桃肥大やアデノイド肥大が原因となり、睡眠時に気道が確保できず「睡眠時無呼吸症候群」を発症している場合は、扁桃やアデノイドの切除手術が行われることもあります。

扁桃肥大やアデノイド肥大により、十分な睡眠がとれない場合、成長や発達、日常生活に影響する恐れがあり、薬物治療で鼻水や鼻づまりの症状の改善がみられないときや、睡眠時無呼吸症候群症状が重症の場合、手術治療となります。扁桃やアデノイド肥大が原因のいびきは、入院して手術で改善することが多いです。

⼿術治療の場合、発熱や出⾎などがなければ 入院期間はおよそ1週間くらいでし ょう。術後約1カ⽉で傷跡が正常粘膜に覆われて治癒します。 

扁桃やアデノイド肥大の手術は、睡眠時無呼吸症候群の症状の程度、年齢を考慮し主治医と家族の話し合いのもとに実施されます。

子どものいびきが気になるときは病院を受診しよう

子ども 眠り
leungchopan/Shutterstock.com

子どもが頻繁にいびきをかくときは、鼻やのどにトラブルを抱えていることが多いです。

子どもの場合、自分で症状を自覚したり、伝えることは難しいでしょう。ママやパパが眠っているときの様子をしっかり観察しましょう。いびきは治療によって改善されることがほとんどです。

毎日大きないびきをかく、苦しそうに眠っているなどの症状が見られたときは、早めの受診が大切です。


監修:千葉智子(上高田ちば整形外科・小児科)

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千葉智子

千葉智子

上高田ちば整形外科・小児科 副院長。小児科専門医として、その時代に合った子どもの医療の実践を心掛けている。3児の母として子育てをしながら、現役で活躍中。外来では、ホームケアの方法を分かりやすく説明し、自宅に帰ってから自信をもって看護できるように、保護者への説明を丁寧にするように心がけている。子育てに関する疑問、不安、工夫など、何でも相談しやすいクリニックを作り、「子どもの笑顔を作る」ために活動。

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